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~あん摩マッサージ指圧師同士の技術交流~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 なりひら治療院鈴木恭平先生来院
来院した鈴木恭平先生

 

 

先日はなりひら治療院にお邪魔し鈴木恭平先生の施術を受けてきました

鈴木恭平先生は長生学園というあん摩マッサージ指圧師専門学校の卒業生。長生学園は(視覚障害のない健常者に対する)専門用語であん摩マッサージ指圧師のみを養成する2校しかない学校の一つです。(※もう一つは浪越学園日本指圧専門学校)

多くの学校は鍼灸科も併設しています。

 

あん摩マッサージ指圧師のみの専門学校で独自路線を貫いていると思います。あまり長生学園の情報は外に出ることがなく、私にはつい最近までよく分かっていませんでした。

 

私が東京医療専門学校の鍼灸マッサージ科に入学したのが2004年。今から17年前。その前から業界研究として資格の事や専門学校のことは調査しており、東京医療専門学校を受験したのは前年の2003年。当然受験前から調べていたので20年近くこの業界のことを観察してきたはず。

故浪越徳次郎氏の浪越指圧、古法按摩である東京医療福祉専門学校の吉田流按摩、かの杉山和一が創設した杉山真伝流按摩など独自の徒手療法があることを知っています。民間資格に広げても有名なものはだいたい知識として収集してきたつもりでした。ところが長生学園の長生術というものはアンテナに引っ掛からずノーマーク。数年前に長生学園卒のあん摩マッサージ指圧師さんと知り合い、おぼろげにその存在を認識しました。

 

そして先日、長生学園卒で開業している鈴木恭平先生のところに出向きその技術の一端を体験したのでした。

今回は反対に鈴木恭平先生が当院を訪れて私の施術を受けることになりました。鈴木先生が希望したのはタイ古式マッサージでした。

 

タイ古式マッサージとは正式名称なのかは定かではありませんが、東アジアの国タイ王国に伝えるマッサージの一つで古くから行われているものをタイ古式マッサージと敢えて呼ぶそうです。タイ本国でもマッサージ師は国家資格であるそうです。

私がタイ古式マッサージを習ったのは東京医療専門学校入学前の頃、新橋の学校でタイ人講師に習ったものです。もう20年くらい前のことで、鍼灸やあん摩マッサージ指圧を学ぶより先でした。当時の私は講師が国家資格者なのか、その技術の流派はどうなのか、などよく分からない20代前半の若造。とにかく技術を覚えて練習を繰り返して体に覚え込ませていました。その後、東京医療専門学校鍼灸マッサージ科に入学し人体のことや東洋医学のことを学ぶことでタイ古式マッサージの技術に肉付けされて今に至ります。

 

鈴木先生が敢えてタイ古式マッサージを選択したのは、同じ術者として未知の技術に対する好奇心や勉強のためでしょう。その存在は知っていたが体験したことは無いと仰っていました。前回と反対の立場になりました。私も同じあん摩マッサージ指圧師、鈴木先生が興味を引きそうなところを解説しながら手技を進めました。

 

そのときに話し合って思ったのですが、もしかしたら長生術とタイ古式マッサージは共通点があるのではないかと。

繰り返しますが長生学園は外部にあまりアピールすることを好まないようで、生徒しか見ることができないテキストや外部に漏らさない技術があるそうです。同じあん摩マッサージ指圧師といっても私が知っている按摩や指圧とはかなり違います。鈴木先生が話していたようにカイロプラクティックやオステオパシーの要素が強い印象です。それとは別に既視感として技術的にタイ古式マッサージに近いなという部分が少しありました。私のタイ古式マッサージを体験した鈴木先生も同じ感想があったようです。

 

背景に少々似たところがあると思いました。

タイ古式マッサージは本来、僧侶がお寺で行うものだったそうです。知っての通りタイは仏教国。お寺に仏教徒が集まってお坊さんが行うものであったと。またタイ古式マッサージの考え方に、人体にはたくさんの見えないエネルギーを通す道が縦に流れていてそれを「セン」というそう。その「セン」を刺激すると言われています。考え方としては経絡にとても似ています。

対して長生学園は宗教法人の学校。創設者は浄土真宗の長生上人。同じ仏教という繋がりでいうととてもタイ古式マッサージと共通点があると思います。どのように生まれたのか私は卒業生ではないので定かではないのですが、仏教というキーワードはとても魅かれます。実際のところはどうなのかはさておき、同じ術者として鈴木先生とタイ古式マッサージについて話が弾みました。

 

タイ古式マッサージは他の徒手療法にはない独特の感性というか視点があると思っています。それは他の数多くの技術と知識を学んだうえでなおそう思うのです。

 

大腿動脈を圧迫する手技がある。

足の裏を使って体を揉む。

顎を使って相手の体を固定する。

術者の骨盤を使ってストレッチをする。

自分の体の上に相手の体を乗せてしまう。

ストレッチと揉捏(揉む動作)と叩打法(体を叩く動作)を複合させる。

術者の足指を用いる。

 

このような他にあまりない考え方・技術があります。

細かく言えば他の流派でも取り入れているあるのですが、かなり毛色の違うこれらのことを一つに体系付けているのはタイ古式マッサージだけのように思います。以前、鈴木先生に受けた施術で足の指を使った技術があり、これはタイ古式マッサージ以外では初めて受けたなと内心驚きました。

 

私が鈴木先生の施術から新しい視点を得たように、鈴木先生もタイ古式マッサージから新しい視点を得たようです。既に修得した技術に照らし合わせてみる。刺激を受けます。

鈴木先生が行った技術は長生術のほんの一部分でしょう。そして私が知っているタイ古式マッサージの技術もごくわずかだと思います。

まだまだ知らないことばかり

そのことを知るのに長い年月が必要でした。今後も様々な視点から技術を研鑽していきます。まず情報が無ければ始まらないので文献や体験を通して幅広く探していきます。

 

そして今回のように同じ術者同士で交流、意見交換できれば成長が加速すると感じました。

 

8月になりひら治療院に行くという一歩踏み出して行動をしてみて本当に良かったと思います。

もう学生が終わって年数が経ちましたが、学ぶことは尽きません。

 

甲野 功

 

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