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今年は2021年。2011年から数えて10年です。
2011年と言えば東日本大震災発生や女子サッカーワールドカップ優勝などの印象が強いかと思います。個人的なことでいえば私が柔道整復師国家試験を受けたのも同じ2011年。柔道整復師国家試験は3月最初の日曜日に行われますので東日本大震災とセットで記憶に刻まれています。つまり柔道整復師になって10年が経過したということです。
直接的な柔道整復師らしい仕事(接骨院で勤務する、接骨院を開業する、急性外傷の処置をする)ということはしていませんが柔道整復師になるために学んだ3年間は嘘ではなく、今でも大いに役に立っています。免許を返上しない限り柔道整復師という資格は残ります。
柔道整復師業界はこの10年間でどうなってきたのかを考えるときがあります。
一つの客観的な指標として国家試験受験者数推移があります。昨年はあはき柔整(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師のこと)の国家試験の数字を振り返ったのですが、今年は柔道整復師国家試験のみをみて考えてみたいと思います。
これらに公開されている国家試験受験者数、合格率を元にデータをまとめてみました。
今年2021年3月に実施されたのが第29回柔道整復師国家試験です。
受験者数は4,561名。そのうち合格者数が3,011名。合格率は66.0%でした。新卒と称される現役生の合格は85.6%。既卒と称される受験浪人生の合格率は21.6%。
これがどのような数字なのか。第1回からの数字は以下の通りです。
順番に実施回、受験者数、合格者数、全体の合格率、新卒合格率、既卒合格率となっています。
第1回(H4年度)1992年実施 1,066 963 90.3% - -
第2回(H5年度)1993年実施 1,194 1,059 88.7% 92.4% 45.8%
第3回(H6年度)1994年実施 1,213 1,005 82.9% 90.3% 26.8%
第4回(H7年度)1995年実施 1,276 1,063 83.3% 92.9% 31.8%
第5回(H8年度)1997年実施 1,296 1,137 87.7% 96.0% 42.5%
第6回(H9年度)1998年実施 1,251 1,071 85.6% 94.1% 23.8%
第7回(H10年度)1999年実施 1,266 1,091 86.2% 95.9% 23.5%
第8回(H11年度)2000年実施 1,260 1,024 81.3% 91.0% 14.9%
第9回(H12年度)2001年実施 1,338 1,041 77.8% 89.7% 22.1%
第10回(H13年度)2002年実施 1,439 1,128 78.4% 91.7% 21.9%
第11回(H14年度)2003年実施 2,454 2,108 85.9% 92.4% 35.6%
第12回(H15年度)2004年実施 3,000 2,215 73.8% 80.7% 15.8%
第13回(H16年度)2005年実施 4,122 2,902 70.4% 79.7% 26.7%
第14回(H17年度)2006年実施 5,127 3,755 73.2% 85.2% 32.5%
第15回(H18年度)2007年実施 5,944 4,416 74.3% 85.9% 33.8%
第16回(H19年度)2008年実施 6,702 5,069 75.6% 87.7% 32.8%
第17回(H20年度)2009年実施 6,772 4,763 70.3% 84.4% 24.2%
第18回(H21年度)2010年実施 7,156 5,570 77.8% 91.1% 40.6%
第19回(H22年度)2011年実施 6,625 4,592 69.3% 83.4% 21.1%
第20回(H23年度)2012年実施 6,754 5,227 77.4% 92.7% 37.7%
第21回(H24年度)2013年実施 6,503 4,438 68.2% 83.7% 13.6%
第22回(H25年度)2014年実施 7,102 5,349 75.3% 91.3% 32.2%
第23回(H26年度)2015年実施 6,858 4,503 65.7% 80.8% 14.7%
第24回(H27年度)2016年実施 7,115 4,582 64.4% 82.3% 22.6%
第25回(H28年度)2017年実施 6,727 4,274 63.5% 82.9% 22.5%
第26回(H29年度)2018年実施 6,321 3,690 58.4% 78.5% 16.7%
第27回(H30年度)2019年実施 6,164 4,054 65.8% 86.1% 26.3%
第28回(R1年度)2020年実施 5,270 3,401 64.5% 84.8% 16.5%
第29回(R2年度)2021年実施 4,561 3,011 66.0% 85.6% 21.6%
グラフにしてみると分かりますが、現在は受験者数、合格者数ともに第18回をピークに減少傾向にあります。第1回から第10回までは概ね横ばいで推移し、第11回から急激に増加していきます。そして第19回以降現象しつつあることがわかります。
つまり私が柔道整復師国家試験を受けた頃からこの10年でどんどんと受験者数、合格者数が減っているのです。私が受験した第19回は受験者数が6,625名で合格者数が4,592名。今年29回に比べると受験者数は約2,000名、合格者数が約1,500名減っていることが分かります。人口減少が始まったとはいえ減少が顕著ではないでしょうか。
特に直近3回の減少は激しく今年も昨年に比べて受験者数、合格者数ともに大幅に減少。前回の第27回の受験者数5,270名から今年第29回では4,561名と700名あまりの減少。合格者数は400名弱の減少です。受験者数は6千名台(27回)→5千名台(28回)→4千名台(29回)と千名のオーダーで減少しています。今年は合格者数が3000名を切りませんでしたが、次回第30回では割りそうな傾向です。
合格率に目を向けると全体としては低下傾向にあります。第1回は合格率9割という今みると異常な合格率です。受験者数が急増する第11回あたりから合格率が低下していき7割くらいにいます。そして私が受験した第19回で全体の合格率が7割を切ります。当事者だったのでよく覚えていますが、問題の傾向が変わって難しくなったと実感したものでした。そして第26回で全体の合格率は6割を切ります。この第26回ははり師、きゅう師の合格率も大幅に下がった大変な年でした。そこからやや上向き今年は66%になっています。
グラフにすると分かりますが、受験者数の棒グラフに隣り合う合格者数の棒グラフは差が大きくなっています。新卒合格率と既卒合格率では大きな差があり、浪人すると合格することが一気に難しくなることがはっきりしています。
直近では大雑把に3割強が不合格になり翌年も受験するはずと仮定して、それでも受験者数が右肩下がりであるというのは柔道整復師を目指す人が減っていることに他なりません。その中には養成機関に入学しても退学するか、受験不合格を機に受験を断念していることも含まれます。また学校によっては合格率を上げるために合格が難しそうな生徒は留年させて受験させない処置を取るようで、実際の生徒数より受験者数は下がると予想されます。私の母校で言えば今年29回の受験者数をみたら10年前に比べてこれだけ減ったのかと驚くほどでした。
受験者数は減少し合格率も減少する。そうなると新しく柔道整復師になる人数は減っていく一方です。これははり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師にも同じことが言えますが。人口減少の結果なのか、魅力ない業界になっているのか。両方かもしれません。どちらにせよ受験者数の減少は養成機関である専門学校、大学の経営を圧迫し閉校、規模縮小を余儀なくされます。柔道整復師増加の原因は専門学校新設解禁があることが明白です。受験者数の減少は自然と適正人数になっている過程なのかもしれません。
甲野 功
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