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~摩利支天徳大寺~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 大徳寺
上野のビルに囲まれた大徳寺

 

 

前回~常憲院霊廟勅額門~に続いて上野ネタを。

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業する前の4月から3年間、栃木県にある大学附属病院で週一回勤務していました。栃木県下野市にあるので自宅から片道2時間半かかります。朝早く都営大江戸線で上野御徒町駅に行き、そこからJR御徒町駅に乗り換えて上野駅へ。上野から東京上野ラインに乗って通っていました。その頃毎週御徒町駅と上野駅のひと駅を山手線に乗っているときに、視線とほぼ同じ高さに神社だかお寺だかそれらしい施設が見切れていました。山手線は高架になっていて建物でいえば2階の高さを走っています。その高さと同じくらいなのであれはいったい何なのだろうとぼんやりと思っていました。

それから数年の時が経ち、ふとしたきっかけで確かめることができました。そこはお寺でした。

 

摩利支天徳大寺

 

まずアメ横の中にあります。アメ横とはアメヤ横丁という商店街の俗称。JR上野御徒町駅と上野駅の間にある、山手線、京浜東北線の高架下にそったエリアになります。全国的にも有名で観光地と言えるでしょう。数多くの鮮魚店が並ぶのが有名で啖呵を切る売り方が今でも残っています。そのアメ横の商店街の2階にありました。階段を上っていきます。店舗の2階部分がお寺という非常に変わった作りになっています。

 

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 店舗の上にある大徳寺
店舗の上にある大徳寺

 

 

都心部では土地が無いためこのような形態の神社やお寺があるものですが、アメ横のど真ん中というある意味素晴らしい立地条件に驚きます。繁華街にあって、土地活用の観点からなのか2階にあるのですから。軒先に商品をぎっしり出したお店の上がお寺という。

 

正式名称は日蓮宗妙宣山徳大寺。徳大寺という名前よりも勧請した摩利支天の方が目立っています。

摩利支天というものを私は高校生の頃に知りました。『北斗の拳』作者の原哲夫先生が描いた戦国武将のマンガ、『花の慶次』に出てくるのです。話が逸れますが『北斗の拳』の連載が終了し主人公ケンシロウ以上のキャラクターを描けないとスランプに陥った原哲夫先生は、故隆慶一郎先生の小説に出てくる実在の戦国武将“前田慶次”に魅了されて原作として取り入れて『花の慶次』の執筆を開始したとか。その『花の慶次』作中で武将が願を掛ける仏様が摩利支天でした。摩利支天の化身とされるキャラクターが出てくるのです。

 

少し摩利支天(まりしてん)を説明すると“まりし”は威光・陽炎の意味で、天は仏教を守護する天部の神ということ。仏様には如来菩薩明王などの区分があります。韋駄天とか帝釈天と同じ天に入るのが摩利支天ということです。摩利支天は人々に気力・体力・財力を与え、厄を除き、福を招き、運を開くとされています。猪の背に立つ姿をしています。先に挙げた『花の慶次』でも出てきたように武士の守護神として信仰が広まりました。楠木正成足利尊氏毛利元就徳川家康大石内蔵助といった武士武将達に信仰されたと言います。江戸中期以降になると民衆にも摩利支天信仰が盛んになったようです。

 

徳大寺には聖徳太子作と伝わる摩利支天象が祀られています聖徳太子と言えば歴史上の超有名人物です。今では実在したのか定かではないという学説もありますが、日本史に残る偉人の一人。聖徳太子が作った会社が現存する最古の会社だと言います。あまり知られていませんが大工の神様みたいな存在でもあり、建築関係においても重要人物です。その聖徳太子が作ったというのであれば半端ではない摩利支天象です。

そのためか徳大寺の摩利支天象は日本三大摩利支天のひとつとして数えられています。なお日本三大摩利支天は東京上野の徳大寺、京都・建仁寺塔頭の禅居庵、石川県金沢市の宝泉寺です。全国にある摩利支天の中でも別格ということですね。今では、開運厄除・除災得幸、家内安全・商売繁盛、必勝・心願成就のご利益があると“上野広小路の摩利支天さま”として親しまれているとのこと。

 

徳大寺は江戸時代、寛永年間に慈光院日遣上人によって創建され、約400年の歴史があります。かの摩利支天像は宝永5年(1708年)に徳大寺に安置されます。大正12年の関東大震災と昭和20年の戦災により二度本堂が焼失しましたが摩利支天象は無事でした。本堂は昭和39年に再建されました。本堂にある「威光殿」の扁額は吉田茂元総理大臣の揮毫により寄贈されたもの。

摩利支天は猪に乗った姿であるため亥の日に縁日を行っています。また境内には猪の像があります。

立地条件がとても特徴的で歴史を調べると興味深いものがある摩利支天徳大寺。アメ横で買い物と一緒に参拝すると楽しいと思います。

 

甲野 功

 

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