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今年(第29回)の国家試験を数字で振り返る投稿。柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師に続いて鍼灸師です。
免許上では
はり師
きゅう師
と分かれています。
晴眼者(視覚障害のない健常者)の場合、ほぼ全員がはり師ときゅう師を両方同時に受験するので総称として鍼灸師とします。たまに片方だけ試験に合格せず、はり師免許のみ、きゅう師免許のみとなる場合があります。
国家試験ではほとんどが共通問題で10問ずつ専門問題があります。仮にはり師試験のみ、あるいは、きゅう師試験のみ受験する場合は10分間試験時間が短くなります。今回は四国の会場でそのことを勘違いして全員一律で10分間早く試験を終了させてしまうトラブルがありました。
また今回の第29回から学習カリキュラム変更があり問題数も増えました。そのため最低習得点数が以前よりも増えました。そのせいかは不明ですが過去3番目に低い合格率にはり師試験はなり、きゅう師試験も低い合格率になりました。
公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ ホーム > 国家試験の実施 > 過去の受験者数
これらのデータから数字をみて行きましょう。
第29回の結果です。
はり師受験者数3,853名 合格者数2,698名 合格率70.0%
きゅう師受験者数3,793名 合格者数2,740名 合格率72.2%
合格率は低めではり師は70%をぎりぎり切らなかったという結果に。過去に60%を切ることもありましたから(第26回)それよりはいいのですが第1回の約9割という合格率に比べれば難度が上がっています。学生は過去問題を解きますから同じ出題レベルであれば合格率は年々上がるはずです。反対に減少傾向にあるということは出題レベルが上がる、出題傾向を変える、出題範囲が広がる、といったことをして難度を高めているのでしょう。
※難しいか簡単かは極めて主観的なことで、受験生によっては今年は簡単だという人もいればとても難しかったという人もいます。よって結果の数字のみで論じます。
きゅう師試験ははり師よりも合格率が高い72.2%。受験者数がはり師試験よりも少ないのですが合格者は多いという結果に。若干はり師に比べてきゅう師の方が受験者数が少ない傾向があります。これまでの国家試験で合格した総数は、はり師ときゅう師はほぼ同数と言えるのできゅう師の方が若干はり師より合格率が高いことが裏付けられます。
注目するのははり師、きゅう師ともに合格者数が3千名を切ったということ。非常に合格率が低かった第26回を例外にすれば近年ずっと3千名を切ることはなかったのですが今年は2千名台の合格者数。高い合格率とは言えませんが大幅に低いわけでもありません。受験者数自体が減少している結果です。その証拠に今年の受験者数は4千名を割っており、ともに第12回(17年前)以来のこと。柔道整復師国家試験と同様に専門学校新設規制が解かれた後の爆発的な専門学校増加で上昇した受験者数が元に戻る過程のようです。
すなわち専門学校が自然淘汰されている状況になっていると考えられ、廃校、規模縮小が起きていることが数字からも読み取ることができます。また新型コロナウィルス流行の影響がより出てくることが予想されます。リモート授業になり退学した生徒がいるという話をちらほら耳にすることがあります。また入学を控えるというケースもあるでしょう。今年はコロナ禍初の国家試験でもありました。次回30回、31回と受験者数がどう変わるのか注目しています。
受験者数、合格者数、合格率についてみてきましたがこれらは全てトータルの数字です。実際には現役生にあたる新卒受験者と浪人にあたる既卒受験者の2種類が合わさったもの。データが分かった第24回以降でデータにしてみました。
歴然としているのが新卒の合格率は高く、既卒の合格率は低いということです。これは柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師と同じです。卒業して学校から離れると勉強するのが難しくなるからです。敢えて留年させて、留年して新卒受験をした方が有利であるとも言えます。
次に前回不合格になり、今回既卒受験者数として受験する割合に注目してみましょう。普通に考えれば前回不合格になった人数が全て既卒受験者数になるはずですが、現実はそうはなりません。大体2割くらいの人は翌年の受験をしていない計算になります。人によっては今年は回避して翌年に受けるということも考えられますが、二年以上空けて国家試験に再挑戦するというのは非常に珍しいと予想します。受験を諦める人もいると言えるでしょう。
柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師に続いて鍼灸師国家試験の数字をみてきました。どれも同じですが受験者数、合格者数ともに減少しています。柔道整復師、鍼灸師は専門学校が増えすぎて自然淘汰が進んでいると考えられますが。数が多いことは業界の力になります。これらの国家資格は開業権がある特殊な医療系資格であります。私も含めて脱サラ組や他の医療系国家資格者からの参入もあります。魅力が落ちてきていると言えるでしょう。
また昨年も同じことを書きましたが最低3年間勉強しないと受験できないので3年前の状況が受験者数に反映すると考えます。3年(以上)前に期待して入学した生徒が今年受験するのです。東京オリンピック・パラリンピック開催が決まってからは入学者数が増えたという学校もありました。業界に魅力を感じなければ入学する人は減るわけです。現場に出ている私もその原因がわずかながらあると考えています。
甲野 功
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