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もう15年くらい前のことです。当時バイトをしていた職場で年上の同僚が話していた言葉が忘れられません。
「成功したり何かを成し遂げたりしている人はみんな非常識。この非常識というのは常識を徹底的にやった上でそれ以上のことをしている人ということ。常識たる基礎をしっかりしているから常識外れのことができる。」
このような話でした。
当時20代の私の心にとても響いた話でした。
鍼灸マッサージ専門学校の学生として週に2~3日程度働いた頃。日々の授業(実技に座学)、定期試験対策(実技試験も座学試験も)に追われていて将来を具体的に考える暇がなかったときでした。授業で習ったことを復習して実技練習して、ちょっと小銭を稼いでという時代です。実家暮らしですから、お金に余裕がないわけではありませんでしたが必死に仕事をする必要もなく、かといって実家住まいに居心地がいいわけではないので熱心に勉強をすることで言い訳をしているような状態でした。
私立の理系四年制大学を卒業し東証一部上場企業に就職した経験が反対に気負いを生み、本来ならもっと安定した生活を送っていたのにという若干の悔いと、いやいや麻疹にかかって死にかけたから脱サラして手に職をつけようとしたはず、ブレていてはいけない、という葛藤を抱えていました。高校、大学と私立を出してくれた両親に申し訳ないなという気持ち。しかし健康でなければ(死んだら)意味がない。20代後半をモヤモヤした気持ちで過ごしていました。
その頃に聞いたいい意味で非常識な人の話。とても腑に落ちるものでした。確かに現代の偉人は常識をやり切った非常識な人がいると思いました。
画家ピカソは一見意味不明な原型をとどめていないような抽象画を書きますが、写実的なデッサン力はずば抜けていました。正確な描写ができるから崩すことができるわけです。
お笑い芸人は社会に馴染めない人がつく仕事のようで、上下関係が非常に厳しい世界。社会人としての常識がしっかりと身についているからそこから逸脱した笑いができるのです。芸人同士の信頼関係がなければバラエティ番組は成立しないと言います。
人より抜きんでるにはまず常識が徹底的にできること。その上で常識を超えたことができるようになるわけです。
では常識とは何でしょうか。
『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』における「常識」の解説はこのように出ていました。抜粋します。
<常識(じょうしき) common sense>
一般に学問的知識とは異なり、普通人が社会生活を営むためにもち、またもつべき意見、行動様式の総体をいう。これは経験の集積からなることが多く、時代や場所や階層が異なれば通用しないものもあり、多分に相対的なものである。本来は、「共通 (一般) 感覚」の意。
すごく大雑把にいうと普通ということでしょう。英語のcommon senseを直訳すれば共通感覚。一般的、平均値、当たり前という表現が近いのかと思います。
誰でもだいたいできること、しなければならないこと、認識していることが具体的な常識だと思います。ごくごく平凡で最低ラインのことという意味合いもあることでしょう。解説の「経験の集積からなることが多く、時代や場所や階層が異なれば通用しないものもあり、多分に相対的なものである」から分かるように時代、地域などで変わる相対的なものでありますが、同じグループ内であれば共通認識となる基盤になるものと考えられます。
ブランディングデザイン講義の水野学氏は著書の中でマーケティングをする際に、業界の王道や中央になるものをまず見定めて、そこからどれくらい離れるかが重要だといっています。王道過ぎればありきたりのものになって価格勝負になってしまい、あまりに離れすぎると一体誰が得するのかという突飛なものになるわけです。他者と差別化するのによい塩梅を見定めるためには基準となるセンターがどこにあるかをしっかりと調べるというわけです。
この内容は最初に挙げた“非常識”の話に通じるものがあると考えています。基本を疎かにして応用をやっても身に付かないという。誰もができる、誰もが知っている部分を踏まえた上で段階を上げていく。
そう考えると非常識というより超常識という言葉の方がしっくりくるなと。「常識に非ざる(あらざる)」ではなく「常識を超える」という表現。
ここで超という言葉を調べてみると
<ちょう テウ 【超】>
〘接頭〙 名詞に付いて、程度がそれ以上であること、また、それをさらに逸脱するものであることを表わす。「超満員」「超高速」など。
とあり、やはり超常識という方が本質を捉えているように思います。
超常識な人になる。
成功するには“誰もができること”を“誰にも真似できないくらい”やること。そのように言われます。基礎、基本を圧倒的な量と質でこなすことでより凄いことができるわけです。
この程度は、これくらいが、だいたい、といった修飾される常識をやる事は最低条件、絶対条件、前提条件で徹底的に常識を突き詰めてできるその先を極めていった先に成功が見えてくるのだと思います。常識(とされること)を超える人間になるよう、当たり前のことをしっかりやってかないといけないようです。
甲野 功
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