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~鍼の話 中国鍼と日本の鍼の比較~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 中国鍼と日本の鍼の比較
中国鍼と日本の鍼の比較

 

 

最近女性誌や女性向けサイトに中医学の文字が現れることが増えてきたように感じます。中医学とは字の通り中国で行われている医学だと大雑把に考えていいでしょう。これまでは“東洋医学”という言葉で表現していたものを中国に限定した東洋医学というニュアンスを感じます。東洋医学という言葉は広い意味を持ち、広義で言えばアーユルヴェーダ(インド)など南アジアや東南アジア、西アジアまでの伝統医学を含み(西洋医学ではないという意味合い)、狭義には中国、日本、韓国ら東アジア地域の伝統医学を指します。狭義の東洋医学といっても中国は中医学、韓国は韓医学という理論体系を持っています。そのため東洋医学よりもより範囲を狭くした中医学という言葉で日本の伝統医学(理論体系)とは違うことをアピールしているように推測しています。

では実際に日本の鍼灸と中国の鍼灸は異なるのでしょうか。共通する点も多数ありますが、技術的に異なる点が幾つかあります。源流が同じなのですが、理論体系も日本と中国とでは悠久の時間と風土や文化によって差異が生まれています。今回は鍼の形状の違いを紹介し、日本の鍼術と中国の鍼術の違いも説明したいと思います。

 

まず細かいことですが、今回紹介するのは鍼の中でもいわゆる毫鍼(ごうしん)と呼ばれる身体に刺入するための鍼の比較です。鍼の中には鍉鍼(ていしん)、皮内鍼、円皮鍼など形状や用途が異なるものもあります。また注射針のように薬物を注入する目的の医療針とも毫鍼は違います。一般的には一番使用されるであろう毫鍼で日本と中国の違いを比較します。以後”鍼”と書いた場合は毫鍼のことを指します。

 

サンプルとして2つの鍼を比較します。

日本の鍼としてセイリン社製の寸3-3という鍼。寸3-3というのは鍼の太さが直径0.20mmで鍼本体の長さが40mmのものという意味です。セイリン社は国内のトップ鍼灸用品メーカーで鍼灸専門学校の授業でよく使われています。長さを寸(30mm)で表現し、寸3とは1寸3分の意味で40mm。だいたい学校の授業で練習するのは1寸(長さ30mm)、寸3(40mm)、寸6(50mm)が多いです。太さは番号で表現し、1番だと直径0.16mm、2番で0.18mm、3番で0.20mmと番号が1増えるごとに直径が0.02mm太くなります。授業で用いるのはだいたい1番~3番でしょう。寸3-3とは長さが1寸3分(40mm)、太さが3番(直径0.20mm)という意味になります。

中国の鍼としてタフリーインターナショナル社製の中国鍼タイプ2寸-8という鍼。こちらは鍼そのものの長さが60mm、鍼の太さが直径0.30mmです。中国鍼の一般的な長さや太さについては鍼灸師各々によりますので何とも言えませんが、中国鍼の中では長い方でも太い方でもないです。

 

<形状の違い>

サイズの比較

数値ではっきりしていますが日本の鍼の方が中国鍼より細いです。そして中国鍼の方が鍼も長いです(※もちろん一般論ですので長い日本の鍼もありますし、短い中国鍼も存在します)。そう中国鍼は鍼が太くて長いのが特徴です。

 

 

鍼柄の違い

身体に刺さる鍼本体とは別に持つ場所として鍼柄(しんぺい)という場所があります。その鍼柄部分が違います。中国鍼は鍼柄部分が長く巻き付いた形状をしています。日本の鍼は鍼柄が短くプラスチックのものとステンレス製のものがありますが持ちやすいような形状をしています。

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 中国鍼と日本の鍼の比較その2
鍼柄の形状の違い

 

 

これらの形状の違いは技術の違いから生まれた言えます。

 

<技術の違い>

身体に鍼を刺入する方法

日本の鍼術は管鍼法といって管を用いて身体に刺す方法が主流。管(鍼管といいます)を使うことで細い鍼でも比較的容易に身体へ刺入することができます。対して中国の鍼術は鍼管を用いません。管鍼法は日本で生まれた技術です。中国鍼は太くて長いので管を使わずに刺入しやすいのです。中国人は強い刺激を好む傾向にあります鍼の響きと我々は表現するのですが刺したときのず~んとした感覚。時に痛みに感じる重たいような独特な感覚です。響きは太い鍼を深く刺した方が得やすいのです。細い鍼を浅く刺しても響きが出ることがありますが刺激量が多い方が得やすいです。

対して日本人は刺激に敏感な人が多いようです。それは体格が小さく(今は体格が良くなりましたが鍼が伝わって発展する過程の時代では小さかったという意味です)湿度が高いため皮膚がきめ細かいからと言われています。そのため強い刺激が苦手な人が多く、弱刺激が好まれたよう。そうすると細い鍼を浅く刺す技術が発展しやすくなります。細くて短い鍼を上手に皮膚に刺すことは技術が必要でそのために管鍼法が生まれました。

中国では鍼は強い刺激で太くて長い鍼をたくさん、深く刺すことが主流。刺激がなければ効果が出ないという考えが強いようです(一概に言えませんが)。日本では細い鍼を浅く刺し、弱い刺激で効果を出すことが相手のためであり(体の負担を減らしてあげる)美徳であるという文化が生まれたと言えます(こちらも一概に言えることではありません)。どちらが優れているという話ではなく好みの問題です。

 

結果的に日本の鍼は細く短いものが主流になったといえるでしょう。

 

鍼を刺してからの技術

日本では置鍼(ちしん)といって身体に鍼を刺した後、しばらくそのままにしておくことが多いです。対して中国の鍼は刺してからその鍼を動かすことが多いです。特に鍼を左右に回転させる捻転法と上下に動かす提挿法があり、重要な技術になります。どれくらく捻転させるか、あるいはどれくらい上下に動かすかで身体に与える影響を変えていきます。

日本の鍼でも雀啄(じゃくたく)(鍼を細かく上下させる)をはじめ刺した鍼を操作する技術があるのですが、中国の方がより盛んと言えるでしょう。中国では捻転法と提挿法の技術が細かく規定されています。置鍼とは真逆で刺した鍼を常に動かすという状況となる技術体系があります。

刺してからの技術が発展しているため中国鍼の鍼柄は刺してから捻じりやすく動かしやすくする加工がされています。日本の鍼に比べて鍼柄が長く巻き付いた形状になっています。同じことを日本の鍼で行うと、確かにやりづらい鍼柄だと思います。

 

このように鍼の技術からその形状が異なるのです。必要に応じて変化したと。毫鍼という“アイテム”の形状の違いから“技術”の違いが見えてきて面白いと思います。私はほとんど日本の鍼で普段の臨床を行うのですが状況に応じて中国鍼を使うことがあります。手触りが異なるので混乱しないように気を付けるのですが、その違いを感じることも勉強になるものです。

 

甲野 功

 

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