開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
先週の土曜日、東京都武蔵野市いきいきサロン事業のルンルンサロンに呼ばれまして、高齢者向けのセルフマッサージ講習の指導をしてきました。
武蔵野市が行っているいきいきサロン事業とは
『
地域住民団体やNPO法人、民間事業者等が概ね65歳以上の高齢者を対象に、5名以上、週1回以上集まる場で介護予防、認知症予防のプログラムを含む活動(2時間程度)に対し、市がその団体等へ補助・支援を行うことで、高齢者の社会的孤立感の解消、心身の健康維持、要介護状態の予防、住み慣れた地域での在宅生活の継続支援を図ることを目的とする事業です。
』
とホームページにあります。
このいきいきサロン事業内で複数あるいきいきサロンの一つ、ルンルンサロンにマッサージのすすめという内容で講師として呼ばれました。
当初予定していた人の都合が急遽悪くなったということで連絡が入りました。担当の方は妻のお知り合いで直接的な面識はほとんどありませんでしたが、私のことは覚えていてくれてやってもらえないかという依頼でした。数日前の急なお話でしたが引き受けることにしました。
内容は高齢者に一人でできるマッサージを教えてほしいというもの。参加者は6名。担当者2名。ラジオ体操をした後に40分ほどマッサージの講習をお願いしたいとのこと。
引き受けてみたもののこのような依頼を受けることは初めてのこと。どのようにやってみたら良いのか迷いました。目的は介護予防、認知症予防。
内容をどうしたらいいのでしょう。
会場の様子は雰囲気も分かりません。参加者は高齢者であることは間違いないでしょう。体をよく動かすことはできないと予想します。そして新型コロナウィルスの新規感染者が増加しています。接触することも難しいことでしょう。一人でできるセルフマッサージをするしかないと想定していました(私が参加者に直接触れて教えることはできない、しない)。
結局、分からないことは分からない。その場の状況や雰囲気次第で変わるだろうから、あまり準備をせずに臨もうと決めました。
当院や母校の専門学校鍼灸マッサージ教員養成科で話すときとは真逆のほぼノープラン。状況が分からないのであれこれ考えても仕方がないと割り切りました。頭に浮かんでいたのは指先のツボ(専門的には経穴といいます)、井穴(せいけつ)を押す、揉むこと。これは一番やりやすいのではないかと。
開業してから、いえ開業する前から地域の高齢者向けに講習をすることはどこか頭の片隅にあったので腹は据わっていました。ただ今回は全く縁のない武蔵野市ということだったので出たとこ勝負でいこうと決めました。
当日吉祥寺駅からバスに乗って20分ほど。早めに会場を見つけてそばのラーメン屋で昼飯をとってから会場へ。さほど広くない会議室でした。約束の15分前に着きましたが既に参加者が何名か来ていました。担当の方と挨拶をして概要を聞きます。通常は2時間行うのですが、新型コロナウィルスの関係で換気に気を付けて1時間に短縮して開催しているといいます。開始時間10分前には参加者全員が揃いました。早めにルンルンサロンが始まりました。
みんなでラジオ体操をします。その時間約3分。以降はお願いしますという感じでした。
この時点でやはり想定外の事態。事前に40分と言われた講演時間は終わりの時間から逆算すれば60分はあります。長くなったと思いました。また私の前に何か参加者のやり取りがあって、様子を観察してから本番に臨もうと思っていたのですが、すぐに自分の出番になってしまい参加者の様子(情報)が分かりません。初対面の高齢者に対してマッサージ講習が始まったのでした。
ほぼ考えがまとまらないまま始まりました。
何をしたらいいかと少々思案しましたが、私のプロフィールを書いた紙にあん摩マッサージ指圧師、按摩指圧、マッサージの文字がありました。当院のホームページを見て準備してくれたようです。これはいいと思い、最初にあん摩マッサージ指圧師とは何か、按摩とは、(国家資格としての)マッサージとは、指圧とは、という解説をしました。
案の定、会場にいた方は皆さんマッサージ師というものが国家資格ということを知りませんでしたし、一般的にマッサージと言っているものは按摩であること、我々がいうマッサージは皮膚の上から直接触る方法ということも認識していませんでした。按摩・マッサージ・指圧の発祥や歴史、技術的な違いを説明しました。60分高齢者にセルフマッサージをするのは体力的に厳しいと考えたからです。
続いてどのようなセルフマッサージを行おうか迷いました。そこで参加者との距離を縮める意味でも体の不調について質問をしました。一方的に聞くよりは会話をした方が参加者の気持ちが能動的になるので。
皆さん高齢者ですので腰が痛い、膝が痛い、足先が痺れる、肩が痛いなどの話が聞けました。質疑応答をして会話のキャッチボールができたことで互いにやりやすい雰囲気が作れたと思いました。そして抱える体の不調は下半身が多いことも分かりました。それならばということで腰や膝、足回りのセルフマッサージからやってみることにしました。
幸い会場の椅子は背もたれがしっかりとしているので、座った状態で上半身を反らせることができます。それをしても後ろに倒れる心配がありません。その状態で拳を腰や背中に当てて圧を入れるやり方を教えました。
そこから足裏、膝、腕、肩と足元から上がっていきながら色々とやってみました。
足の裏はリフレクソロジーのことをお伝えしました。
膝は年を重ねて膝が痛くなる原因を解説し筋力をつけるやり方と痛みが出る場所への指圧方法。
腕では按摩は遠心性(中心から遠くに)、マッサージは求心性(中心に向かっていく)で主に行うという解説を入れました。
指圧はただ強く押すのではなく、押さえてから離す動作が大切だと説明しました。老人性紫斑病というものがありますが、高齢者になると内出血をしやすくなります。強く押せば効くという考えは控えて、押さえた指を丁寧に皮膚から離すことが大切だと伝えました。
肩では、中指が力を入れやすいので中指で反対側の肩を押さえて、その状態で自ら肩を回してみましょうといいました。
首はとても繊細な場所で(特に高齢者になるとなおさら)むやみに押すのは危険なので耳たぶをつねって引っ張ることで首を緩める方法をお知らせしました。
途中、会場に虫が入り込んだトラブルや雑談もありました。時計を見ながら終了5分前に私の話を終えることに。準備をしないで行きましたが、我ながらまずまずの内容になったと思いました。
これまでに勉強して来たこと、経験してきたことが活きました。
20代最後に鍼灸整骨院に就職し数多くの高齢者と接してきた経験。専門学校で合計10年以上勉強してきたこと。開業して誰にも頼れず新規患者さんと向き合ってきた体験。これらが全て活用されたと思いました。
最後に記念撮影をして帰宅の途につきました。
今回お話をくださった担当の方に、素晴らしい機会を与えてくださり感謝しております。そしてそのきっかけとなった妻の存在も。何が繋がるか分からないものです。人と人との繋がりが大切だと改めて感じました。
甲野 功
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