開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
日曜日に京都を訪問しました。いくつか目的があったのですが、京都の同業者に会いに行くこともその一つです。
今回の京都旅では上茶谷貴之先生のところに行きました。上茶谷先生はつい最近店舗開業された先生です。院名は「癒しマッサージ鍼灸院」。
上茶谷先生とはTwitterを通じて交流が生まれました。
約1年前でしょうか。当時これから開業をしようと情報収集をしている上茶谷先生と情報交換をする形で。
私と同じあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師を持つので、できることややってきたことが似ている面があります。上茶谷先生は素直にどんどん質問をくださります。私も思いっきり細かく回答します。長文で情報量を多くしても読んで意見を述べてくれる上茶谷先生はしっかりとしていて信用できる思いました。人によってはそちらが質問をしてきたのに、詳細な返信をみてひくのか読むのが面倒になるのか、音沙汰なしになる方もいらっしゃいます。上茶谷先生はそうではないなと。
本当は昨年行く予定であった京都訪問が1年後に延期したという偶然なのか、ちょうど開業した上茶谷先生のところに行くのがいいと思いました。私もあじさい鍼灸マッサージ治療院を開業したときは、誰か来てくれることがとても嬉しかったのです。花を贈るより施術を受けに行った方が嬉しいなという実経験をもとに。調べてみると京都駅から遠くありません。必ずいくANAクラウンプラザホテルとの位置関係を考慮して予定を組みました。
当日。朝6:00東京発ののぞみ新幹線で京都駅へ。8:10頃に京都駅に到着し徒歩で東寺方面へ。地下鉄や電車に乗る手段もあったのですがなるべく現地の状況を目にしておきたいと考えて歩きます。京都駅を挟んで京都タワーのある側とは反対側の南方面。観光地の雰囲気が薄い感覚を覚えます。2年前であればまだ桜の季節に入る日曜日の京都ですから、混雑していたとだろうと思いながら歩きます。
東寺を拝観した後に上茶谷先生の「癒しマッサージ鍼灸院」へ。住宅地の路面店で大通りから少し入ったところでした。羅生門跡がすぐそばにあり、羅生門という名前の建物やお店が目につき京都の土地柄を感じます。看板がしっかりと設置されており、私のときは看板を設置したのは開業後半年以上経ってからだったのでしっかりしているなと思いました。
上茶谷先生と実際に会った第一印象は、京都の言葉だ、というもの。文章のやり取りは標準語です。東京の人間は現実で関西弁を聞く機会が少なく、動画の向こうの人の言葉という印象があるもの。京都弁というのでしょうか。それまでに色々と文章のやり取りをしてきたので状況や情報は知っていたのですが話し方を聞くと一気に印象が変わります。
院内は広く、ベッド一床で奥にスペースがあります。トレーニング、エクササイズ、セミナー、色々な用途に対応できそう。器具もありました。店舗開業することの大きな利点は自分の場所、空間を持つことができることです。場所を持つことで多くの可能性が広がります。当院もベッドを横にずらして場所を確保してイベントをすることがありますが、癒しマッサージ鍼灸院は十分なスペースが既にあり、羨ましいです。
経営者目線になりますが、場所・空間を持つことで患者さんから施術対価を頂くだけでなくレンタルやイベント開催といった別の収入源を持つ可能性があり、経営面で有利です。京都駅から歩いて思いましたが東寺という素晴らしい観光資源があるもののザ・観光地という感じではなく地元住民が根付いているエリアという印象です。一回限りの観光客ではなく近隣の方を定着させる感じだと思うので、理にかなっているのではないかと。今後モノが増えるなどしてあのスペースがどうなっていくのか興味がわきます。
そして予約していた「あん摩・マッサージ・指圧」コースを受けます。
鍼灸にしなかったのは理由があります。まず絶対数において国家資格である「あん摩マッサージ指圧師免許」を持つ人は少ないのです。視覚障害者を守るための措置で晴眼者(視覚障害のない健常者)への養成学校を増やすことが実質できません(現在、裁判で争っていますが)。よって晴眼者のあん摩マッサージ指圧師は鍼灸に比べて非常に少ないわけです。
更に養成学校は関東に固まっているので地方ではあん摩マッサージ指圧師になるのは数少ない学校に通わないとなりません。あん摩マッサージ指圧師でも同業のあん摩・指圧・マッサージを受けたことがあるという人は結構少ないのです。学校の練習とか講習会で習ったとき、というものではなく正規の患者として施術を受けることは。関西のあん摩マッサージ指圧師の技を体験したいと思いました。
鍼灸に比べると差が無いと思われるあん摩・マッサージ・指圧ですが、学校や流派によって特徴があるのです。同じ指圧といっても母校の東京医療専門学校の呉竹指圧と指圧を突き詰める浪越指圧では細かいことから目立つことから違いがあります。あん摩でも東京医療専門学校のそれと、東京医療福祉専門学校の吉田流あん摩と、長生学園の手技は異なる点が大いにあるのです。関西のあん摩・マッサージ・指圧はどのようなものか興味がありました。
また屋号が「癒しマッサージ鍼灸院」でマッサージの方が鍼灸より前に来ています。自分のところを含めて周りでは“鍼灸マッサージ院”という鍼灸→マッサージという並びにするところばかりで(※鍼灸指圧院というところも)マッサージを先にする名称を見たことがありませんでした。同業者の目から見るとこれも気になる所でマッサージをより打ち出したいのかなと思ったのです。
実際にあん摩・指圧を受けてみたところ。
指圧の基本中の基本、垂直圧が驚くほど正確でした。垂直圧は皮膚表面に対して垂直に圧をいれるということで真上から押すということではありません。これができると圧がしっかりと奥に響きます。そして受けている私の体が全く揺れないのです。押すにしろ揉むにしろしっかりと習っていない人は受け手の体が揺れることが多いのです。大きく動かすと効いたようにみえるとか、そう習ったから、という理由なのでしょうが。それが悪いとは言わないのですが、長時間だと頭が揺れて酔ってくるのです。健康な人しか相手にしないならばそれでもいいのですが、体が弱った方や首に機能的疾患を持った方ですと非常に苦しいことがあるのです。あん摩マッサージ指圧師には振戦法という体を揺らす基本技法があるので揺らすときははっきり揺らします。
上茶谷先生は訪問マッサージの経験があるので高齢者や疾患がある方へのあん摩・指圧をしていたためこのような繊細な技術になっているのかもしれません。押されている感覚は割と鋭く指が入り、それでいて他の部分は揺れないのでリラックスできます。圧に集中できる感じです。
“揉捏”という揉む技術よりも“押圧”という押す技術を多用している印象を受けました。これは大ベテランの講師に学生時代聞いた話ですが、筋骨隆々のアメリカ人などは揉捏をすると筋肉が動き過ぎて嫌がるので指圧で一点の圧をした方が喜ばれると。確かに欧米ではJapanese shiatsuと指圧が好まれるという話も聞いたことがあります。同業者として上茶谷先生の技術は参考になります。
あん摩・指圧をしながら私の体のバランスを指摘する上茶谷先生。手技の良いところは、刺激を与える指がセンサーでもあるので圧を入れながら同時に状態把握ができること。いわば触診を兼ねることができます。別の内容の会話をしながらきちんと把握している姿がみてとれました。あん摩・指圧が上手いときっと鍼の腕も大丈夫なのだろうと思うものです。それはこのように体の状況を把握できているという安心感からです。
全体的に、その話し方も影響しますが、”京都のおもてなし”という印象を受けました(私が東京人だからかもしれませんが)。私がトイレにいって戻ってきたとき、歩き回って汗をかいて院にはいってきたとき、ベッドから起き上がるときなど。細かい所作で感じます。
院内のレイアウトは作った院長が出ます。一人院ならなおさら。きっと変な背伸びをせずに上茶谷先生に合った、求めているものを形にした、空間が癒しマッサージ鍼灸院なのだと思いました。
また立地も含めて合っている印象を受けました。院を後にしてからは敢えて最寄りの駅ではなく歩いて地下鉄東西線十条駅まで行きました。道中の街並みを観察しながら歩いて、同じ京都でも雰囲気が他と違うことを認識。立地によって客層は変わりますし、ターゲット層も変わるわけです。なんとなく上茶谷先生のキャラクターに合っているなと。
フィールドワークを含めて京都の上茶谷先生のところへ訪問しました。施術体験から情報交換、現地視察と大いに学び参考になる時間を過ごせました。今年から始まった上茶谷先生の癒しマッサージ鍼灸院。今後の発展を願っております。
甲野 功
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