～ヤフー医療広告の非承認～

６月８日にYahoo！から「広告サービス品質に関する透明性レポート」がリリースされました。

「広告サービス品質に関する透明性レポート ２０２１年６月リリース版」公開のお知らせ

このレポートはYahoo！サイト上などに掲載される広告サービスの審査実績をまとめたもので今回で３回目となります。広告主・広告会社・広告配信パートナー、ユーザーに対して安心してサービスおよび広告をご利用いただけるよう、その取り組み内容をお伝えすることを目的としているといいます。

この資料を読むと私の業界にも関係がある内容が伺えます。

同社では不適切な広告の掲載を防ぐため、「Yahoo！ JAPAN 広告掲載基準」を定めており、虚偽誇大広告や詐欺的な広告などの法令に違反する広告、利用者に不快感・不安感をあたえるような広告等も禁止しているのです。この掲載基準は、法改正や社会情勢に合わせて常に見直しをしています。あまりに悪質なものはたとえ修正をしたとしても掲載拒否の姿勢を示しており、今年１月からは利用者からネガティブな意見を一定数超えて受けた広告は掲載停止するとしています。

このように広告に対してチェックを日々しているのです。Yahoo！は広告収入が大きな柱であることは間違いないでしょうが、誰でも彼でも料金を支払えば広告を掲載するというわけでないことを表明しています。

資料によれば昨年度（２０２０年度）は、Yahoo！広告において、約１億７千万件の広告素材を非承認（掲載基準に抵触する広告として掲載をお断り）としました。２０１９年度の総数と比較すると約６０００万件減少している結果になりました。２０１９年に比べて２０２０年の非承認数が減少した要因として、違反表現を繰り返したり大量の非承認広告の入稿を行う広告主が減少したことがあげられると資料にあります。

掲載基準を定めて遵守することで悪質な広告を未然に防ぐ姿勢があります。広告審査による広告アカウント停止数は２０２０年度で５，２１５件にも及びます。

このようにYahoo！ ＪＡＰＡＮは広告審査をきちんとおこなっています。このレポートを見ると私にも関係する事柄がみえてきます。

まず広告審査による非承認理由内訳（年度比較）に注目してみましょう。

２０１９年度では広告審査による非承認理由の３位に入っていた『医療機関』が２０２０年度にはその割合を減らしています。どこが増えたかというと『最上級表示・Ｎｏ．１表示』や『薬用化粧品（医薬部外品）、化粧品』です。これらは、景品表示法や薬機法、日本化粧品工業連合会などの業界自主基準に基づき掲載基準を定めています。２０２０年度は日本化粧品工業連合会が定める「化粧品等適正広告ガイドライン」の改定に伴ったYahoo！の審査基準の変更により否認数が増加したと説明されています。

広告非承認で『医療機関』のカテゴリーが減ったということは医療機関が違法な広告を出さなくなったと取れるでしょう。Yahoo！広告ヘルプによれば厚生労働省が出す医療広告ガイドラインを遵守することが求められており適正な広告が増えたことが伺えます。

しかし広告審査による広告素材別非承認理由内訳を見ると事情が変わります。

２０２０年下半期の「広告のタイトル・説明文」、「画像（静止画・アニメーション画像）」、「動画」における非承認理由の内訳について見てみましょう。「広告タイトル・説明文」のカテゴリーでは『医療機関』の非承認数が２位で大きな割合になっています。他の「画像」、「動画」も含めて１位は『最上級表示、Ｎｏ．１表示の広告』となっています。これはYahoo！の広告掲載基準において1年以内の調査データのみ掲載を認めているため、新年度になると記載データが１年以上前のデータとなり、掲載基準を満たさなくなるという事情があるようです。そうなると「広告タイトル・説明文」における『医療機関』非承認数が高いことがより目立つことになります。

レポートにも

『

また、広告タイトル・説明文での、医療機関の広告の非承認数が目立ちました。医療機関の広告は、医療法、医療広告ガイドラインを遵守する必要があります。

』

と釘をさされている一文があります。

当たり前ですが医療広告ガイドラインを遵守することをYahoo！は求めております。鍼灸院、マッサージ院はYahoo！広告では医療機関に該当しないでしょうが（Yahoo！広告ヘルプの条件より推測）、医療広告ガイドラインに反するものは掲載が厳しくなるでしょう。また化粧品分野の広告非承認が増えているということは美容分野に関係する鍼灸も影響を受けてくると思われます。大手であるYahoo！がしっかりとチェックすることは素晴らしいことですが、これまでこれくらいは見逃されるだろうという内容の広告（タイトル、説明文）が承認されなくなる可能性があると考えられます。

Yahoo！広告に限らないことですが、コンプライアンスが厳しくなるのでより厳密に法律やガイドラインをチェックしないといけない段階になっていると思います。鍼灸院は関係ないから、という姿勢は通用しなくなるのではないでしょうか。

甲野　功

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