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~RICE処置~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 RICE処置
RICE処置

 

 

先週のこと。風呂からあがったあと。

運動不足を感じているので少し筋トレをしました。

正直なところ筋トレに楽しさを感じません。筋トレも大切だけど楽しくないと続かないと考えて社交ダンスの動きをしていました。大学生のときに出会った社交ダンス(競技ダンス)。こちらの方が楽しく運動ができます。

だんだんノッてきて勢いよく回ってしまいました。ありがちな、左足の小指を床に置いてあった木箱の角にぶつけてしまいます。鋭い短い痛みのあとに鈍い長い痛みが襲ってきました。

 

数分後、小指から出血していることに気付きます。小指外側の皮膚が少し裂けてしまっていました。打撲というより裂傷でした。裂けた皮膚は残っているので手で押さえて止血しようとしました。ところがなかなか血が止まりません。子どもに保冷剤を持ってきてもらって冷やしながら圧迫しました。それでも止まらないので床に寝っ転がって左足を椅子の上におきます。心臓よりも高い位置にすれば止まるだろうと考えました。それでも血が滲むので絆創膏を左足小指に巻くように貼り、出血したところを押さえながら寝ることにしました。

 

このような応急処置をしたのですが、これをRICE処置(ライス処置)といいます。もちろん米を英語にしたライスとは違います。日本整形学会のホームページには以下のように出ています。

 

公益社団法人 日本整形外科学会

症状・病気をしらべる>「スポーツ外傷の応急処置」

 

応急処置(RICE処置)

スポーツの現場で「ケガ」人が出たとき、病院や診療所にかかるまでの間、損傷部位の障害を最小限にとどめるためにおこなう方法を「応急処置(RICE処置)」といいます。この応急処置は、早期スポーツ復帰に欠かせないものです。

 

ケガ(急性外傷)の応急処置と同じかそれに分類されるものとして紹介しています。ただし整形外科の医師が発信する内容ですから素人判断で応急処置をすることに警告を与えています。

 

しかし、意識消失、ショック、頭・頚・背部の外傷や大量出血、脱臼・骨折が疑われる著明な変形など、重症なときは、すぐに救急車やドクターを呼び、むやみに動かさないようにしましょう。

 

これはとても大事なことです。重症と思われるようだったら速やかに医療機関に送ること。それを前提にRICE処置について書いていきます。先に挙げた日本整形学会ホームページにはこのように書いてあります。

 

RICE処置

外傷を受けたときなどの緊急処置は、患部の出血や腫脹、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)が基本です。

RICEはこれらの頭文字をとったものであり、スポーツを始め、外傷の緊急処置の基本です。RICE処置は、捻挫や肉離れなどの四肢の「ケガ」に行います。

 

このようにある通り、安静(R)冷却(I)圧迫(C)挙上(E)を順番に行っていくことです。まさに応急処置の基本です。急性外傷を重点的に学ぶ柔道整復師専門学校ではもちろんのこと、鍼灸マッサージ専門学校でも習う基本知識です。

ここで見落としがちなのが“四肢の「ケガ」に行う”という点。四肢とは手足の事。つまり二の腕、肘、前腕、手首、手、指、太もも、膝、ふくらはぎ、スネ、足首、足、足の指といった個所のケガに対して施すものです。腰やお腹、肩や首、頭のケガに対してはRICE処置の限りではないとも言えます。RICE処置は四肢のケガに対して行うものということを踏まえてください

※体幹部や首、頭でもケガの内容によっては使えることもあります。しかし重篤な症状が起きやすいのでまず医療機関に送ることを念頭に置いた方がいいでしょう。

 

日本整形学会ホームページの内容を細かくみていきましょう。

1.Rest(安静)

損傷部位の腫脹(はれ)や血管・神経の損傷を防ぐことが目的です。

副子やテーピングにて、損傷部位を固定します。

 

まずは安静ですね。ケガした直後にその部位を動かすことは普通しないでしょう。またできないでしょう。きちんと目的が述べられており、腫れや血管と神経の損傷を防ぐためとあります。この場合の“安静”には休むだけでなく“固定する”という意味も含まれています。

 

2.Ice(冷却)

二次性の低酸素障害による細胞壊死と腫脹を抑えることが目的です。

ビニール袋やアイスバッグに氷を入れて、患部を冷却します。15~20分冷却したら(患部の感覚が無くなったら)はずし、また痛みが出てきたら冷やします。これを繰り返します(1~3日)。

 

アイシングというやつですね。目的として二次性の低酸素障害による細胞で師と腫脹を押さえることとありますが難しい表現ですね。冷却については意見が分かれるところです。

まず出血している場合、温めると血の巡りが良くなるので出血が止まりづらくなります。内出血の場合は腫れ(腫脹)が強くなり皮膚の下が圧迫されることで痛みが増すことがあります。このような問題を解決するために冷却を行います。患部の感覚が無くなったら、とあるように冷えて痛みを含めた感覚が無くなるくらいに冷やします。そして休ませて(冷却しない)また冷却すると繰り返します。これが果たして良いことなのか、という議論が出ています。

それはまた別の機会に書くとして受傷直後の痛みを軽減させるには冷却は有効です。小指を怪我したときも休んでいても(安静にしていても)痛みがじんじんとあるので冷やして麻痺させる感じでした。

 

3.Compression(圧迫)

患部の内出血や腫脹を防ぐことが目的です。

スポンジやテーピングパッドを腫脹が予想される部位にあて、テーピングや弾性包帯で軽く圧迫気味に固定します。

 

続いて圧迫する。“患部の内出血や腫脹を防ぐことが目的です”とはっきりと書いています。1の安静でもありましたが固定も含まれています。血が体表面に出ることを出血といいますが、内出血を含めて出血を止める止血の効果も期待しています。私も小指から血が止まらないので止血する意味で圧迫を続けました。内出血でも腫れることで体の中が圧迫されるので予防目的でも圧迫は大切だと考えています。

 

4.Elevation(挙上)

腫脹を防ぐことと腫脹の軽減を図ることが目的です。

損傷部位を心臓より高く挙げるようにします。

腫脹を防ぐことと腫脹の軽減を図ることが目的です、とありますが止血しやくする意図もあると思います。心臓よりも高く挙げることを挙上ですから必然的に血も止まりやすくなるでしょう。腕であれば頭の上に手を乗せて疲れないように心掛け、足だったら寝っ転がって台の上に乗っけます。腫れをひどくさせない、血が出ないようする効果を考えると合理的ではないでしょうか。

 

RICE処置は順番がついています。実際には同時進行になると思いますが、いきなり患部を挙上するのではなく、安静(固定)して冷却する。それから挙上です。間違えることはなでしょうがRICEの順番はシンプルで分かりやすいと個人的に考えています。

 

基本中の基本でありますが、RICE処置は古い、という声がずっとあります。今でも日本整形学会ではホームページに載せているのですが。そのことについては次回書いていきます。私の考えではRICE処置は知っておいた方がいいし、これが基本であるということ。基本を知った上での応用です。いつまで安静にしているの?いつまで冷やすの?そもそも冷やすことが正しいの?という声がありますが、医療職ではない一般の人も含めて応急処置と考えたら、

医療機関に送ること、それが達成するまでにRICE処置はしておく、ただし頭部や体幹の外傷は(脳や臓器といった重要な器官が損傷している可能性を考慮して)手を出さない方が好ましい、

という捉え方だと思います。

 

甲野 功

 

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