開院時間
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本日の午前中に関東鍼灸専門学校副校長である内原拓宗先生と共に、互いの母校にあたる東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科(以下、教員養成科と表記)を訪問しました。教員養成科科長が今年度末で異動になるのでこれまでのお礼を兼ねてご挨拶に行きました。
現東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科科長は教員養成科に就任して15年、科長になって10年だそう。私も内原先生も教員養成科時代の先生であり在学中は大変お世話になりました。鍼灸マッサージ科が基礎を学ぶ場であったのに対し、教員養成科は実践・応用を学んだ場でありました。今こうして開業してやっていけるのは鍼灸マッサージ科で国家資格を取ったことが大前提ですが、実務に直結する技術と知識を習得したのは教員養成科です。
また卒業後には内原先生との特別授業を設けてもらいました。昨年もそうでしたが特別授業の前後で専門学校専任教員、開業鍼灸師、教員養成科の3つの立場で意見交換、情報交換をしてきました。ここでの話は専門学校の状況が分かる貴重な場でした。
先月の卒業論文発表会で東京校校長の口から異動の話を聞き、3月になり公表されたということでした。長年教員養成科を支えた科長にお礼のご挨拶をしようと内原先生に連絡してアポイントを取りました。
私は2012年に教員養成科に入学し卒業後も関係が続きました。その間、業界環境はどんどん変化していき、教員養成科も同様に変化していきました。鍼灸マッサージ専門学校における教員養成科として最初に誕生した本校教員養成科。近年そこを発展させてきた立役者です。数百名の卒業生を輩出し、全国の専門学校に教員を供給し臨床現場や研究の場で活躍する人材を育ててきました。この異動は大きな転機になると感じています。
専門学校教員には卒前教育・卒後教育という言葉を使います。卒前とは専門学校卒業前という意味であん摩マッサージ指圧師・鍼灸師の国家資格を取るまでの教育を卒前教育といいます。卒後は専門学校卒業後を意味し、国家資格を取ったあとのそれを卒後教育と言います。教員養成科は鍼灸師免許を取得している生徒が入るので卒後教育となります。対して専門学校の授業は卒前教育になります。
卒前教育と卒後教育は同じライン上で陸続きではあるのですが意味合いが大きく異なります。
先日国家試験が終わりましたが卒前教育の最大のそして最低限の課題は国家試験合格です。どれだけ実践的な勉強を修めたとしても国家試験に合格しなければ臨床現場に出ることはできません。そして国家試験には実技がなく選択問題だけ。実技は各専門学校で修得させるものとします。実技認定を学校が出すだけであり国家試験で実技審査をされることが無いのです(都道府県の資格だったときは実技試験があったそうですが)。そのため卒前教育はどうしても国家試験対策に重きが置かれます。特に年々国家試験の難度は上がっているため試験対策が大きな比重を占めることになります。
卒後教育は国家試験に合格してからの教育であり、試験対策はもちろんありません。臨床で使えることを中心に実践的な教育になります。かつては卒前教育と卒後教育は同質であったようですが、座学だけの国家試験に形式が変わったことと国家試験難度の上昇により隔たりが出てきました。今まさに国家試験を終えて自己採点で合格したと判断している3年生がそうですが、国家試験合格を目指した学習から臨床に使える技術を身につける学習にシフトチェンジしないといけません。
内原先生は卒前教育をして教員養成科科長は卒後教育をする。同じ専門学校教員でありながら内容が異なります。その二人の会話を聴くことで立場の対比を知ることができます。個人的に卒前教育と卒後教育のギャップをどう埋めるのかが重要だと考えています。私は卒業後資格を活かすことができず(活かすことをせず)鍼灸をしなくなり、廃業するあるいは資格を取るには取ったが臨床で使うことなく別の職業に就く卒業生が少なくない現実をどうにかしたいと思っています。そのためには卒前教育がどのような状況になっているのかを現状を知ることが大切で、卒後教育においては何が必要なのかを伝える義務があるのだと考えています。
往々にして開業側は『専門学校では役に立つことを教えない試験対策ばかりだ』と学校を批判しがちです。確かにそうかもしれませんが卒前教育でやるべきことをやった上での話であるので、基本や国家試験に受からないのであれば前提が崩れてしまいます。対して私のように開業している立場ですと、嫌でも集客面、経営面、法律面など技術以外の要素を学ばないといけなくなります。腕さえよければ、というのは理想郷で現実的ではありません。腕さえよければの状態になるまで長い道のりがあります。
それらのすり合わせをする場が内原先生、教員養成科科長、私で話す内容の大部分。ここで得た経験を私は個人的に鍼灸マッサージ学生や進学予定の人に還元しているつもりです。教員養成科の学生だった頃はもちろんのこと、ここ2~3年の情報交換は大きな財産になっています。その恩師が異動になることは私にも大きな影響を与えます。
長きに渡り東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科を支えてきた科長には感謝とお疲れ様ですという気持ちを伝えました。新年度から新しい場で活躍する科長に期待しております。新しい教員養成科も楽しみです。
時間を作っていただいた科長、千葉から駆けつけてくださった内原先生に感謝申し上げます。
甲野 功
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