～東京オリンピック閉幕～

昨日、東京オリンピック２０２０の閉会式が国立競技場で行われ１７日間のオリンピックが閉幕しました。開催都市である東京では栄光も問題も色々起きましたが“終わった”という感じがしています。

昨日は夕方からずっと上空にヘリコプターが飛んでいる音がしていました。少し国立競技場のそばまで行きましたが警察官と警察車両が大量に配備されてサミットをしているかのような厳戒態勢。高校３年間通った道は封鎖されていました（高校は神宮球場の目の前、国立競技場のすぐそばにある國學院高校でした）。

普段はない簡易的なフェンスが道路わきに並び、檻に囲まれたような。向こうはまるで別世界の様。自宅のテレビで閉会式の中継を観ていましたが、距離は近くても遠い場所の出来事のように映りました。

率直な感想は、オリンピックを開催できて良かったし閉幕までできて良かった、です。

おそらく私が生きている間にもう一度東京でオリンピックが開催されることはないでしょうし、あっても他の都市（候補に挙がっていた大阪や福岡のような）での開催でしょう。東京でオリンピックが開催されるという経験に立ち会えたことは素直に嬉しいです。東京、特に東京２３区は突出して人口も経済も国内で大きいので印象が薄いかもしれませんが、私にとって東京都新宿区はふるさと。おらが町。その新宿区で国際的イベントが行われるというのは、地方都市で国際大会や国体、万博が行われること感覚に近いような気がします。

いつものオリンピックは日本チームの活躍をテレビ観戦し、メダルが幾つ取れたのかに注目するばかり。個人的な興味もありますが、患者さんとの世間話のため、それと職業柄選手のテーピングやサポート体制をテレビ越しにチェックするという目的がオリンピック観戦にはあります。

それらに加えて今大会は海外選手や関係者がどのような気持ちで東京に来て帰っていったのかも気になりました。直接ボランティアをしたわけではないですし、会場や選手村に行ったわけではないのですが。できることなら国立競技場のある新宿区をはじめ、東京都そして大会会場になった都市、練習のために滞在した街にもいい印象を持ってもらいたいなと願っています。

世界的な新型コロナウィルス感染拡大で海外からの旅行者が激減しました。今年の春に京都に行ったときはあんなに人の少ない駅前は初めて見て仕方ないと思いつつも残念に思いました。かつて、ここは日本か？と思うくらいいた外国人観光客がいないのですから。所用で浅草に行ったときも同じでした。

観光業の拡大で経済を立て直そうとしていた日本。インバウンド事業がゼロになるダメージは計り知れません。地元の神楽坂も新宿も路面店の空き家が目立つようになりました。

オリンピックという世界的イベントを（半ば強引に）開催しなければこれだけの外国人が東京及び日本に来ることはなかったでしょう。感染拡大という問題はありますが、アフターオリンピックに繋がるものができていればと思うのです。コロナが収まったらもう一度東京に、日本に来てみたいという人をたくさん作れたら良いなと。

オリンピック中継を観ていた時にある国の選手が、コロナ禍によって観光客が激減して生活が苦しくなっている人が母国にたくさんいる、だから苦しくても頑張れるのだ、という話を知りました。メダルを取れば母国の励みになるし世界に知ってもらえる。スポーツ競技を越えたものを背負って東京にやってきています。そのことを知ったときに開催都市だけの問題ではないなと思いました。

オリンピックは平和の祭典なのにお金儲けの話ばかりという批判を目にします。ただお金があることで得られる平和（安定状態）もあることは確かです。日本のことわざに「金持ち喧嘩せず」とか「衣食足りて礼節を知る」とありますが、貧困は紛争や争いを生みます。今大会の結果で人生が変わる選手が多数いることでしょう。世界に存在を知ってもらった企業がたくさんあることでしょう。

東京オリンピックが終わりました。新型コロナウィルス感染は第５波がきて大変です。しかしその後に、あの東京オリンピックの会場に行ってみたいという観光客が来ると予想しています。また“おらが町”に人が来ることを期待しています。オリンピック後の東京が活気あるものになりますように。

甲野　功

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