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先月つまり昨年末に、映画「えんとつ町のプペル」を観てきました。この作品はよしもと所属の芸人西野亮廣氏が総指揮を取ったアニメーション映画。西野亮廣氏が長い年月をかけて完成させたものです。
私は3年前に著書「革命のファンファーレ」を知り、西野亮廣氏に興味がわきました。
彼が人気芸人としてテレビ出演していた時期は、ほとんどバラエティー番組を見ていなかったのでその活躍を目の辺りにしていません。その後人気絶頂でありながらテレビから距離を置く道を選択し、仲間であるはずの芸人からバッシングを受けたといいます。その姿も私は知りません。
鍼灸マッサージ師として臨床現場に出るようになり、世間で流行しているものには例え自分の興味が無いことでも押さえていこうという考えに至りました。そしてみんなが観るようなテレビ番組、コミック、映画、話題にも目を向けるようになりました。そこで知った“キングコング西野”という芸人はテレビ東京の深夜番組、ゴッドタンで劇団ひとりと茶番のようなケンカをしている人。
それくらいの印象だったのですが、革命のファンファーレから西野亮廣氏が起こす行動に注目するようになっていきました。
その後は西野亮廣氏の著書を読み、ネットに散見している記事や探し、オンラインサロンの入会を決めます。それによりここ3年ほど西野亮廣氏の行動原理やアイデア、挑戦した内容とその結果などをつぶさにみてきました。
現在公開中の映画「えんとつ町のプペル」もずっと前から構想があり水面下で活動していることを知りました。絵本「えんとつ町のプペル」もビジネス書籍としてヒットした各著書も、映画を製作して成功させるための前段階でした。世間に知られていない細かい施策が山ほどありますが、昨年のクリスマスに公開した映画「えんとつ町のプペル」のためのもの。
そのことを見てきた私は成果を確認するために映画館に足を運びました。
たまたま新宿の映画館で西野亮廣氏が舞台挨拶をする回があり、そこに合わせてスケジュールを調整して行ってきました。
まずは映画そのものの感想です。
前に書いたことがありますが、かつての私は週に4本くらい映画館で邦画を観る人間でした。邦画が好きで話題作からほとんど世に知れられていない作品まで一時期手当たり次第観ていました。都内各所の名画座を巡ったものです。鍼灸マッサージ師となって臨床に立つようになると忙しくなり映画館に行かなくなりましたが、映画鑑賞には慣れています。
この映画「えんとつ町のプペル」は絵本を原作としたアニメーション映画です。本当は映画のシナリオが先で内容を削って絵本にまとめたのですが。
私のアニメーションの映画はスタジオジブリの「ハウルの動く城」で止まっています。それ以降ほとんど観てきませんでした。最近では、日本映画興行収入1位に輝いた「鬼滅の刃 無限列車編」を観たくらいです。
本作「えんとつ町のプペル」も質の高いアニメーションで現在の技術がここまで高くなっていることを痛感しました。作り込まれた背景。カット割り。動き。素晴らしかったです。
想像以上に感心したのが声優の力でした。「鬼滅の刃」は本職にしている声優陣が行っていますが、「えんとつ町のプペル」は有名タレントばかり。認知されているので注目されますが、声自体に馴染みがあるのでキャラクターに合わない可能性があります。それがどの役もしっくりきています。芦田愛菜さんの声も藤森慎吾さんの声も小池栄子さんの声も。普段聞きなれているため本人の顔が浮かんでくるものですが作中のキャラクターに馴染んでいます。ここで挙げたお三方は本当にイメージ通りで声優としても凄いのだと感じました。
ストーリー展開はベタなものです。元々絵本を読んで結末を知っています。変にひねくれていないストレートな物語。まあきっとこうなるよね、という予想そのものでした。このことにはとても意味があるのですが。箱庭物と言われる権力者によって外界から遮断された世界で主人公達が真実を知り新しい世界を知ろうとする冒険活劇です。
映画音楽も練られていました。映画、特にアニメーション映画に音楽はとても重要であることは明白です。昔からディズニー映画は音楽制作と物語政策が同時進行ですることが知られており、音楽によって映像を変えることもよくあるそうです。
「えんとつ町のプペル」も意味のある音楽とそれに合わせた映像になっていると思いました。
個人的に良かったことがエンディングテーマ。西野亮廣氏が作詞作曲したというので期待していなかったのですが(失礼)、3拍子のリズムに驚きました。もっと言うとウィンナーワルツ(ヴィニーズワルツ)のリズムだったのです。社交ダンス経験者の私にはワルツのリズムは体に染みついていて、しかもテンポがウィンナーワルツ。日本の楽曲で3拍子の曲は少なく元々馴染みのないリズムだと言われています(だから小学校の音楽の教科書にはエーデルワイスがあるのだとか)。エンディングテーマを聞いたときに『これで踊れるな』と即座に思いました。このリズムのエンディングテーマを採用することに驚きました。
エンドロールも印象的でした。映画が終わると演者・スタッフ・関係各所などが延々と書かれたエンドロールが続きます。映画好きはここもきちんと見るのですが、本編だけで十分もう必要ないと席を立つ人も少なくありません。単純に時間がないこと方もいるのでしょうが。私はエンドロールも含めて作品だと思って必ず観るようにしています。
エンドロールをどう作るかも見所です。基本的に情報を載せるだけなので面白くありません。ホームページを見れば出ていることです。それを音楽も含めてどう表現するのか。今も記録を更新し続けている映画「鬼滅の刃 無限列車編」も斬新なエンドロールで人気に一役買っていると思います。ネタバレになるので正確に書きませんが。
「えんとつ町のプペル」のエンドロールは次回作の布石になっているものであり、歌詞によって作品を総括してもいます。エンディングテーマの歌詞が表示されるので音楽だけでなく歌詞によるメッセージも加味されています。「鬼滅の刃 無限列車編」とは対照的な表現をしていると思いました。
ここまで一般的な映画の感想です。絵本「えんとつ町のプペル」を知らなくても、西野亮廣氏を知らなくても、前情報が何も無くても家族で楽しめる娯楽作品だと思います。私が小学生の頃観たスタジオジブリ作品のように。
しかしこれまでの西野亮廣氏の体験や施策、制作過程を知るとより作品から受ける印象が変わります。知れば知るほど楽しさや感動が増す作品になっています。
製作総指揮、原作、脚本を務めた西野亮廣氏の人生を投影したのが「えんとつ町のプペル」です。
キングコング西野は若くして大成功をおさめた売れっ子芸人でした。しかし限界を悟りテレビ番組から離れて独自の活動にシフトしていきます。その先見性に周囲がついていけず、仲間であるはずの芸人からもバッシングを受けます。その時経験した実体験が作中に描かれています。
主人公プペルに浴びせられる辛辣なセリフも、ルビッチが叫ぶセリフも、実体験から来ているもの。幾度となく西野亮廣氏が語ってきたことですから、鑑賞中にああそうそうと分かってしまいました。そのことについては映画公開直前に出した「ゴミ人間 日本中から笑われた夢がある」に書かれていますので読むと納得できるでしょう。
また長編アニメーション映画を作るためには莫大な製作費が必要です。宣伝広告費も含めると金額は跳ね上がります。そのために西野亮廣氏はクラウドファンディングを実行し、ビジネス書籍を出版し、絵本をヒットさせ、日本最大のオンラインを運営しています。オンラインサロンは現在7万人以上の会員がいて国内ぶっちぎりのトップです。
つまり西野亮廣氏は日本有数のマーケティング広告関連の猛者なのです。
私がオンラインサロンに入会しているのもトップビジネスマンのやり方を知りたいというのが一番の理由。時代の変化を先読みしてトラブルに対応する能力が凄いので個人事業主として日々学ばせてもらっているのです。
映画「えんとつ町のプペル」にはこれまでに西野亮廣氏が経済、経営に関して研究してきた内容もストーリーに組み込まれており、お金とは何か?を考えさせられます。現実の貨幣経済とは異なるシステムを持つ『えんとつ町』の世界。その設定に私はとても興味がそそられました。
広報活動を含めてみてみるとより面白いのです。私が映画館まで足を運んだ理由はここが一番かもしれません。いかに映画「えんとつ町のプペル」を多くの人に見てもらおうかという施策を積み上げてきたのか。
知っての通り昨年から新型コロナウィルス流行により日本は、世界は、大打撃を受けています。当然ながら昨年中の映画公開を見合わせた方がいいのではないかという意見が出たそうです。西野亮廣氏は敢えてクリスマスに、ポケモンと同じ公開日にする、という決断をくだします。もちろん勝算があってのこと。
オンラインサロンの投稿で紆余曲折、無数の作戦をしてきたことを知りました。その中で一番重要なことだと私が考えていることが、「お客は確認作業でしかお金を払わない」という行動心理です。このことについては別に細かく書きますが、広告、マーケティング、経営などにおいて新たな真理になった気がしています。
このことにいち早く気づいた西野亮廣氏は何年も前から戦略を立てて広報活動をしています。
映画公開を前に本当に驚いたことがありました。昨年10月末に次女を迎えに保育園に行ったところ絵本「えんとつ町のプペル」を読み聞かせて劇ごっこをしていたのです。なぜここに絵本があるのか?と思い先生に聞くと、ある保護者が絵本を寄贈してくれてハロウィーンなのでやりました、という回答。
西野亮廣氏が「えんとつ町のプペル」でハロウィーンのアイコンを取りに行くとしていたのは以前から知っていたのですが身近に浸透していたことに本当に驚きました。新型コロナウィルスで例年のようなハロウィーンイベントはできない状況で保育園児に代わりに絵本「えんとつ町のプペル」を読みましょうと。この事実は本当に驚きました。
その後、次女が家でも読みたいというので絵本「えんとつ町のプペル」を買いました。
当日映画館に足を運んだきっかけに西野亮廣氏の舞台挨拶があること。時間を合わせて新宿まで行きましたが、この舞台挨拶がまた練られたものでした。舞台挨拶ではなく講演会だったのです(今は本人も舞台挨拶とは言わず舞台講演と言っているようです)。
そこでは作者本人の口から細かい作品の設定、今後の展開などが語られました。内容は守秘義務があるので書きませんが、作中に多くの伏線を組み込んでいます。
凄いのはアンチ西野ならこう突っ込むであろうことを予想して物語を作っていること。ここが変だよ、無理があるよ、おかしいじゃないか、という批判してくるポイントを計算して敢えて説明せずに作り、舞台講演で実はこうでしたよと本人が語る。それを聞くことでもう一度確認してみようとリピートして映画館に訪れる人が増えるでしょうし、ネットに批判記事が出てもああ書いている人は西野に踊らされているなと、知っている人たちはせせら笑うという。これは良くできているなと。
映画が公開されるにあたり批判記事がネットに出ていますが、なかなか支離滅裂で。宗教だ!と未だに批判をしている人はその行動そのものが「キングコング西野がやっていることは宗教だ!と信じ込ませる宗教」になっています。そもそも宗教関係者に失礼ですし、どれだけ結果を残してもキングコング西野は嫌われ者でみんなで叩く存在でなけばならないと信じているように映るのです。作中に出てくる主人公ルビッチを批判していたのに、ラストで、お前のことを認めたらあのとき夢を諦めた自分はどうすればいいんだ!、と泣いていたキャラを彷彿させます。きっと西野亮廣氏は分かって作っていますね。
作品への批判も、本当に駄作ならみんな見ないよね、という話に過ぎず、「鬼滅の刃」同様注目されているからアンチ記事も読まれるはずという目論見を感じます。
作品制作過程を含めての映画「えんとつ町のプペル」鑑賞でした。今も西野亮廣氏は全国の映画館を訪れて舞台講演をしています。YouTubeをアップして音声配信をして文章を書いています。映画公開に合わせて地上波テレビ番組に出演しまくり宣伝をしてきました。ゴールデンタイムのテレビ番組ですら映画宣伝の手段に使っています。
宣伝規模の違いは別として、彼の努力し行動し続ける姿を見習いたいと思います。昨年、新宿の映画館で冬休みとはいえ平日の午後、新型コロナウィルス感染者が増加の一途をたどる時期に、満席の館内を目の当たりにして、これが何年もかけてやり続けてきた成果なのだと実感しました。
甲野 功
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