開院時間
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昨日9月14日、当院に鍼灸マッサージ専門学校の学生さん4名が訪れて、鍼灸マッサージ業界に関する法律のセミナーを開催しました。以前ある学生さんから相談を受けていて、法律関連の話を聞きたいということでした。
我々あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師免許を取得するには厚生労働省が管轄する国家試験合格が必須なのですが、その試験範囲に関係法規の科目が入っています。現実の業務に則った法律関連を学ばないといけません。学生さんは国家試験対策として学ぶ意味合いが強いのですが、臨床現場に立つあるいは開業するとなると非常に重要な科目です。国家試験では問題数が少ないので重要視されませんが実社会ではそうも言ってられません。法律は守らなければ罰則がある存在ですし。
これまでの経験上、本当に理解しておかないと大事(おおごと)になるのが法律やガイドラン(業界内ルール)だと考えています。私は鍼灸マッサージ専門学校の教員免許を持っていて教員養成科を卒業するときに鍼灸専門学校の新卒採用試験を受けたことがありますが、その際に“最も教えるのが得意な学科”というアンケートに「関係法規」と記載したことがあります。実務をする上でその重要さを身に染みていました。
今回、関係法規に関するセミナー依頼をいただいてから再度関係法規を見直し、周辺の法律や関連する裁判の記録を学び直しました。事件や事故、出来事を抽出してベースとなる法律(その上位概念となる憲法も含めて)と現実で起きていることを照らし合わせる。なかなか根気のいる作業でした。完成したスライド資料は過去最大の枚数になりました。
自らセミナーを開催して学生さんに話す際に一番に考えることは卒業後にどのようなトラブルや引っかかることがあるかを伝えて未来の対応策を考えるきっかけにしてもらいという願いです。
これまでどのような問題が起きたのか。それは問題となったのか。法律に照らし合わせるとどうなのか(違法行為なのか)。ひとの感情が原因なのか。
そのようなことを研究して伝えます。
根が理科系脳なので得意ではないのですが法律全般の勉強もしました。応用物理学科卒の自分には法学部とか文学部というのは最も遠く感じてしまいます。
なぜ法律は分かりづらく記載するのだろう?とイライラ。数字は漢数字で読みにくい。西暦を使わないので何年前か混乱する。昔は“小さいツ”をそのまま表記するからマッサージがマツサージと書いてありますし。
法律に記載してあることも法解釈によって読み取り方が変わりますし、裁判の判決によって文面通りとは言えなくなります。私にとっては面倒くさいことこの上ないものでした。
あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師にとって最も重要な法律が『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律』、通称“あはき法”と呼ばれるものです。このあはき法をチェックするのですが、前提条件のように医師法も一部知らないといけないです。医業とは?医行為とは?各論たる具体的に法律をみるのは、医師法から始めました。
あはき法、それに医師法以外で重要になっているのが、景品表示法(正式には、不当景品類及び不当表示防止法)。近年、景品表示法違反による行政処分が増えています。そして法律ではありませんが病院や医者に関係する医療広告ガイドラインと我々の業界に直接影響する「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」が作成を進めているガイドライン。これら全てに目を通しました。
そのため資料作成が難航し、最初に考えて組み立てから大きく逸脱した成果物ができました。
(私は資料を作るときはだいたい最初に大まかに作った骨子から外れることなくその通りに完成することがほとんどです)
セミナーを終えた今、絶対に話そうと企画していたネタがいつの間にか消えていたことに気付きました。振り返ると若干の後悔があります。
セミナー当日集まったのは全員1年生。長時間の講義に付き合ってもらいました。自らの意思で参加したといえこんなに長い話は苦痛ではないかと懸念がありました。何より作っている私自身が嫌になるくらいのスライド枚数なので。
幸いなことに概ね参加者の反応が良くて助かりました。「初めて眠くならない授業でした」という本音が漏れた学生さんも(授業ではないのですが)。試験に出るからではなく、卒業後に関係するから、という視点で資料つくりしたことが良かったようです。私自身が資格取得後、現場で直面した疑問や苦労を踏まえて作りあげたものなので報われました。
関係法規は誰にも等しく関わる科目です。そして臨床技術に直接関わることはありませんが社会を担うものです。そのことを学生さんに伝えることができました。開業している人間が一番伝えやすい内容だと思います。
ここ2ヵ月ずっと向き合っていたイベントがやっと終わりました。
甲野 功
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