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学生さん向けの関係法規セミナーを開催するにあたって、それまで私自身が疑問に思っていたことも洗い出して調べました。全てが解決したわけではないのですが、ある程度納得できた項目の一つが免許と資格の違いです。
よく私が使う国家資格という言葉。これはあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師という国(厚生労働省)が管轄する資格を指すことがほとんどです。しかし実際に仕事をする上で必要なモノ(物)はあん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許、きゅう師免許といった免許です。
資格と免許とあるけれど何が違うのでしょう?
関係法規を伝えるにあたってここははっきりとさせて起きたいと考えました。
この業界にある問題の一つに『無資格者のマッサージ』というものがあります。法律で(通称あはき法と言われる法律の第1条に規定)免許無しにマッサージを業とすること(仕事としてずっと続けていくといった意味合い)を禁止しているのですが、みんなやっているのですね。なぜ取り締まらないのかも理由があるのですがそれは置いておいて。この行為自体が問題なので(違法行為ですから)厚生労働省は注意喚起をする際に「無資格者」という表現を使います。厚生労働省の国家資格を持っていない、という意味で無資格者としているのでしょう。
ところが近年は鍼灸師や柔道整復師、理学療法士など国家資格を持っているがあん摩マッサージ指圧師免許を持っていない人がマッサージを堂々と行っていることが問題になっています。問題と思っていない人がいるのですが。
国家資格を持っているから「無資格者」ではありませんが免許を持っていないので厳密には違法行為になります。それならば(国土交通省管轄の)普通自動車免許を持っているからマッサージやってもOKということになりますし、私が(厚生労働省管轄の)国家資格を持っているからフグの調理をしてお客に出してもいいですよねという極論に繋がるわけでして、実力があるからと言い訳をしても。例え私がフグ調理をプロに1ヵ月習って捌くのが上手だからといって(手先は機用です)その料理をお店で出してお客さんに食べてもらうのは当然違法行為として捕まりますよね。
このような問題があり、資格とは免許とは何ぞや、という点をはっきりさせたかったのです。
まず「資格」を調べました。ネット辞典たるウィキペディアによると『資格(英: certification)は、ある行為を行うために必要若しくは相応しいとされる地位や立場をいう』とあります。またデジタル大辞典では『あることを行うのに必要な、また、ふさわしい地位や立場』と説明されています。これら説明を読むとニュアンスとしては“ステータス”という感じがします。地位、立場ですから。
続いて「免許」について。同じくウィキペディアによれば『法学において、免許とは一般に禁止・制限されている行為を行政機関が特定の人に対して許可することや、特定の人に権利を定めて地位を与えることである』とあります。資格より複雑のようで、日本国語語大辞典で今回の件に関係する部分をピックアップすると
『
①ある特定の事を行なうのを官が許すこと。許可すること。
②一般には許されていないことがらを、特別に許可すること。
⑤法令によって、一般には禁止されている行為を、行政官庁が特定の人または特定の場合に解除し、認めること。
』
となります。文字の持つ語感としては禁止されていることを特別に”免“じて”許”すことで、最終的に”許可”であります。言い換えると、それを持たずに行為を行うと処罰されるものが免許というものでしょう。
そう考えると免許の方が資格よりも社会的に重たい印象です。“許可”と“地位・立場”ですから。元々の免許は華道や茶道の免許制度からという説も見つけました。業界ルール(ローカルルール)であれ、法であれ、持たない状態でその(特別に許される)行為をしたら処罰されるものが免許と言えるのではないでしょうか。反対に持っていなくて処罰されないのが資格という感じです。
最初に挙げた国家資格についてですが、国家資格に対して民間団体が管理する民間資格はあります。また国家試験者の組織によって運営されている民間資格もあります。しかし民間資格はあっても、民間免許という言葉は聞いたことがありません。
他にもドラマや小説で「あんたに親の資格が無い!」というセリフが出てくることがありましたが。ところが「あんたに親の免許が無い!」というセリフは聞いたことがありません。資格には立場のニュアンスがありますが、免許はそのようなものが無いのです。
先の東京オリンピックですが、出場資格はあっても出場免許はありません。資格には他人より優れている、選別から残った、行うための条件、といったニュアンスも含みます。自動車運転免許はありますが“自動車運転資格”はありません。しかし“自動車を運転する資格として”18歳以上という年齢制限は存在します。この場合は条件のニュアンスですね。
関係法規に限らず免許と資格の違いを理解しておくことは必要でしょう。
まず免許ありきで次に資格だと考えます。
例えば大御所芸能人に大勢のお弟子さんがいるとします。多くの弟子の名から大御所芸能人の専属運転手を選ぶとして、気づかいや人間性、キャリアを考慮して大御所が決定するとして。専属運転手はある意味そのグループの中で資格を得たことになるでしょう。しかし自動車運転免許を持っていなければ公道を走ることができませんので最初から候補にも挙がらないはずです。
本来、誰でもやってはいけないことをするにはまず免許を取る。資格があるからといってやってはいけないことをして良いわけではない。そういうことだと思います。
甲野 功
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