開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
先週の金曜日、4月9日。49で“しんきゅう”と読ませて「鍼灸の日」となっています(日本鍼灸協会の制定)。
(※ちなみに8月9日は「はりきゅうマッサージの日」です(全日本鍼灸マッサージ師会制定)。)
その鍼灸の日4月9日に<フレンドリー鍼灸院マップ>がリリースされました。主催、企画は鍼灸Webメディア「ハリトヒト。」。今年に入ってプランが発表されて準備が進んでいました。
ハリトヒト。は設立前からその存在を知っていて、創設メンバーとは全員面識があります。これからこのようなことを始める予定だと、メンバーから聞いていました。鍼灸業界の人物にインタビューしてその内容をWeb上で記事を出すことが主な活動です。それ以外にもインタビュー記事をまとめて製本する、インタビュー受けた方の選書を紹介、学術的な内容の記事を作成する、卒業後研修機関の紹介、リアルイベントの開催などを行ってきました。
そして先日満を持してリリースされたのが<フレンドリー鍼灸院マップ>です。
このサイトに当院(私)は、先行登録はもちろんスタートアップサポーターとして賛同しており、あじさい鍼灸マッサージ治療院の名前を表示させてもらっています。
なぜスタートアップサポーターとして支援したのかなどの個人的な想いとと共に<フレンドリー鍼灸院マップ>のことを紹介していきます。
「フレンドリー」という言葉、いや概念は、鍼灸マッサージ治療室らるくの飯塚先生へのインタビューで知ったそうです。
フレンドリーがあらゆる偏見の壁を壊してくれたらいい /鍼灸師:飯塚 聡
飯塚先生は「LGBTフレンドリー」を掲げており、性的マイノリティに対する偏見を持たない姿勢を発信しています。上記のインタビューはLGBTフレンドリーを中心に進んでいます。
飯塚先生は東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科の後輩にあたり、卒業研究で医療現場におけるLGBTフレンドリーに関する研究を行っています。インタビュー冒頭に触れられている1学年上の古代文献からLGBTの調査をして卒業研究として発表したときも、翌年飯塚先生が現代医療現場におけるLGBTに関する調査をした発表も現場で聴いていました。その時とても新しい、そして必ず重要になるテーマだと私は感じました。
そのLGBTフレンドリーからハリトヒト。が<鍼灸師フレンドリー>という着想を得たようです。
鍼灸師フレンドリーについては以前も書きましたが、鍼灸師同士の軋轢、壁というものが確かに存在すると感じていて、敢えてフレンドリーを打ち出さないといけない状況なのだと思います。
隣の芝生は青く見える、同族嫌悪、のような近しい感情があるのか悪い面が見えてしまう、意固地になってしまうのかも。私もそのようなことは一切無いと言ったら嘘で、それはどういうこと?!、何言っているの?!と内心憤慨することもあります。
プレイヤーである以上、臨床のこだわりが誰もがあるわけで個性の強い鍼灸師には仕方ないことかもしれません。
しかしネット社会が進み、SNSを中心に個々が自ら発信しかつ情報を容易に受け取れる環境になりました。5年、10年前では接点ができるわけがなかった人同士の繋がりが生まれるようになってきました。数年前から、特に新型コロナウィルスの影響が強くなってから、TwitterやInstagramを始める鍼灸師、鍼灸院が増えたと感じています(※鍼灸師業界だけに限った話ではありませんが)。しかも鍼灸学生さんのアカウントが増えたと。(※学生さんという区分には現在在学中だけでなく、これから鍼灸業界を目指そうというプレ学生も含みます。)
そのような変化の要請なのか、同業者である鍼灸師あるいは鍼灸学生に優しい<フレンドリー鍼灸院>の概念を明確化する動きをハリトヒト。が始めたといえるのではないでしょうか。
鍼灸学生さんからすれば見学に行きたい、受けに行きたい、学校の先生以外の技術を見てみたい、という希望があります。しかし中には「学生お断り」とする院や先生もいるので、断れたら嫌だなあという不安があります。来てもいいですよと分かる鍼灸院一覧があればそこから気になったところを選択することができます。
卒業して鍼灸師になっても一生習練は続きます。新たな知識、新しい技術。経営のことや広告のこと、財務のことやネットツールの使い方だってあります。先を行く同業者に聞いてみたい、相談してみたいという状況が生まれるでしょう。また素直に体が辛いから受けてみたいというのも。現金なことですが偵察、見学という場合もあるでしょう。
同業者もOKですよと分かっているなら気兼ねなく予約を取ることができます。
それを地図上にプロットして物理的な位置関係を明確にした<フレンドリー鍼灸院マップ>。
利便性も目を見張るのですが、マップ(地図)という仕様も興味深いものがあります。
ハリトヒト。ができるときにサイト名をどうするか話し合ったそうです。そのときに出た意見が「新しい地図」だったそう。もちろんこの案は却下されました。某国民的アイドルグループが解散し事務所を出た方の名前と一致してしまったのです。
このエピソードを知って、「地図」という言葉を選んだセンスが素晴らしいなと思ったものです。
鍼灸業界には地図が必要だと考えているからです。
鍼灸にはあまりに多くの流派、派閥、学問、得意ジャンルがあります。資格を取って10年以上経っている私にも全体像が掴めません。更に日々新しいジャンルへ鍼灸師が挑戦し、新しい技術が勃興しています。常時情報収集していても追いつきません。学生さんからすればもっと分からないことでしょう。鍼灸業界に「新しい地図」(になるようなものを)を作ろうという意見に感心しました。
このフレンドリー鍼灸院マップはまさに地図上に“鍼灸師や鍼灸学生のヒトに対して開かれた、友好的で、親しみやすい鍼灸院(※ハリトヒト。ホームページ上のフレンドリー鍼灸院の説明より)”がプロットされています。そしてそこには院名と所属団体や学会・勉強会の名称が併記されています。その名称からどのような組織やグループがあるかを知る機会となることでしょう。この業界に何があるのかを知るきっかけとなり、これも「地図」の役割をするのではないでしょうか。
私は以前から鍼灸師を目指す学生さんには業界の“地図”と“コンパス”が必要だと考えていました。私も鍼灸を真剣に学ぶようになって知れば知るほど世界は広く深く全容が掴めません。
私自身はこのような存在になりたいというコンパスにあたる方向性が確立されて専門学校に進学したので、いま振り返れば、割とすんなりとここまで来られたと思っています。
地図にあたるものをなるべく示しておきたいという気持ちが学生さんのサポートをする動機の一つになっています。フレンドリー鍼灸院マップという構想を知ったときに自身の考えに通じるなと思いスタートアップサポーターとして支援することに決めました。
このツールが始まりどのような動きが出るのか楽しみです。私の経験上、良いことだけでなくトラブルになることもあるかと思います。それでもこのマップが生み出す流れが横の繋がりを強化し、新卒鍼灸師が減少している今、未来を明るくしてくれると願っています。制作、運営をしてくださるハリトヒト。のメンバーに感謝申し上げます。
甲野 功
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