開院時間
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先週は母校で東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科2年生を対象にした特別授業を関東鍼灸専門学校副校長内原先生と一緒に行いました。私にとって年に1回の大切なイベントです。
授業をすることも大事なのですが、内原先生や母校の先生、職員と情報交換することも重要なことです。新型コロナウィルスで対面で一緒になることが激減した昨今、生の意見を聞けるのは大切な機会です。
私は呉竹学園東京校である東京医療専門学校を卒業しております。学校法人呉竹学園は通称東京校、新横浜校、大宮校の3校があります。東京校は四谷校舎と代々木校舎に分かれています。東京校と一括りにしても校舎が分かれていて、鍼灸科と鍼灸マッサージ科は四谷校舎に、柔道整復師科と鍼灸マッサージ教員養成科は代々木校舎にあります(2020年11月現在)。
私は東京医療専門学校の鍼灸マッサージ科、柔道整復師科、鍼灸マッサージ教員養成科を出ているので四谷校舎と代々木校舎の両方に通っていました。
柔道整復師科と鍼灸マッサージ教員養成科がある代々木校舎には合計5年間通ったことに。最後に卒業した教員養成科が代々木校舎であり、教員養成科卒業研究発表会と特別授業があるのでここ数年は代々木校舎に年に2回は行くことになります。今年も2月と先週に代々木校舎に出向きました。新型コロナウィルスがなければもう少し回数が増えていたかもしれません。
先週の教員養成科特別授業で代々木校舎を訪れた際に広報を担当されている方と話す機会に恵まれました。昨年から話を聞いてみたいと思っていました。
今年の2月にも感じたのですが呉竹学園東京医療専門学校は以前に増して広報活動に力を入れています。
呉竹学園は鍼灸業界では最古参に近い老舗専門学校。創立90年以上を誇り100周年に向けて計画を立てています。業界を牽引してきた教育機関といって過言ではありません。
教員養成科を持ちその在籍生徒数は日本一。ここから全国の鍼灸専門学校に向けて教員を輩出してきた歴史もあります。
私が鍼灸マッサージ科を受験した16年前は呉竹学園が生徒を選んでいる状況でした。
学校が入学希望者から生徒を選ぶ。
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、現在は生徒集めに苦労しています。科によりますが一般の方が専門学校を選ぶ時代になっています。それはどの専門学校でも同様で、専門学校に限らず大学も生徒集めに苦労しているところがあります。
人口自体が減少に転じている日本ではどこでも同じようなことが起きていることは想像に難くありません。業界内でも名門とされる母校でも甘くはないのです。特に柔道整復師科の生徒数は私がいた10年前に比べればとても少なくなっています。代々木校舎の貼り紙や学校別柔道整復師科国家試験受験者数を見れば一目瞭然です。はっきり言って相当企業努力をしないといけない状況であります。
柔道整復師という職種自体が諸問題を後回しにしてきたツケを今払い始めているといえて、多くの専門学校で生徒集めは厳しくなっているようですし閉校、学科廃止が見受けられます。
今年2月に書いたブログでは、あの呉竹学園がホームページにInstagram、YouTube、マンガ作成と伝統校らしからぬ広報活動をしていることを書きました。私が鍼灸マッサージ科、そして柔道整復師科に在籍していた学生時代には考えられない状況です。
学校側はどのように考えているのか気になっていました。昨年辺りから呉竹学園の広報活動が一気に活発になり、いい意味で攻めた、悪くいえば伝統校らしからぬ、やり方をしているなと感じていたからです。教員養成科2年生に向けた特別授業で私が話す内容は、開業鍼灸師が日々実践して効果測定をしているSNSマーケティングの内容が多いのです。広報のやり方。
その内容に広報担当者や教員養成科学科長の興味が強くなってきています。
昨年は広報担当者に授業後に質問をされましたし、学科長が授業にいるようになっています。当初は関東鍼灸専門学校副校長の内原先生が強引にやらせてくださいという意味合いが強く学科長は教室にいないことがありました。昨年は学科長が教室で内容を聞いていますし翌年の次回日程もすぐに出してきました。
そして今年は広報担当者の方が教室にいて授業を聞いていました。
昨年と環境面で大きく異なる点。それはもちろん新型コロナウィルスです。
昨年11月からYouTubeチャンネルは開設しており動画作成はしていました。
その前からTwitter、Facebook、InstagramといったSNSの活動が活発になっていることを感じていました。この新型コロナウィルス流行により動画投稿やリモートの動きが加速していきました。
YouTube動画は格段に編集能力が上がり質が高くなっています。
サムネイルという動画の表紙画面も凝っています。色を分けてジャンルが分かるようにしています。職員が率先して登場して盛り上げようとしています。編集によりツッコミや補足も入っています。例えば職員は見ている方が一般の方という配慮をするため専門用語を極力使わず簡単な言葉を選んでいます。新卒の柔道整復師がパテラ(膝蓋骨のこと)という言葉を使っていると画面に「パテラとは膝のお皿のことです」と注釈が入ります。学校説明会では絶対に見学者の顔は出していません。飽きさせないように編集でコメントを画面に入れていきます。
企画も練られています。
・リモートで卒業して間もない複数の若い卒業生に教員がインタビューをする
・座談会形式で柔道整復師1年生の質問を卒業生が答える
・規模を縮小した今年の卒業式の様子を紹介
・詳細は写さず就職説明会の様子を紹介
・学校説明会のライブ配信
新型コロナウィルスというのっぴきならない状況がこのような取組みをするようにさせたと思います。私が在籍していたときには考えられない取り組みです。
また専任教員が表に出ていることも注目です。
私のような開業側は露出することが自分をアピールできるため気にせずできますが、組織に属している専任教員の立場からするとあまり目立ちたくないと思います。変に目立つとトラブルのもとになるかもしれません。
呉竹学園チャンネルには私の同級生も含めて教員が本名を出して出演しています。それも司会をしたり告知をしたりと普段の教員活動以外のこともしています。あと出ているのは若くてビジュアルがいい人を選んでいるなと。※出ていない先生方のビジュアルが悪いと言っているわけではありません。
卒業生も心なしか美女を選んでいないか?という気がします。※個人的な感想です。
これは学校の看板だけでなく、教員個人の個性を出しているといえるのでとても素晴らしいことだと思います。入学志望者はどのような先生に習うのか気になるでしょう。柔道整復師科は他の学校と差別化が鍼灸科に比べて難しいので、教員を出すことはとても重要なことだと考えます。柔道整復師という国家資格が取れますよ、という看板では人が集まらない状況でありますから。
ターゲットも高校生に絞っていることが分かります。過去を知る私としては本当に集中してやっているなと感心します。
興味深いのは昨年から手を出していたYouTubeが新型コロナウィルスにより加速して進化したということです。緊急事態宣言、自粛要請が出る中で動画配信やリモートが重要になるのは分かり切ったこと。焦って始めるのではなく既に細々と始めていたので対応が早くてコンテンツが充実するようになったと思います。おそらく高校生をターゲットにやむなくYouTubeを始めたところ、功を奏した結果になったのではないでしょうか(今年2月時点のチャンネル登録者数は4名でした)。外から見ていても代々木校舎は広報活動が活発です。
先週の特別授業で代々木校舎の広報担当の方に、現在の状況を聞くことができました。まだまだ手探りであるが手を打っているとおっしゃっていました。
YouTubeやSNSでの情報発信以外にも入学前授業や校舎近辺のカフェマップの作成などをしていると言います。入学者の多くが春に高校を卒業した生徒なので、学校側が手厚くサポートしていると言います。私が鍼灸マッサージ科に入学したときは大多数が社会人経験者で、ここは職業訓練校なのだから自分から学んで練習する、それが当たり前だと教員に言われたものでした。確かにその気持ちで私も入学しました。高校を卒業したばかりの生徒にはそれは酷というものなのでしょう。随分と構っているのだなと当初は思っていました。
それがこの新型コロナウィルス流行で良い方に出たと言います。
リモート授業が増えてせっかく入学したのに同級生も教員も直接会ったことがないという環境が各学校で春に起きました。それが柔道整復師科は入学前授業やリモートでの接点が深かったため学校と生徒の距離が近くなり乗り越えることができたというのです。この春大学に入学したかつての同級生たちはリモート授業ばかりで孤独で辛い思いをしているが、柔道整復師科の生徒は学校のサポートがあって助かったのだと。
私の頃もそうでしたが高校を卒業したばかりの学生は学校を辞めてしまいがちです。私の同級生も一人や二人ではない人数が退学してきました。
学校の手厚いサポートが新型コロナウィルスによる厳しい環境に対応できたというのは感動したエピソードです。
ネット面だけではなく紙でのニュースレター(Kuretaeke NEWS)も作成を始めており、現実面でも行動しています。校舎内の装飾も凝っていて楽しませる工夫があります。ヨモギならぬヨヨギ(ジュウドウセイフク科)という見せ方。
代々木校舎の広報担当者からやれることをどんどんやってみるという姿勢が見えました。フリーで戦っている私の話に耳を傾けるのも納得できました。業界大手と言える呉竹学園にいて守りに入っていない。挑戦をしているように見えます。
学校のホームページも前はなかった教員紹介があり、役職付きで掲載しています。教員も顔と名前を公開し誰が教えてくれるのか、より見えるようにしています。(同級生はこの役職に就いているのかと知りました。)
入り口となる広報活動・生徒集めについて、老舗でありながら進化している。また入学後のサポートも時代の変化に乗り幾つも工夫を重ねていることが分かりました。
甲野 功
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