開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
メモリーツリーというものをご存知でしょうか。これは勉強方法の一つで、受験生を題材にしたマンガ「ドラゴン桜」で紹介されて有名になりました。私もメモリーツリーを知ったのはドラゴン桜を読んだときでした。
どのようなものか簡単に説明すると一つの項目から関連する内容を木の様に書き出していく方法です。元々はマインドマップという発送法を基にしていると言われています。
授業でノートを取るときに板書をそのまま写す、あるいは箇条書きにして書く、といったものではなく項目や単語の繋がりを意識して書いていくというもの。幹から枝葉が分かれるように書くのでツリー(木)のようだというわけです。
以前、鍼灸専門学校に進学予定及び進学希望の方々にお話をさせていただくことがありました。どのような勉強方法をすれば良いのかという内容です。そこで私が挙げた勉強方法の一つがメモリーツリーでした。
私は専門学校時代、成績上位にいました。
鍼灸マッサージ科では成績優秀者として卒業式で表彰されました。
柔道整復師科のときは学校全体の1,2年生全ての生徒の中で一番の成績だったとして2年時に特待生になりました。結構な額の学費が免除になりました。
鍼灸マッサージ教員養成科では首席をとり卒業式では全学科中、いちばん最初に表彰されました。
このように成績が良かったのですが、前提として東京理科大学で勉強の方法を知っていたからということがあります。
自他共に認める日本一卒業が難しいと噂される大学で勉強についていくのは本当に大変でした。大学受験のときに、人生で一番勉強するのは今この瞬間でこれ以上勉強することは人生に無いだろう、と高校3年生の私は思っていました。ところが東京理科大学に入学すると定期試験で大学受験を上回る勉強を強いられました。冗談ではなく命がけで勉強したというか(実際に勉強を苦に自殺するという噂がありました)。
その経験がジャンルは異なれど専門学校でも活きたと言えるでしょう。勝手にペルソナ勉強法と名付けたやり方と愚直にノートを書くという方法は大学時代に身につけていました。
それとは別に鍼灸マッサージ科時代にドラゴン桜を読んでメモリーツリーという考え方を取り入れることによって、一層勉強がはかどったと思われます。
複数の情報を組み合わせて解を求めることは大学で専攻した物理や数学とは異なるものです。
大学の勉強はどちらかというと一つの複雑な数式を追いかけるとか一つの命題を多角的に解析できるように考えるもの。専門学校のたくさんの項目や単語を暗記した上でその知識を組み合わせていくという作業はあまりありませんでした。
よくある理系人間の言い分なのですが「暗記したくないから理系を選択した」というものがあります。公式を暗記するのは最低限ですが、自ら数式を導き出すことが理系の強さといいますか。化学、生物では暗記が必要ですが、物理や数学ではその場で考えれば解けるという類の問題が多いのです(裏を返すと暗記しておけば解けるという問題が少ない)。
鍼灸マッサージ専門学校に入った当初はそれができなくて、暗記しないと始まらない勉強内容に面食らったものでした。当時はまだ20代半ばだったのですが、大学時代はもっと頭が良かったのに、とショックを受けたものでした。たかだか4年くらい前と比較しているだけなのに。勉強する内容、ジャンル、質が異なっているだけだったのですが。
メモリーツリーを知ってから成績がぐっと上がったと記憶しています。この業界の勉強を始めたときは成績がとても良いわけではなく、努力の割に試験の点数が悪くて自己嫌悪に陥っていたのでした。
メモリーツリーで何をするのかといえば、連想ゲームのようなことをします。<風が吹けば桶屋が儲かる>ではありませんが、一つの事柄から関連することを広げていって繋げていくのです。
具体的に挙げてみましょう。あじさい鍼灸マッサージ治療院のコンセプトで考えてみます。屋号をもとにしてみましょう。
「鍼灸マッサージ」は施術内容や資格免許の言葉なのでそのまま。「治療院」も施設分類であるので置いておきます。
「あじさい」という単語からスタートします。
屋号の由来は、私は紫陽花が好きという理由で「あじさい」にしました。
平仮名にしたのは読みやすい、家族の名前の文字が入っているという意味があります。子どもも読めるということもあります。
「あじさい」から考えを膨らませていきましょう。
●「あじさい」は花の紫陽花を指します。
・紫陽花は梅雨に咲く花→梅雨時という雨が降って天気が悪い時期に綺麗に咲く→患者さんの体調も天気のように悪くとも綺麗に咲くという願いをこめて→<困難でも綺麗に>:体調が悪い患者さん(雨の続く梅雨時)に楽になってもらう(綺麗に咲く紫陽花のように)
・紫陽花は花の色が(土壌のpHや時期によって)変化する→そのため花言葉は移り気や浮気といったネガティブなものがある→そこを逆手にとって変化を厭わないと考える→<臨機応変>:花の色を変える紫陽花のように状況に応じて臨機応変に対応できるようにする
●紫陽花の語源は「藍を集める」から来ていると言わる→「藍色」に繋げる
・藍色はジャパンブルーと言われる日本独自の色→<イメージカラーを青にする>:院内や白衣を青系でまとめる。※青は鎮静を示し見ると落ち着くとされる
・藍色の藍に注目→藍染め→<藍染め製品を集める>:院内に置くものをなるべく藍染めにする。「藍を集める」ということに繋がるし色合いもイメージカラーと合致する。
このように「あじさい」という単語から連想、関連付けてコンセプトや取り組みを示していきます。何もしないで当院のコンセプトは
・困難でも綺麗に
・臨機応変
ですと打ち出しても覚えてもらえないでしょう。
当院の取り組みとして
・イメージカラーは青に
・藍染めのものを集めて置いております
としても、ああそうですか、という印象に終わると思います。
関連付けること・根拠となることを説明すると、なるほどねと納得・感心してもらえます。
このように連想ゲームのように知識を広げて関連つけて行くことが勉強する際に大事でした。生徒同士で勉強するときも「ちなみに」「ついでにいうと」「それに関係して」「反対の意味では」「同じようなことで」といった接続詞が飛び交い知識が広がります。反対にこのような言葉が出てこないとただただその問題を解くだけ、その項目を覚えるだけということになり知識が深まらないですし記憶に定着しません。
優秀な生徒はメモリーツリーが広がっているので話す内容が多岐に渡るものです。それができるから成績が良いとも言えるのです。
臨床の場でもメモリーツリーは大いに役立ちます。
「腰が痛い」という訴えがあったとします。
腰が痛い→腰痛→腰痛の原因は?→筋筋膜性or内臓由来or骨or精神面orその他
といったように考えられる項目を瞬時に頭に浮かべます。そこから問診や触診、理学検査をしてこの内容が妥当であろうという枝の方に思考を進めていきます。その終着点にあるのが病態把握と言われるもので、そこから治療方法や医療機関に渡すなどの判断が生まれるのです。
また数学的次元で捉えると一つの事象(0次元)を繋げて線にして(1次元)さらに面にする(2次元)ように知識を膨らませるやり方の一つがメモリーツリーなのです。
学生さんは一度記憶したことをメモリーツリーに書き換えてまとめることで試験勉強にも臨床対応にもなると思います。とにかく暗記!は必要ですがその先の組み合わせるがないと勉強が進まないことでしょう。メモリーツリーというやり方はそこに適しております。
現場に出てからも学習を深めてメモリーツリーを大きく育てていくことが臨床能力に直結していくことになります。
甲野 功
コメントをお書きください