開院時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休み:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~「呉竹卒」は開業して生き残るものなのか~

呉竹学園 東京医療専門学校ホームページ
呉竹学園 東京医療専門学校ホームページより

 

先日、乃木坂で開業している飯塚聡先生が来院されました。飯塚先生は同じ新宿区民であると同時に東京医療専門学校本科(鍼灸マッサージ科)、教員養成科の後輩にあたり、共通点が多いのです。

 

飯塚先生と話していて話題になったこと。

 

業界関係者と飯塚先生が話した際に、専門学校の出身校はどこですかと聞かれて、呉竹ですと答えました。するとまたかと言われたそう。その方曰く開業してしっかり続いているのは主に2つの学校出身者だというのです。それが東鍼(とうしん)と呉竹(くれたけ)だと。

 

東鍼とは東洋鍼灸専門学校のこと。呉竹とは呉竹学園のことを指します。どちらも古くからある鍼灸専門学校で伝統校と言われるもの。関東圏の鍼灸専門学校の中でも有名な方でしょう。

この2校の卒業生は開業して生き残る率が高いというのです。なおこの話をした人は2校の卒業生ではありません。

 

本当でしょうか。

 

飯塚先生と話しました。

東京医療専門学校は学校法人呉竹学園の学校なので二人とも「呉竹卒」になります。お互い「呉竹卒」であるので当然のように業界の知り合いは「呉竹卒」が多くなります。そう考えると「呉竹卒」で開業している人は多いし続いている人も多いなと。また東洋鍼灸専門学校の卒業生で開業している人もたくさん知っているなと。

 

東洋鍼灸専門学校は違う学校なので詳しい様子は分かりませんが、「呉竹卒」は開業して生き残りやすいかどうかは判断できるかもしれないと私は考えました。

 

「呉竹卒」は開業して生き残りやすいのかどうか

 

そのことについて考察していきます。

まず断っておきますが、「呉竹卒」だからといって独立開業し誰もがうまくいっているとは限りません。私の知り合いには「呉竹卒」でも院を畳んだひともいます。理由は様々ですが、純粋な経営不振もありますし家庭の事情や体調面のこともあります。開業してずっと継続しているひとばかりではないことを断っておきます。

 

そうは言っても知る限り結構な人数が、開業あるいはオーナーが別にいて院を任されているという状況です。そこは否めません。ただその理由は単純ではないでしょう。

 

そもそも分母が大きい

「呉竹卒」は他の学校に比べて人数が多いのです。

 

3校ある

学校法人呉竹学園は東京、新横浜、大宮の3か所に専門学校を持っています。正式には

東京校:東京医療専門学校

新横浜校:呉竹鍼灸柔整専門学校

大宮校:呉竹医療専門学校

という名称です。

この3校のいずれかを卒業しても「呉竹卒」という分類になるわけです。そうなると卒業生も3校分になりますから数も多くなります。開業して残っている人が多いというの裏には、大勢の卒業生がいることがいえるのです

 

伝統がある

呉竹学園の最初の学校が東京校である東京医療専門学校です。私や飯塚先生が卒業した学校です。こちらは設立が1926年で90年を超える伝統があります。現在、創立100周年に向けてイベント準備をしています。

新横浜校の呉竹鍼灸柔整専門学校の原点となる熱海校はできたのは1954年。新横浜校でも60年以上の歴史。一番新しい大宮校の呉竹医療専門学校は2009年に開校。一番新しくても10年の歴史。

これだけの歴史があれば卒業生の数も多いわけです。先の分母が大きいと同じですが、学校数に加えて設立してからの時間が加味されています。

 

教員養成科を持っている

東京医療専門学校は鍼灸マッサージ教員養成科も持っています。これは鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師免許を持った者が専門学校の教員資格を得ることができる科です。1983年に設立されて30年以上の歴史を持ち、業界最大規模を誇ります。私はちょうど30期生として入学しました。

教員養成科は全国から学生が集まります。各学年の状況によりますが、文字通り北は北海道から南は沖縄から鍼灸専門学校を卒業した鍼灸師が入学してきます。私や飯塚先生は東京医療専門学校卒なので学校が同じですが、他校から来た生徒も卒業すれば「呉竹卒」となります。呉竹学園の教員養成科を卒業した鍼灸師も「呉竹卒」とするならばなお一層数が増えます。

 

このように卒業生が多いので開業する人数が多くなります。そうすると目立つ人、活躍する人、ずっと活動を続ける人も多くなるので、傍からみると「呉竹卒」は開業しても生き残るように映りやすくのでしょう。

ちなみに関東の伝統校で校舎を2つ持っているのは学校法人衛生学園の東京衛生学園専門学校、神奈川衛生学園専門学校のみ。他の東洋鍼灸専門学校や日本鍼灸理療専門学校、東京医療福祉専門学校、国際鍼灸専門学校、関東鍼灸専門学校といった関東の伝統校は単一の学校だけ(※大学を持っているところもありますが別と考えます)。

 

歴史と校舎という「呉竹卒」の絶対数があることが強い要因になっていると考えらます。

 

人数が多いからというのが一つの仮説。もう一つは質の仮説です。

 

開業して生き残りやすい人間が多いのでは

開業して生き残るためには実力(技術、知識、人間力など)以外の要素も大切です。経営能力は必須となります。「呉竹卒」は開業して生き残りやすい人材が多いのではないかという予測が立ちます。

これは質の問題なので明言するのは難しいのですが状況をまとめると仮説をたてることができます。

 

本科がある

本科とは鍼灸マッサージ科のことで3年間の学習で鍼灸師(はり師、きゅう師)とあん摩マッサージ指圧師の資格が取ることができます。本科に対して専科といって鍼灸師のみの資格が取れる科があります。

呉竹学園は3校どれも本科、専科があります

本科の場合、鍼灸に加えて徒手療法であるあん摩マッサージ指圧師も取ることができるので開業に有利と言えるでしょう。あん摩マッサージ指圧師を持っていると訪問マッサージをすることができますし、一般的に鍼灸よりも受けるハードルが低いマッサージを入り口にして患者さんを呼ぶことができます。私や飯塚先生はこの本科卒です。

あん摩マッサージ指圧師を持たない鍼灸師は否定するかもしれませんが、鍼灸を受けるにはなかなか壁があり、患者さんの信頼を得て人が来るようになるのはなかなか大変です(もちろん最初から集まる人もいますが)。あん摩マッサージ指圧があることで選択肢が増えるので開業しても残りやすいものと予想しています。

かく言う私がそうで、開業当初は圧倒的に按摩指圧の依頼の方が多かったです。今はやや鍼灸が多いくらいですが最初から鍼灸のみであったらとても厳しかったと思います。

またあん摩マッサージ指圧師があることで少し離れた視点で鍼灸をみることができるのでそれも有利だと思います。

 

本科があるからという理由ならば、専科卒の鍼灸師はどうなのかという疑問になるでしょう。専科を出た「呉竹卒」も多数開業して活躍しています。別の視点から見てみましょう。

 

社会人からの入学が多い(多かった)

特に東京校の東京医療専門学校がそうだったのですが、大卒・社会人経験がある生徒が多いのです。正確には多かった。今は高校卒業生も増えているということなので状況が少々異なるかもしれませんが、社会人経験者の学生を好んでいたのが東京医療専門学校でした。私が在学していたときはよく言われたものでした。

同じ呉竹学園でも学校によって差があるのですが、割と東京校と新横浜校は年齢が高めだと言われます。大宮校は若め。

何が言いたいかというと大学で別分野を学び、企業に就職した経験がある生徒が鍼灸師になればそれだけ強みがあるということです。高校を卒業し18歳で専門学校に入学、21歳で鍼灸師になった新卒とはスタート時点の社会経験が違います。専門学校に入る前に開業に必要な経理や経営、広報などを知っていたとすれば、それだけ開業に有利ですし何が危険なのか察知しやすいでしょう。

私も飯塚先生も大卒、一般企業への就職経験があります。その経験は開業に際して大きな強みであるわけです。

 

他の科を持つ

呉竹学園の3校はいずれも柔道整復師科を併設しています。そのため専科でも本科でも、柔道整復師科から進学してくる生徒が一定数いるわけです。呉竹学園でも学内進学を推奨していますし(ダブルライセンスを!と謳っています)。柔道整復師科を卒業して鍼灸を学ぶと鍼灸の前に柔道整復師の基盤があるので当然強くなります。反対もそうです。

私の場合は本科を出てから柔道整復師科に入学しました。今は柔道整復師らしい業務をしていませんが、柔道整復師としての技術と知識は大いに役立っています。その気になれば整骨院を開業することもできるわけで、開業スタイルの選択肢が広がるので生き残る可能性は上がります。

これは東京校の教員養成科も似ています。私や飯塚先生の頃は経営手法の授業がありましたから開業するための準備が授業を受けているだけでできました。今はカリキュラム変更となってそこまでではないようですが、学生の自主運営は変わりません。学生が附属施術所を運営しますから備品の発注や受付、在庫管理、経理まで行います。開業するための基礎はある程度実践で学ぶことができます。

そして複数の科を出ると例え高卒18歳で専門学校に入学したとしても卒業時は23~24歳くらいになっています。専門知識と共にある程度の社会経験や人付き合いを学び経験する時間が取れるので即開業となってもある程度生き残りやすくなっているものと思われます。

 

鍼灸師の関係者が多く入学する

これだけの伝統があると生徒には二代目、三代目という人も出てきます。親が「呉竹卒」で子どもも入学する。あるいは祖父や祖母もそう、みたいな。

鍼灸師の家系であればそれだけ有利です。実家を引き継ぐにせよ、新しく始めるにせよ。身近に力強い先輩がいるわけですから。私はサラリーマンの家庭で突然この業界に入りました。もしも娘が同じ道を進むとなったら、これまでのノウハウを全て教えるので開業しても生き残る可能性は高くなることでしょう。

他にも親類が「呉竹卒」だとか、ずっとお世話になっている先生が「呉竹卒」なので入学するという例は多々あります。学校に入る前から手助けしてもらえる環境にあるのでスタートダッシュが違います。

伝統校であればよくあることですが卒業生の多さが影響することでもあります。

 

 

<「呉竹卒」は開業しても生き残るか?>を立証できそうな仮説を挙げてみました。細かくはまだありますが、量と質の影響があると考えています。質に関しては人それぞれといえばそれまでなのですが。

 

私個人として、専門学校入学前から卒業後の未来は決まってくると考えています。

きちんと業界研究をして専門学校を調査する。

将来何をしたくて学び資格を取るのか考えておく。

そういった入学前の準備が疎かだと卒業後に挫折して廃業してしまうと思うのです。私の頃はそこまで深く考えなくても何とかなった気がしますが、この時代はどうも違うらしいと。私が専門学校生や進学希望者をサポートするのはそのためです。

 

「呉竹卒」だから成功する、とは決して言いません。業界を去った人を知っています。

呉竹学園に入らないと不利だ、とも決して言いません。他校でも大活躍している人をたくさん知っています。

 

大切なことは正しい情報を得て、考えて行動することです。事象には何かしらの要因があるわけで、調べたり考えたりしなければ物事はうまく進みません。

 

甲野 功

 

★ご予約はこちらへ

電話   :070-6529-3668

メール  :kouno.teate@gmail.com

LINE :@qee9465q

 

ご連絡お待ちしております。

 

こちらもあわせて読みたい

院長の考えについて書いたブログはこちら→詳しくはこちらへ