開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
先週土曜日に、今年の春から鍼灸マッサージ専門学校に入学した学生2名が当院に訪れました。今はSNSで情報収集をする学生さんが増えていますが、入学前から行っている人も見受けられます。この学生さん達も専門学校入学前から業界情報を得るために動いていました。これから鍼灸マッサージ専門学校に入ろうと考えていることを知り、昨年から相談に乗ったりセミナーを開いたりしてきました。昨年の8月に進学希望者がうちに集まり交流するイベントを開催しました。その時に学生さん同士に面識が生まれ、春からお互い入学して1ヵ月が経過したという状況。入学前から接点があった私は入学祝いをしようと企画していました。今年3月に、同じように接点があった鍼灸マッサージ学生さんが国家試験が終わり卒業するので、卒業祝いイベントを神楽坂で行いました。「5月病」という言葉があるようにゴールデンウイーク明けたくらいに専門学校での問題とか辛いところが出てくるかと考えて、この時期に入学祝いをしようと考えていました。神楽坂のお勧めのお店に連れて行ってご馳走しようと。
ところが緊急事態宣言となり会食は避けた方がいいと判断し、代わりにお祝いの品を渡すことにしました。また入学して1ヵ月で困っていることはないかヒアリングしてそれに対するセミナーをすることに決めました。
届いた内容は各々
・あん摩、指圧(特にあん摩)の実技時間が、短縮授業のため短くてよく分からない
・定期試験対策はどうしたらよいのか
というものでした。
まずあん摩実技についてはコロナ禍の直接的な影響です。座学はリモート授業でもなんとかなりますが(かなり無理はするでしょうが)、相手の体に触れる実技はやはり対面でないととても厳しいものがあります。これが3年生である程度技術を習得していれば動画を見て自主練習ということができなくないでしょうが、入学したての1年生には無理な話。対面で実技授業をしてくれるだけでもありがたいことなのですが(今は対面授業をしているのか定かではないですし)、技術職になる以上困った問題です。
おそらく何が分からない・できないのかも分からない(自覚できない)状況だと推測し、基本的な知識と臨床上必要な“手”にはどのようなものがあるかを紹介・解説することにしました。当日までに資料を作って準備しましたが、本当にこの内容で良かったのかは当日にならないとわからないので変更できる余白を作りつつ。
定期試験対策については新鮮な意見ではっとさせられました。国家試験対策の解説動画、ツールは多々あるのですが普段の授業を受けた上での定期試験への対策というのは聞いたことがありません。定期試験は各授業の担当教員が作成して行うことが基本で、国家試験の4択問題ではなく筆記試験にすることが多いのです。過去の試験問題が公表されることはまずないので各教科でどのように勉強するは良いのか判断が難しいところです。しかし入学したての学生にとっては国家試験よりも目の前の定期試験の方が遥かに重要なわけで、定期試験対策とは、すなわち普段の勉強の仕方を考えることになるはずです。
一度定期試験を経験すれば勉強のやり方が分かってくるとは思うのですが、未経験のこの時期にどうしたらよいか気になっているという事実は新鮮です。確かに私も1年生の最初の頃はどう勉強すればよいのか分からずうまくいかなかった過去があります。まさにこの時期ならでは不安なのだと。
あん摩マッサージ指圧実技に関する資料は過去に作成した資料に追加修正を加える形で作りました。今回さらに“手の分類”という項目を追加しました。これまでのキャリアで何となくやってきたことを見つめ直して整理するきっかけになりました。
定期試験対策の資料は、これまでに卒業した中学・高校・大学の勉強方法に、鍼灸マッサージ・柔道整復・教員養成科専門学校での体験を元にまとめました。はっきりいって専門学校の定期試験に私は強くかなり点数が良かったのです。それも最初の鍼灸マッサージ専門学校1年生の時、最初の定期試験で躓いた経験から得た賜物です。今の私は鍼灸マッサージ専門学校教員免許を持ち、将来機会があれば教員として試験を作る立場になるかもしれません。学生と教員免許持ちの両方の観点から想定される状況と対策を資料にしてみました。結局、試験対策というより勉強の方法論になりましたが。
当日学生さんが来て話を聞くと新たな発見がありました。入学前から多くのことを学び準備してきたお二人なので先を見ていますし周りの状況も把握できています。そしてこの情報過多といる現代で学生をする上での困ったこと、懸念事項は私が鍼灸マッサージ学生だった当時と大きく違いがあるのだと。15年くらい違うのですから当然と言えば当然なのですが、ネットの発達とコロナ禍がより変化を加速したと感じます。多くの情報が手軽に手に入り、新型コロナ感染対策のため他人との現実面の接点が希薄になる社会環境において、何が困るのかということ。教員免許を持つ立場としてとても参考になりました。
学生さんのお二人は当院から出たあとも情報交換や意見を交わして有意義な時間を過ごしたそうです。今は学校に残って勉強や練習ができない状況だそうなので、機会を作っただけでも良かったのではないでしょうか。この先の学生生活が充実したものになることを願っています。
甲野 功
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