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~東京都鍼灸師会SGで話をしました~

東京都鍼灸師会主催SGポスター
東京都鍼灸師会主催SGポスター

 

 

先日の日曜日に東京都鍼灸師会主催、「鍼灸学生交流会SG」のオンラインイベント『先輩にいろいろ訊いてやろう』に招かれて話をしました。

 

以前からよく知る東京都鍼灸師会広報の野村森太郎先生からの連絡でした。何となく開業の話をすればいいのかなと軽く考えて引き受けたのですが、告知ポスターを見たら自分の名前しか出ていなくてちょっと焦りました。何を話そうかなと。

 

SGというイベントに参加したことがないのでどういう雰囲気、内容なのか不安でした。タイトルに『訊いてやろう』とあるので、受け身で質問に答えていけばいいのかなとも。ただ経験上、質問をどうぞと言われても“何を質問したらいいのだろう・・・”という状況に陥ることがままあることを知っています。そこら辺はファシリテーターをするであろう野村森太郎先生が立ちまわってくれるでしょうが、質問をしたくなるようなことを先に私が投げかけた方がいいのだろうと思考を進めました。

 

また今から1週間くらい前に現役の鍼灸マッサージ学生さんと話す機会があり、どういうことが聞きたいですかとこちらから質問してみました(この学生さんは今回のSGには参加しません)。「甲野先生がどのような経緯で開業したのかを話すのがいいと思います」という回答を得ました。

 

野村森太郎先生からは<甲野先生の自己紹介、開業までの経緯、開業してからの苦労などの情報シェア>という進行予定内容が送られてきたので、学生さんの意見も踏まえてやはり自己紹介から開業までの経緯を話すのが正解だろうと。また<開業してからの苦労>という文言がポイントととなり、開業してから苦労したこと失敗したことなどネガティブな面にも焦点を当てることが私の頭に無かったので、今までにない資料を作れると閃きました。そこからせっかくの機会とこの時期ですから昨年2月くらいから続く新型コロナウィルス流行によるいわゆるコロナ禍の状況で経営状況がどう変わったのか振り返ったら面白いなと思考が進みます。

 

幸いなことにこれまで何度も資料を作成して来たので過去のものを切り貼りして再編集することで資料ができあがりました。いつものことですが資料が増えすぎて、当初は自己紹介、開業まで、鍼灸学生時代のこと、という3種類作ってしまい(作りかけて)、いやいやこれは長くなりすぎるだろうと軌道修正、内容を削って作り直しました。昨年秋の6時間話したときの資料を元にしたのですがその反省を活かします。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 SG向け資料スライド
SG向け資料スライド

 

 

私が鍼灸学生さんに(学生以外の鍼灸師さんにもそうですが、特に学生さんに向けては)話すときに冒頭に強調することがあり、

セミナーや講演・授業などに参加する際には話す人(スピーカー、講師)のバックボーン(背景や経歴)と主義(考え、流派)を知るようにするようにしましょう

と言っています。

 

あまり私を知らない人はいち鍼灸師だと思って話を聞くことでしょう。東京都鍼灸師会主催ですから。ただ私は鍼灸師以外の国家資格も持っていますし、一般企業勤務経験もあります。個人を形成する色々な要素の中に「鍼灸師」のパーツがあるわけで、私の話す内容が「鍼灸師全体の意見」には絶対になりません。また考え方や技術の流派などを知らないと前提となるベースが違ってしまうのでそこも踏まえてほしいと。学生さんからすれば、同じ鍼灸師でしょ、と思うかもしれませんが現代医学ベースの鍼灸をする人、伝統鍼灸を主に使う人、中医学のみで鍼灸をする人では「同じ鍼灸師」でも大きな差異があるものです。また私自身の経験ですが、親や親類が鍼灸師である鍼灸師と話すと育った環境が自分と違うことを感じます。家庭環境や血筋も重要な要素だと思うのです(それにより優劣があるとは思いません)。

 

というわけで前半の資料には私の生い立ちをお伝えするものにしました。どのような家庭に生まれて、どこで育ち、どのような学校に行き何を学び、就職して、脱サラして、専門学校に入って、就職して。何が起きて結果今に至るのかを。身内に鍼灸師がいない環境で突然鍼灸師になる。しかも当初の動機はあん摩マッサージ指圧師免許が取りたくて“ついでに取った鍼灸師免許”であること。そして理科系出身ゆえの東洋医学への懐疑。結局開業するに至った経緯を知らせるようにしました。

 

続いて開業することへの心情の変化に焦点をあてました。元々独立志向は一切なく、安定した組織で安定した生活をしたいと願っていました(だったら脱サラするなという矛盾もありますが)。それがどのようにして独立開業、一人鍼灸院を始めるようになったのか。その心境、心情の変化。変化に至るためのエピソードを挙げました。運命のいたずらと言えるような職場や生活環境の変化が後押しした面もあります。開業するにあたり決めたこと、こだわること、やらないこと、なども列記しその理由も綴る資料を作りました。本当に今は開業スタイルが多岐に渡るようになっていますので、参考になればなと思いました。

 

そしてコロナ禍での経営状況をグラフを用意して説明しました。2020年にどのようなことが起きたのか。その前年2019年と何が違ったのか。来院した患者数、売上、平均単価という3項目を月別で前年比を加えたグラフを作成しました。結果に対する考察も自分なりに加えました。そして今年2021年に入ってどのような状況になっているか。コロナ禍での数字比較はちょうどデータを昨年末にまとめておいたので計算し直して載せました。今回の依頼が無ければ作成しなかったので、よい機会だと思いました。

 

普段の私が作る資料にしては短めになりましたが、それでもまあまあの量になりました。考えたことは、質問したくなる内容に。もう少し踏み込むと、聞いている皆さんに「それは違うだろう」、「自分ならそれはしないな」、「なぜそういうことをするの」といったフックになるように。質問・議論に繋がるような投げ掛けができればと

 

資料を見せながら生い立ちから開業、そしてコロナ禍の経営状況を説明した後は質疑応答でした。

 

保険を一切使わないのはどうしてですか?という質問がありました。

私は柔道整復師であり接骨院の保険請求業務をしてきた経験があります。またクリニックに就職し職場が医療制度に関する問題行動があったことを目の当たりにしました。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師である私は各資格で保険を用いた施術行為ができなくもないのですが、これまでの経験から手を出さない方が賢明だと判断しました。

この質問に関しては保険を用いて鍼灸を行っている先生、保険請求内容を調査する立場の先生が参加しておりより細かい現状や意見交換がなされました。私は保険のシステムが保険者や国の方針で変わることも経営リスクになると考えているのですがそのことには触れず回答しました。ちょうど他の参加者によってシステムの詳しいお話が出て良かったと思いました。

 

店舗の前に出張専門で開業するときの気持ちは?という質問がありました。

どこかに所属することをやめて個人で始めるときは勇気がいるものです。その時の心境を聞かれたのです。これは子どもを保育園に入れるためという理由があったと答えました。保育園に子どもが入るためには両親が共働きであることが必須条件で、鍼灸マッサージ教員養成科に進学する際に学校の勉強は労働とみなされず、保育園の入園を取り消されてしまいます。そうなると授業前後に働く必要があり、朝8時くらいから9時まで、午後5時から8時までという感じで仕事をしていないといけないのですが、そのようなバイト先を見つけることは現実的ではありません。自営業として出張専門で開業するしかなかったというのが現実でした。

唐突にこの話をすると理解しがたかったと思うのですが子どもの誕生も時系列で話をしていたので説明しやすかったと感じています。不安以前にやるしかないという状況であったこと。他の参加者から覚悟を決めるということだよね、という意見がありました。自分自身だけでは覚悟が決まらなかったかもしれませんが家庭のことが関わると一歩を踏み出すものです。

 

企業訪問鍼灸師について考えを聞かせてくださいという質問がありました。

これは東京都鍼灸師会で企業訪問鍼灸に関する活動をしている先生からの質問で、事前にSNS上で少し意見交換をしていました。私は企業勤務経験を踏まえて守秘義務に関すること、特に企業情報に関わる点について何かしらの基準、ガイドラインを定めることが必須ではないかという意見を出しました。企業勤め時代に精神ストレスが強く体調を崩し退社を決意してのであの時いたら良かったなという願望と、会社員側の立場からすると情報漏洩はとても気になるだろうなという懸念です。実際に企業訪問をしてきた先生から実際のケースを聞き意見交換を画面上ですがすることができました。

 

他にもファシリテーターである野村森太郎先生の働きで多岐に渡る内容の話が出ました。質問したくなる、議論を投げかける、ための発表という点で良かったかなと思いました。

 

また東京都鍼灸師会の若い理事たちの意見を聞くことができて、それまで持っていた東京都鍼灸師会、ひいては業界団体に対する印象が変わりました。結局、団体がどうなのかというより中で動いている人を信用できるかが重要なのだと感じたのです。このことは大きな気持ちの転機で、考えを改めるきっかけになりました。

 

今回リモートではありますが、鍼灸学生さん、東京都鍼灸師会の皆様の前で話をすること、そして議論を交わすこと、普段交流のない先生方の意見を聞くことができたこと、これらの貴重な時間を過ごすことができました。お誘いいただいた東京都鍼灸師会並びに広報の野村森太郎先生に感謝申し上げます。

 

甲野 功

 

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