開院時間
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住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
昨日の令和2年(2020年)9月30日をもって新宿駅にあるメトロ食堂街が閉館しました。
メトロ食堂街とは東京の各線新宿駅に繋がるエリアにある飲食店が並ぶ場所です。具体的には丸ノ内線新宿駅西口改札とJR新宿駅西口改札の間にあります。
都営地下鉄大江戸線新宿西口駅、京王線新宿駅、小田急線新宿駅にも近い、とても便利な場所にあります。
テナントとして入っている新宿地下鉄ビルデイングは東京メトロの関連会社のもの。そのためメトロ食堂街という名称なのでしょう。
54年間ありがとうという文字が躍るので54年前からあったようです。もちろん私が生まれる前から。そのため物心がついたときからそこにある場所、という印象です。
昭和52年(1977年)生まれの私はうっすらと昭和50年代の新宿の記憶がありますし、1980年代の新宿も覚えています。今よりも汚くて古臭かった新宿。その記憶と同じ匂いを残していたのがメトロ食堂街でした。
生まれも育ちも新宿区民の私はもちろんメトロ食堂街をよく利用していたのですが、その利用頻度が跳ね上がる出来事が約20年前に起きます。
それが都営大江戸線全線開通です。
先駆けて一部開通していた都営大江戸線(当初は地下鉄環状線など言っていましたが)が全線開通し、牛込柳町駅が利用できるようになりました。牛込柳町駅から大江戸線に乗れば3つ隣が新宿西口駅。あっという間に日本屈指、否、世界一の乗降者数を誇る新宿駅に着くことができるようになったのです。
大江戸線開通前までは自宅から新宿に行こうとすると都営バスで30分くらいかけて新宿駅に向かうのが一般ルート。
15分ほどかけて都営新宿線曙橋駅まで歩くのは少々厳しいです。それ以上に歩かねばならないJR市ヶ谷駅や飯田橋駅まで行くのは大変でした。同じく15分ほどかけて営団地下鉄(当時。現東京メトロ)東西線神楽坂駅まで歩いて高田馬場まで行き、JR山手線に乗り換えるというのも面倒な話。自宅から徒歩2分ほどのバス停から都営バスに乗るのが最適なルートでした。
バスは渋滞があるため到着時刻が読めない部分もあります。新宿駅の近くは特に道が混雑するので伊勢丹本店前のバス停で降りてしまうことが多かったです。そのため新宿の入り口は伊勢丹であり、伊勢丹を見てまわったあとに色々と巡って新宿駅前のバスターミナルからまたバスに乗って帰宅というのが基本でした。
大江戸線開通により都営バスに乗る頻度は激減し地下鉄で新宿に行くことが普通になります。
都営大江戸線の場合、新宿駅がありますが牛込柳町駅から行くと都庁前駅で乗り換えないといけないので都庁前の手前の新宿西口駅で降りると便利です。深く潜った新宿西口駅改札からエスカレーターを使って上がっていくと東京メトロ丸ノ内線改札が出てその横を通り過ぎてJR各線、小田急線、京王線の新宿駅に向かいます。この行動が一般的になります。
その道中にあるのがメトロ食堂街でした。
都営バスに乗らなくなり、大江戸線を利用するようになり自然と行く機会が増えたメトロ食堂街。社会人になってからの思い出ばかりですが随分利用しました。
特に印象深いのがタカノフルーツパーラー。大きな本店が新宿三丁目にありますが支店がメトロ食堂街にありました。高校生時代はタカノフルーツパーラーは女性と一緒じゃないと入れてくれないという都市伝説があった場所。彼女がいないヤツは母親か姉妹と一緒に入れ、という不文律が私の周りにあったのです(もちろん公式にそのようなルールは存在しない)。メトロ食堂街だとそのような敷居が無く気軽に入れる雰囲気がありました。
長女が生まれてからメトロ食堂街のタカノフルーツパーラーでチョコレートパフェを頼んだのですが、一口もつけていないパフェを赤ちゃんだった長女が倒してしまい容器は割れて大惨事になったことがありました。そのときにさっと片付けて新しいものを持ってきてくださいました。一人目の子どもで新米パパママだった二人はとても気持ちが助けられました。当院を赤ちゃん連れOKにしているのはこの頃の大変だった経験が影響しています。
和食、洋食、ケーキ、和菓子とバランスよく飲食店が並んでいるので困ったときはメトロ食堂街を利用することが多かったです。子どもができるとあまりうろうろ歩き回ることも難しいので駅のそばで済ませることが便利になります。目立たないですがエレベーターがあるのでベビーカーを利用していた頃は本当に助けられました。
子どもとは関係ない話でいうとメトロ食堂街には長らく本屋がありました。しかも3エリア。同じ本屋なのですがマンガ、コミックがメインの場所と、主に文庫本の場所と、雑誌やハードカーバーの本を扱う場所と3か所に分かれていました。実物を手に取って本を選ぶのが好きな私は、新宿駅から都営大江戸線新宿西口駅に向かう途中にあるため、足しげく通い掘り出し物をさがしていました。場所がらなのかサブカルチャーやマニアックな本が置いてあることが多く、メトロ食堂街で出会った本は数知れず。特にプロレス、都市伝説系の本が規模の割に充実していたことを思い出します。今でも購読しているKAMINOGEのルーツとなる「紙のプロレス」を初めて買ったのもメトロ食堂街の本屋でした。
ひっそりと閉店してしまったのは残念でなりませんでした。
ちょうど昨日、長女と新宿に買い物に行くことになり最終日のメトロ食堂街を歩きました。長蛇の列ができているお店もあります。懐かしのタカノフルーツパーラーに二人で入ってみようかと思いましたが行列ができているので諦めました。最後に入っておきたかった。
最終日ということで商品がほとんど売り切れているお店も少なくありませんでした。
そしてメトロプロムナードという丸ノ内線改札から新宿三丁目方面に向かう地下道の商店街があるのですが、こちらのお店も閉店ラッシュ。メトロ食堂街だけかと思ったら。
密かに行きつけだった新宿中村屋の売店も昨日で閉店ということでした。ここで手土産にする和菓子や煎餅を買ったものです。おやつにどら焼きや草餅を1個買って帰ることもよくしました。
メトロ食堂街だけでなくここも閉店するのかと思ったらやるせなくなりました。記念に買い物をしようかと考えましたが既にほとんど商品が残っておらず買いたいものが無かったですし。
思い出のお店が無くなってしまうのは寂しいです。しかしそれは再開発という新宿駅の新陳代謝によるもの。小田急百貨店も将来建て直す計画です。
<小田急百貨店新宿店を建て替え再開発。高さ約260m、新宿ミロードも建て替えへ。新宿駅西口地区開発計画>
人が行きかう便利な場所ですから、変化していくことは必然。ターミナル駅、新宿の定めというもの。新型コロナウィルスによる倒産、撤退とは違う前向きな閉店です。未来に期待しながら変化していく新宿の街並みを観察してきます。そしてこれからもどんどん馴染みのお店が無くなっていくことでしょう。感謝の気持ちを込めて利用していこうと思います。
甲野 功
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