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最近、VUCAという言葉を見たり聞いたりしたことはないでしょうか。
VUCA(ブーカあるいはブカと読む)とはビジネス用語でいわゆる横文字略語の専門用語ですね。
・Volatility(変動性)
・Uncertainty(不確実性)
・Complexity(複雑性)
・Ambiguity(曖昧性)
これらの頭文字を並べています。平たく言えば先行き不透明ということを示します。
VUCAという言葉は1990年代後半にアメリカ合衆国で軍事用語として発生したそうです。それ以前は戦争の形式は国VS国の構造で、ある意味単純な構造でした。
しかし1990年代後半になるとテロ組織によるテロ行為が盛んとなり、国VSテロ組織という形式が生まれると事情が一変します。テロ組織は国ではありません。元首が居ないのでトップが誰かはよく分かりません。また、トップが作戦を立て現場が実行しているわけでもなく、その思想に同調した人たちが同時多発的にテロを実行してきます。
このような相手との戦争(国同士ではないので戦争という表現は正確ではありませんが)のスタイルを呼ぶのに、VUCAという言葉(概念)が生まれ新しい戦い方が必要になったといいます。
これは戦争に限りません。ビジネスにおいても、テクノロジーの進歩は急速であり市場予測は困難に。不確実性や不透明性を増した状況となってきています。
不安定なビジネス状況を表すのに2010年代に入りVUCAが用いられるようになってきたといいます。状況は変動するし不確実で複雑さを増し曖昧である。それをVUCAと称してみたということでしょう。
以前からこのVUCAという表現は耳にしておりましたが、今年ほど「VUCAの時代」を痛感したことはありません。
1年前には想像できなかった世界になっています。
その理由はもちろん新型コロナウィルス。
全世界で猛威を振るい日本では第3波到来となっています。華々しく開催されるはずだった東京オリンピック・パラリンピックは来年に延期。緊急事態宣言が発令されて外出自粛要請がされました。世間からマスクが消えました。このような事態が起きるなど考えられませんでした。
今後のことも不確実で状況はころころと変化します。まさにVUCA化とはこのようなことを言うのかと納得しました。来月がどのようになっているのか。法律も規制も曖昧で拘束力を持たない自主性に訴える“要請”ばかりです。
『NEWTYPE ニュータイプの時代(ダイヤモンド社)』で山口周氏は社会のVUCA化によって「経験の無価値化」、「予測の無価値化」、「最適化の無価値化」が起きると述べております。先が読めない以上、それまでの経験も未来を予測することも事例をまとめて最適な答えをだすことも価値が無くなるというわけです。考えに瞬発力を持って取り組まないといけないのだと。
経験も予測も最適化も完全に無価値だとは私は思いませんが、これまでほど効果的ではなくなる、という点には同意見です。ホリエモンこと堀江貴文氏は、未来を予測しても仕方がないからやめろ、言います。社会状況が目まぐるしく変化しているのに将来のことを考えても意味が無いというのです。
しかし、全く予測をせず将来のことも考えないのでは行き当たりばったりで何もできないとも思います。
VUCAの時代を象徴する別の一面として「鬼滅の刃」というコンテンツが大ヒットしていることが印象的です。当初はこれほど売れるとはほとんどの人が予想していなかったことでしょう。幼少期からずっと少年マンガを見てきた私の目には連載開始直後の画はあまり上手くないと映りました。発行元の集英社関係者もこのような売れ方は異例だと漏らしたそうです。様々な要因が考えられますが映画や単行本を含めて空前のブームとなっています。
そして社会がこの「鬼滅の刃」にどう関わるかも興味があります。企業とのコラボレーション企画が多すぎることも話題になっています。作中に全く登場しない商品、作品イメージと合致しない企業、何でも提携しています。スーパーやコンビニエンスストアの店内で「鬼滅の刃」のキャラクターを視界に入れないことが不可能なくらいです。鬼滅の刃ブームに乗っかってコロナ禍を乗り越えようとしています。
また企業提携するほどの資本がないようなところでも恩恵を受けているところは数知れず。物語の舞台は大正時代ですからイメージが近い伝統工芸品の数々、主人公の名前と似ている神社、作中の風景に似た場所など。
先行き不透明な状況ですが困難だけでなくチャンスも突然降ってわいてくるものです。
当院も甲野個人においても年頭に想定していたこと、目標としていていたこと、視野にいれていたこと、全て吹っ飛びました。2020年は数年前から東京オリンピック・パラリンピックが華々しく開催されて大きな転機が訪れるはずと身構えていました。蓋を開けてみれば全く異なった転機が訪れました。予測の無意味さを痛感しました。
一方、緊急事態宣言やリモートワークの普及により新しいチャンスが見えてきたことも確かです。コロナ禍がなければ知ることのなかった可能性を感じています。また多くの同業者が力を入れて流行っていることでも、取り入れない方がいいと判断して距離を置くことを決めたものもあります。
来年の事を言えば鬼が笑う。このような言葉があります。
VUCAの時代は何が起きるか分からない。来年がどうなっているか、1週間後がどうなっているか、予測することは不可能で意味がないかもしれません。
それでも起こった状況に臨機応変に対応し、どのように進んでいきたいのかを模索することは必要だと考えています。もうすぐ、本当の意味で、激動の2020年が終わります。変化に対応しながら生き残るためにやれることをやっていきます。
甲野 功
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