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~オフラインの鍼灸師交流~

ヤナケンベースより
ヤナケンベースより 鍉鍼をする甲野

 

先日はヤナケンベースという月に一回行われている鍼灸師の集まりに参加してきました。

 

これまでに幾度か参加したヤナケンベース。新型コロナウィルスのことや毎回木曜日に行われる日程も影響し、最近は参加をしてきませんでしたが今回は水曜日開催であったのと場所がラクダハウスという出張版という形で行ったこともあり、久しぶりに参加しました。

 

新しい知識を得て、刺激を受けました。

 

新型コロナウィルス流行前は頻繁に鍼灸師が交流するイベントがありました。飲み会から勉強会。
実際に会うことで交流が生まれてきました。


今年の3月以降はなかなか集まることが難しくなり、オンラインでのイベントばかりになってしまいました。それも悪くは無いのですが、かなり目が疲れるのと対人に行う仕事である以上、実際に目で見て手で触れてみないと分からないことがあります。そこにこだわるならば実際に会う(オンライン。オンラインに対義する)ことが大切です。

 

同業者と実際に交流する機会が激減してしまったので、今回は新鮮で、また得ることがたくさんありました。

 

ラクダハウス院長の辻将一先生からはミオラブという器具を用いた施術を受けました。


ヤナケンベースより
ヤナケンベースより 辻先生のミオラブ講習

 


これまで触れてこなかった筋膜リリースのもの。何となくは知っていましたが実際に体験して技術と理論の片鱗を知りました。昨年徒手で似たようなことをする施術を受けたのですが、それはこのミオラブの技術を応用したものだったそう。以前の体験が今回の件で繋がりました。
単純な表現をすると体表面への刺激。最初に行った第12肋骨に引っ掛ける方法では強くし過ぎると肋骨が折れると話します。手ごたえが無いくらいがちょうど良いとのこと。体表の下にある筋肉ではなくもっと表面に刺激を与えているようです。受けた感想は表面を何かごちゃごちゃ動かしているという感触でした。それでも段々と背中が緩んでいる実感がありました。

最近体表面の刺激で身体を緩める方法を研究しているので私の臨床に応用しようと思います。

 

 

ヤナケンベースより
ヤナケンベースより 練習台になる

 

 

辻先生の後にそのまま別の先生のミオラブ施術の練習台になりました。私は腰や背中が本当に固いのでよい練習台になったことでしょう。

 

辻先生にはミオラブによる筋膜リリース以外にも技術に関する情報を教えてもらいました。


鍉鍼を熱して用いる技法。鍉鍼は金属製でそれを火で熱するという。触圧刺激に熱刺激が加わることになります。棒灸の熱と指圧の刺激を組み合わせるネパール棒灸に似ていると直感しました。鍉鍼そのものを熱するというのは火傷は起きないのか?という疑問もあります。実際にやってもらうことはありませんでしたので今後も情報収集していこうと思います。


体を区分して(セグメントして)考えるもの。デルマトームやミオトームという体を分節に区切る考え方があるのです、それとまた異なるようです。

 

まだまだ鍼灸の世界は広く知らないことばかりだと感じます

 

 

岡野インフラ研究所岡野浩人先生からは鍉鍼(ていしん。刺さない鍼)技術をレクチャーしてもらいました。
岡野先生は鍉鍼をしっかりと使いこなす先生で、私は以前からどのような使い方をしているのか知りたいと思っていました。バネ式鍉鍼というバネが内部に組み込まれている鍉鍼があり、それをどのように使っているのか質問してみました。するとバネの反発する機能を敢えて使わずに皮膚に触れて、圧を抜いていくときにバネの機能を用いるというやり方を教えてもらいました
言葉にすると難解ですが実際に見てみると分かりやすく合理的。私はバネ式鍉鍼を鍼灸専門学校生の頃に購入して15年ほど持っていますが初めてしった使い方。目から鱗が落ちるというものです。

 

また鍉鍼に弾入するような刺激を与える方法。弾入とは毫鍼(ごうしん、体内に刺す鍼)を体に刺す際に最初に行う指先で鍼を叩く動作のこと。しかも管鍼法という細い管を用いて行う場合に用いる基本技法なのです。それを鍉鍼でも用いるとは。岡野先生曰く鍉鍼にもリズミカルな振動を与えることで効果が見込めるとのこと。ここら辺の技術ももっと深く掘り下げると多くの発見がありそうです。

 

他にも、擦るだけに使う鍉鍼をどう活用するかという質問には、ほぼ私の予想通りの回答でした。

 

それではということではないのですが、岡野先生が練習台になってくれる人のふくらはぎに鍉鍼で刺激を与えて足関節(足首)の可動性(動き)が変わるかを見せてくれました。鍉鍼というのは毫鍼と違って皮膚表面の刺激しかありません。そういう意味では手で押すのと物理刺激の質は同じです。触圧感覚によるものです。それを鍉鍼という金属の器具を介して行うわけです。更に脈診といって手首の動脈(橈骨動脈)の状態から体の状態を判断する方法を用いて、刺激する部位(経穴や経絡)や擦り方を決めて行っていました。東洋医学的な観点も踏まえて鍉鍼を活用したわけです。

 

私は学生の頃から鍉鍼が好きな方でよく用いていました。しかし気が付くと技術や知識は停滞してアップデートされていないことに。他のアプローチ方法を知ることで使い古したものが、新しい興味が出てくるものです。

 

 

やなだ鍼灸院の梁田健一先生にはオステオパシーの蝶形骨操作をしてもらいました。


オステオパシーはあん摩マッサージ指圧師理論の教科書に出てくるアメリカ3大整体の一つで指圧技術が形成されるときに取り入れられたとあるもの。詳しいことはよく分かりません。アメリカでは有名らしいとか。
そして蝶形骨とは頭蓋骨の一部でとても複雑な形をした骨です。こめかみから触れるのですが、頭の中心に位置し下垂体が乗り重要な神経や血管を通す孔がある骨です。それを後頭骨というまさに後頭部にある骨を抑えながら、蝶形骨の動きを触知して動かしていくという。
文字にしておきながらよく分からないです(笑)。


ただし、私は柔道整復師でもあり頭蓋骨のことについては鍼灸マッサージよりも詳しく勉強したので、何か刺激を与えて操作しているのは頭で理解はできました。ただ触っているだけのような感触ですが、わずかな力の入れ方に差があります。似たような技術を柔道整復師専門学校時代に同級生にやってもらったことがあったことを思い出しました。

 

頭蓋骨の動きを見ながら作用させる。力は本当に繊細。
体験してみると今まで知らなかった技術体系でした。何か体に影響しているという実感はあります。理論も技術もさっぱり追いついていませんでしたが。それでも一度体験して説明を受けたことなのでこれからの勉強の礎になることでしょう。どこかでまた学ぶこと、知ることはあるはずです。直近で関わることはないかもしれませんが可能性が生まれたことが大きな財産です。

 

 

体験したばかりというわけでもなく、私も幾つか技術を披露しました。

 

ちょっと珍しい鍉鍼の紹介。純金の鍉鍼とダイオード入りのバネ式鍉鍼を紹介しました。なぜ金が良いのか、という仮説で、電磁波やイオン化傾向の話をしました。ダイオード入り鍉鍼ではそもそもダイオードとは半導体であり、電流の流れが一方向になる性質があるということ。その方向が補瀉(鍼灸師の基本的な技術、考え方。補はエネルギーを与えて瀉は余分なエネルギーを取り除く)に関わるという話。
ここら辺は大学で物理学を学んだ経験を活かしました。物理的な内容を入れてみました。

 

保湿クリームでのふくらはぎのマッサージを実験してみました。あん摩マッサージ指圧師が言うマッサージはオイルやパウダーといった滑剤を用いた皮膚を直接触るマッサージのことを言います。院ではオイルを用いたオイルマッサージをするのですが、保湿クリームで代用できないかというもの。
片足だけ行ってマッサージをしていない方と比較するという取り組みです。この内容については詳しいことを後日書きます。
このときマッサージをしなかった方のふくらはぎを岡野先生が鍉鍼を用いて緩めることをしました。

 

足底(足の裏)のアーチの改善方法。アーチとは足の裏にあるカーブでいわゆる土踏まずを形成するものです。疲れてくるとこれが落ちて偏平足気味なるので、アーチを復活させるために足根骨や中足骨を動かしてあげるやり方です。やる前とやった後を比較して違いを見せやすいので視覚効果があります。また立ってもらったときに床に足が吸い付く感覚が生まれるのでスポーツ選手に適したものになります。

 

その後は残ったメンバーで江ノ島に行き、杉山和一のお墓をお参りしました。杉山和一は江戸時代の鍼灸師であり按摩師です。盲目でありながら時の将軍に使え検校の地位まで上り詰めました。世界初となる視覚障害者のための職業訓練校を設立した世界的な偉人でもあります。

私はこれまで何度も江ノ島を訪れて杉山和一のお墓を見てきましたが、福石を見たことがありませんでした。杉山和一がつまずいたという石。地元の辻先生に連れられてやっと拝むことができました。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 江ノ島福石
江ノ島福石

 

 

現場で活躍する臨床家が集まり、技術・知識・情報の交換をしつつ交流する。刺激を受けつつまた新たなモチベーションを貰います。
新型コロナウィルスによりアウトプットすることが多くインプットする機会が減ってしまいました。特に書籍やネット情報から得ることはあっても、他人から直接得ることが減りました。私は実際に対面するオフラインの業務(臨床)が一番重要な本業ですから、このような機会を大切にしていきます。確実にチャンスは減っていますし。

 

機会を設けてくださった梁田先生、岡野先生、辻先生、他関係者の皆様ありがとうございました。

 

甲野 功

 

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