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~2022年第37回教員養成科卒論発表会~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 37回卒業論文発表会
抄録と会場入り口

 

 

昨日は東京医療専門学校代々木校舎に出向き、東京医療専門学校第37回鍼灸マッサージ教員養成科卒業論文発表会に出席してきました。

私は同校の卒業生で30期になります。今年は38期生の発表。鍼灸マッサージ教員養成科(以下、教員養成科)は2年制で最終学年の2年生が約1年間かけて独自の研究をして論文にまとめ、研究内容を発表します。それが卒業条件となるのです。よって卒業論文発表会は最後の授業と言えるのです。

1年生は2年生の発表を公聴し次年度から行う自身の研究の参考にします。私は1期上の29期の発表会から参加して登壇した30期を含めて今年で10回目の発表会参加となります。毎年参加することで多くの学びを得ています。

 

今年も全演題について触れて軽い解説と感想を述べていきます。

 

 

1.拮抗筋に対する鍼通電が主動作筋に及ぼす影響

 

主に肉体を動かす筋肉を骨格筋という区分をします。関節を動かす際に意図したように動かす骨格筋を主動作筋、反対の動作をするものを拮抗筋と言います。例えば肘を曲げるとしたら、肘を曲げるように働きかける上腕二頭筋が主動作筋で肘を伸ばす上腕三頭筋が拮抗筋となります。

この発表では拮抗筋に鍼刺激を及ぼすと主動作筋に影響があるかを研究したものです。具体的には膝関節の主動作筋である大腿四頭筋(太もも前にある筋肉)を拮抗筋であるハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋:太もも裏にある筋肉)に鍼刺激を与えた場合を実験で観察しています。先行研究では影響が無かったという報告があったのですが、それとは別のやり方、鍼通電刺激の周波数を変えて実験を行っています。

鍼通電とは2本刺した鍼に電気のパルス波を発生させる装置で通電させて人体に刺激を与える方法です。1秒間に何回パルスを発生させるかという周波数を選択することができ、本研究では通電しない置鍼(鍼を刺したまま)、30Hz(1秒間に30回パルス通電させる)、60Hz(同60回)の3パターンで実験しています。

評価方法はHBD(Heel Buttock Distance:うつ伏せで膝を曲げてお尻と踵の距離を計測する)、SLR(Straight Leg Rising:仰向けで膝を伸ばしたまま足を挙げてその角度を計測する)、大腿四頭筋の筋硬度(筋硬度計で筋肉の硬さを測定する)としています。HBDは大腿四頭筋が固ければ膝が曲がらないのでお尻と踵の距離が離れますから指標になります。SLRは主にハムストリングス、太もも裏の筋肉の硬さを観察することができます。

 

詳細な結果はここでは書きませんが、統計処理を出した結果、SLRと筋硬度には差が無かったのですが、HBDについては数値が小さくなるという有意な差が認められました。考察では相反性神経支配が働き主動作筋の筋緊張が抑制されたという報告でした。少し解説するとHBDが減少しているということは大腿四頭筋が緩んだと考えられます。ただ膝を曲げたときにふくらはきとぶつかる太もも裏のハムストリングスが緩んだために膝が曲げやすくなったとも考えられるわけですが、SLRには変化が無かったのです。そして大腿四頭筋の筋硬度も計測値にはっきりと差があったわけではありません。この結果をどう考えるかです。そして相反性神経支配とは、大雑把に説明すると主動作筋を使うよう脳から信号が出たときに同時に拮抗筋を緩める信号が体から出ているということです。当たり前ですが肘を曲げたいときに上腕三頭筋に力が入っていたら肘は曲がりません。

 

ここでのポイントは鍼通電の周波数です。30、60Hzの通電では筋肉は強縮というずっと収縮している状態になります。もっと低い周波数(例えば1Hzだと)では単収縮という状態が起きます。私も自身の卒業研究では鍼通電を題材にして5Hzで実験をしているので分かりますが30Hz、60Hzの領域は筋肉に与える刺激が大きく異なります。強縮が起きる周波数を選択したことが実験者の目の付け所です。

指導教員の指摘としてHBDの計測は術者の主観による部分があり定量的であるか、それをどう担保するか、というものがありました。計測自体が不確かなものだと実験結果の信頼性が問われます。筋硬度は筋硬度計を用いるのに対しHBDはマニュアルで行います。

また同じく指導教員の質問で被験者は今受けているパルス通電が30Hzなのか60Hzなのか知っていたのかという質問ありました。周波数の違いを認識していた場合、その情報で体が反応するバイアス(偏り)が生まれる可能性があるからです。この質問内容に時代の変化を感じました。というのは私が実験したときはオームパルサーという周波数に合わせた音が出るタイプの装置を使用していました。本研究ではピコリナという音を消すことができる装置を使用しています。私の学生当時、ピコリナはありません。つまりピコリナが登場したことで周波数を被験者に隠すことができるようになったわけです(オームパルサーでも耳を塞ぐとか装置を消音素材で覆ってしまうなど物理的に音を遮断すれば可能ですが)。装置の進化もみてとれます。

 

太もも裏のハムストリングスは肉離れの好発部位です。それは強力な大腿二頭筋の筋力に裏側のハムストリングスが負けてしまうからです。この実験は反対に裏側のハムストリングスに刺激を与えて表側の大腿四頭筋にアプローチできるか、という観点です。臨床の参考になるものです。ちなみに私の卒業実験は大腿四頭筋にパルス通電をしました。共通項があったのでとても興味深く聴いた発表でした。

 

 

2.陽蹻脈に対する円皮鍼を用いた遠隔刺鍼による咬筋の筋緊張の緩和について

 

本研究は東洋医学にある気の流れの一つで奇経に分類される陽蹻脈(ようきょうみゃく)を用いて嚙む動作に用いる咬筋(顔面部にある筋肉)を緩められるかという実験をしています。陽蹻脈の「蹻」は運動を意味しており、咬筋には陽経(陽の経絡)が繋がっているためこの陽蹻脈を選択しました。先行研究において、局所つまり顔に鍼刺激を与える研究があったので、本研究は東洋医学的な視点で行うということでした。具体的には被験者の申脈というくるぶしのそばにある経穴(ツボ)に円皮鍼を刺し、咬筋の硬度と口を最大に開いたときの上下の歯の距離を計測するというものです。

円皮鍼というのはシールに棘状の短い鍼がついているもの。本研究では0.6mmの長さのものを使用。一般的に想像する鍼(毫鍼)よりも刺激が弱いのですが毎回同じ刺激を与えられる(差がほぼ無い)というメリットがあります。また特別に鍼部分がついていないダミー(シャム鍼といいます)を用意することができるので被験者も実験者も鍼なのか認識できないようにできます。円皮鍼とシャム鍼で計測結果を比較します。

本当に刺激しているかどうかを隠すことをブラインド(盲検)といい、実験では重要な要素になります。薬の試験や実験では見た目が同じで中身を薬ではなく無害なものに変えたニセ薬を被験者に分からないように投与することがあります。これは薬だから効くに違いないというプラセボ効果を除外したいからです。鍼刺激を用いる実験ではどうしても鍼を刺されていることを被験者が認識できてしまうのですが、円皮鍼だと刺さっている実感はほとんどなく見た目がそっくりなシャム鍼を用意できるのでよく用いられるのです。なお実験結果で統計学的な差は出ませんでした。

 

局所とは離れた部位に刺激を与えて効果を出そうとすることを遠隔刺激といいます。今回では咬筋という口周りの筋肉を足のくるぶしで緩めようというもの。東洋医学の特徴の一つといえるものです。人によってはロマンというかもしれません。それは経絡という気の流れが存在すると考えているからです。経絡の存在を証明するために数多の実験が行われています。先人達の経験や知恵により、経絡(ライン、線)と経穴(ポイント、点)の理論は体系作られています。私も経験上遠隔刺激で効果が多々出ることも知っています。しかし客観的に見せるのはなかなか難しいもの。今回は奇経の陽蹻脈という若干捻りを加えたものを採用しています。正経という、よりポピュラーなものではなく奇経を選択。そして選択した経穴はくるぶしの申脈。鍼灸師であれば陽蹻脈の申脈ならば八脈交会穴後渓(督脈)とセットで考えることでしょう。敢えて申脈単独で実験をしています。

 

個人的な感想としてはもっとポピュラーな方法を選んでも良かったのではと思ってしまいます。正経の手陽明大腸経とか足陽明胃経を使うとか。円皮鍼よりしっかり刺激を与えるために毫鍼をするとか。ただ、おそらくそれは既に誰かがやっていたり似たような方法が既にあったりするのだとも考えられます。研究の前提として誰もやったことがないことがあります。先行研究を調査して新しい方法を構築することが重要です。きっと研究者は色々なことを考慮し、そして自身が確かめてみたいという情熱からこの実験方法に至ったのだと推測できます。教員の指導も入ったことでしょうし。正直なところ、現代医学で考えた方が実験研究は楽です。筋肉、神経、関節運動などで物事を捉えた方が楽なのです。東洋医学的な経絡、経穴、遠隔刺激というのはより複雑になります。それでも挑戦するのが鍼灸師の気概なのだと思います。私はほぼ奇経を使わないので自分に無い視点での研究発表でしたから大いに勉強になりました。

 

 

3.新型コロナウイルス後遺症に対する鍼治療 -呼吸器症状と脱毛に対する二症例-

 

新型コロナウィルスに感染しその後遺症があると医師の診断が出た2名の患者さんへ鍼治療を行った記録を発表しました。これは症例報告といって実際の患者さんに行った施術を時系列で追って詳細な内容を報告するものです。前の演題1,2の実験研究とは異なります。

別の病気の既往歴があり後遺症として咳や胸苦しさなどが出ている人と、大きな病歴がなく脱毛などの後遺症がある人への鍼治療をした経過です。VAS(Visual Analog Scale)という数値化できる評価方法を用いて時系列で報告しました。

 

新型コロナウィルスの後遺症という非常にタイムリーな症例報告です。2年前から多くの感染者が出ました。そして後遺症も。まだまだよく分かっていない新型コロナウィルス後遺症。それに対して臨床現場ではどのようなことがあったのか症例報告することはとても重要です。日本では新型コロナウィルス患者に鍼灸師が向き合うことはほぼ無いのですが、その後遺症についてはこれからどんどん臨床現場で出会うものと想像できます。未知の症例といってよい新型コロナウィルス後遺症に対して鍼灸師はどう対応するのか。大きなテーマです。

症例報告は実験研究と異なり、鍼灸師の実務そのものです。そのため研究よりも臨床家の色が強くなります。この症例報告では証立てといって東洋医学的な視点で患者さんの状況を見定めることをしています。その立てた証に対する鍼灸施術を行っています。その発表に指導教員からの質問指摘がかなりありました。証立ての仕方は妥当であったのか。また2つの理論が混ざっていないか、と。東洋医学的(現代医学に対になるという意味で使用)と書きましたが、東洋医学には大きく経絡中医という区分があります。詳しいことは省きますが元は同じなのですが似て非なるものです。一般の方ではどちらも東洋医学で済むのですが、教員養成科では中医として考えているのか経絡で考えているのかは重要です。その違いを授業でしっかり学びますので。臨床における理論について指導教員から指摘が入ったのでした。

個人の本音を言ってしまうと、そこまで東洋医学を学んでこなかった私には指摘内容がピンと来なくて、ああそうなんだ、という気持ちでやり取りを聞いていました。研究発表という場ですが実質ケースカンファレンスとなっており、私が同じように新型コロナウィルス後遺症の患者さんを前にしたらどうしただろうと想像するとともに東洋医学概論の知識が乏しいと痛感した発表でした。

 

 

4.肩甲背神経部への鍼通電刺激が肩こりに及ぼす影響

 

肩こりの原因疾患として肩甲背神経の絞扼に注目し、肩甲背神経への鍼通電を行い頚肩部の筋硬度と被験者の感想(VASで計測)を比較した実験研究です。鍼通電とは演題1の発表と同様に鍼に電流のパルス波を通電させます。ただし演題1との違いは、そこでは筋肉パルスといって骨格筋に対して通電しますが、本研究は神経パルスという神経に通電させます。神経にパルス通電をするとその神経が運動支配している筋肉全てに刺激があります。筋肉パルスはその対象の筋肉のみ。肩甲背神経は大菱形筋、小菱形筋、肩甲挙筋を支配するのでここの神経パルスにより複数の筋肉を刺激できます。

また肩上部、肩甲間部に鍼を刺す場合、付近に肺があるため外傷性気胸の危険が付きまといます。頚部から肩甲背神経を狙ってパルス通電をすればその気胸の心配が無くなります。臨床面を考慮した内容になっています。一つはその部分に鍼を刺しただけ、もう一つはパルス通電を行い、両方の計測結果を比較検討しています。

 

パルス通電において筋肉パルスより神経パルスの方が技術的に難しいと思っています。それを実験として採用するのは素直に凄いなと思います。過去の卒業論文発表でも神経パルスを用いた実験がありましたが被験者全員にしっかりと神経パルスができることが素晴らしいと、筋肉パルスで実験した私の感想です。

指導教員からは実験手法についての指摘がありました。本研究ではパルス通電と置鍼(パルス通電をしない)の群を比較していました。結果は大雑把にいうとどちらも効果が出たということでした。教員からは、パルス通電をしなくても鍼刺激自体は加わっているのにパルス通電の有無だけに注目し、鍼を刺入したという刺激を考慮していない(無かったことにしていないか)、という指摘でした。これは考察において置鍼群も肩甲背神経に当たっているか確認するためにパルス通電をして確認したから効果が出たのではという発表があったためです。この質疑応答を聞いてそれならば鍼を刺さない群、置鍼群、パルス通電群の3つで実験をすれば良かったのではと思ってしまいます。

これは実験研究の難しいところであり面白いところだと考えています。一応考えを巡らせて最善のやり方だと判断して実施するのですが、いざやってみると色々と不備が出てくるもの。やってみないと分からないことがままあります。反対に想像もしていなかった状況や結果から新たな視点や考察が生まれることも珍しくありません。おそらく予想していなかった結果が出たから考える機会になったと思うのです。他人の発表ですが挑戦してやり切ること、そしてその結果を考えることが重要だと再認識させられます。また神経パルス通電の技術を持てるようになりたないと思いました。

 

 

5.吃音に対して鍼治療を実施した一症例

 

本研究は症例報告になります。吃音、いわゆる「どもり」、に対して鍼治療をした報告です。吃音について説明し評価方法を紹介しました。音読課題の吃音発生率、身体症状のチェックとして日本語版SSS-8、社会恐怖の診断に用いるLSAS-J、痛みに対する自己効力感を測定するPSEQ日本語版を用いて鍼治療後の状態を数値化します。週1回で16週継続して鍼治療を行い、更に治療後8週間継続してチェックしています。施術方法は先行研究から1~8回目は腹部、背部に刺鍼、9~16回目はそれまでの部位に加えて頚肩部、顔面部への刺鍼を追加しています。非常に効果が出ており、また施術終了して8週も効果が持続したという報告となりました。

演題3のコロナウィルス後遺症と同様に、私が今まで対応したことの無い吃音に対する症例報告だったので勉強になりました。まず吃音自体あまり知識がありません。発語は会話に直結します。会話は人とのコミュニケーションに繋がります。心理的、社会的ストレスと関連する症状であることを知りました。ここまでは何となく知っていましたが、その評価方法は初めて目にするものばかりでした。

音読課題は「ジャックと豆の木」の一部分を音読させるというもの。SSS-8とはSomatic Symptom Scale‒8でSomatic Symptomが身体症状の意味になります。その内容は①胃腸の不調,②腰背部痛,③腕,脚,または関節の痛み,④頭痛,⑤胸痛・息切れ,⑥めまい,⑦疲労感・気力低下,⑧睡眠障害の8問で構成されます。LSAS-JとはLiebowitz Social Anxiety Scale日本語版で「リーボヴィッツ社交不安尺度」と言われ24項目の質問があります。PSEQはPain Self-Efficacy Questionnaireで質問表です。どれも初耳で発表会前に調べました。年に一度この卒業論文発表会に出席することで普段知ることの無い情報を得ることができます。

 

実際の患者さんを前にして効果が出たという症例報告で非常に明るい内容でした。治療だけでなくリハビリテーションの一面があったという意見鍼刺激だけなく患者さんとのコミュニケーションも効果が出た要因ではなかったのかという質問が会場からありました。座長は鍼治療において鍼刺激、患者の主観的な思い、リレーションシップ(術者と患者との関係性)の3つで効果があるという報告があると述べていました。

 

 

6.クラフトコーラの摂取が東洋医学的体質に及ぼす影響

 

アメリカで炭酸水に各種スパイス等を入れた飲み物を“コーラ”として販売しました。その後炭酸飲料水としてコカ・コーラが世界的にヒットします。元々の意味の炭酸水にスパイスを入れたものを、コカ・コーラと区別するため、“クラフトコーラ”とし、自作のクラフトコーラを用いた実験研究気血津液の状態を指標にして今後セルフケアとしての可能性を模索するためです。気血津液とは東洋医学にある体を構成するもので気は目に見えないが体に影響を与える物質、血は基本的に血液、津液は体内にある血液以外の正常な液体成分と説明されます。このうち気の病態を改善するとされるスパイス類を入れたものを2倍の炭酸水でクラフトコーラを作ります。そして気の病態がある被験者群とそれ以外の病態の患者群に分けて約1ヵ月間摂取してもらい、他の鍼灸師による証立てした1~5の病態ステージと質問表で気血津液スコアを数値化して変化をみました。

 

今まで無かった実験研究だと思いました。これは漢方の湯液に関係する内容で生薬の考えを用いています。手作りのクラフトコーラはもちろん薬物は使用していません。着眼点に意表を突かれました。

大学病院で働いているときに医師は漢方については好意的という印象があります。それは製薬会社が漢方を売り込んでいるという実情もありますが、先にあげた気血津液とも関係があります。西洋医学を学ぶ医師も歴史的に漢方が主流だった時代があることを知っています。興味がないわけではありません。気血津液のうち、血は鍼灸師よりも遥かに血液に触れる機会がありよく分かっていますし、津液もリンパ液や間質液だと考えれば受け入れやすい。ただ気というものがとっつきにくいのです。鍼灸師のように14の経絡と365の経穴を覚える暇はありません。ところが体内に接種してしまえば経絡とか経穴というものは考えなくて良いのです。投薬を指示できる医師にはそれができます。反対に投薬ができないから体表の経穴に刺激を与えて経絡を通じて臓腑に働きかける必要があるのが鍼灸師と言えます。また舌診、脈診は医師も日常的に行うことなので共通項があります。大まかに気・血・津液の3項目で虚実(足りない、多すぎ・滞っている)の2択で考えるとなれば分かりやすいのです。

本研究は薬を処方できない日本の鍼灸師の事情を逆手にとったような視点です。医食同源という言葉がありますが摂取する飲食物が治療に通じます。それを東洋医学の指標に照らし合わせて実験して数値化。統計処理をして結果を考察します。鍼灸という物理刺激ではないアプローチ方法に感心しました。

 

 

7.管楽器奏者のためのパフォーマンス向上ツボ押し綿棒ケア

 

音大生やプロを含めたクラリネット奏者26名に対して綿棒を用いて少商労宮という経穴2か所を刺激することで所定の内容を演奏した際の満足度が変化するかを実験研究しています。少商は親指の爪付近にあり、労宮は手のひら親指の付け根付近にあり、どちらも呼吸に関係する効果があるとされます。片手のみで綿棒の両端を使い2つの経穴へ同時に刺激を与えます。それを3分間継続した後に楽曲「クラリネット・ソナタ」第2章冒頭一部分を演奏してもらいます。他に綿棒を握るだけで経穴に刺激を与えない条件でも同じように行ってもらいます。どちらのパターンも綿棒を3分間持つ前よりも演奏満足度が上がったという結果になりました。

 

教員養成科卒業論文発表会特有の特別な条件での実験研究です。発表者は音楽家で自身もクラリネット演奏者。後で経歴をみましたが、詳しくないので判断は付かないのですが相当な人のようでした。課題とする演奏部分は難しいパートで演奏者泣かせなのだとか。それを学生を含めた本職の人々を被験者として集めて実験したのです。

どのような被験者を集めるかは大きな課題です。私も実験をしたときに日常的に運動している人と定年が近い年齢の人とを一緒くたに行ったので、これが20~30代のスポーツマンだけを被験者したら結果は違ったのかなと思った経験があります。教員養成科はそのバックボーンから非常に特殊な被験者を集めて研究する場合が見受けられました。例えばA級ライセンスを持つプロボクサーだけとか、下肢が欠損している方だけとか、ビーチサッカーのプロスポーツ選手だけとか。特定の状況に特化した実験研究をすることで一般性はないがその分野の人には非常に参考になる研究になります。本研究もなかなか見ることができない実験環境だと思いました。

 

音楽家でもある研究者の視点からどこでも手に入り(演奏のため各地を移動することが多いことも考慮)、衣装のポケットに忍ばせられて、使い捨てが可能、簡単に実施できること、という条件でこの綿棒を用いたツボ押しに至ったのだとか。抄録を読んだときは何故綿棒など使うのか理解に苦しみましたが発表を聴いて納得できました。教員養成科らしい研究でいいものを見たという気持ちです。

 

 

8.バーベルバックスクワット後の筋肉痛に及ぼす円皮鍼の効果

 

トレーニング経験のある被験者を対象に高負荷をかけたスクワットをしてもらい筋肉痛の変化を観察します円皮鍼を腰周りに用います。その際にシャム鍼を用いて被験者も研究者も円皮鍼か偽物か分からない二重盲検法(ダブルブラインド)で実験をします。スクワットの直前、直後、24時間後、72時間後の時系列で足腰4ヵ所の筋肉痛をVASで主観的な評価を数値化し検討しています。結果は特に有意な変化が見られませんでした。

 

本研究は教員養成科というか東京医療専門学校における伝統的な研究内容だと思いました。スポーツ等で筋疲労が起きることが分かっている前提でそのダメージを軽減できないかというもの。過去に似た実験が行われてきました。円皮鍼、毫鍼を用いたものがあります。なお私は2回被験者として参加したことがあります。

一つは上腕二頭筋の筋疲労に円皮鍼が与える影響について。この時、私はシャム鍼かどうか分からないまま肘を曲げる運動を続ける実験を受けます。最大負荷(全力で出せる筋力)の何割かの負荷(重さ)をかえて肘を曲げ伸ばしするのですが、メトロノームが鳴っていて疲労によってそのリズムから外れるまで行うものでした。私は社交ダンス経験者なのでリズムから外れることを非常に嫌う性分でして競技特性上ずっと上半身を同じ体勢にしなければいけないこともあったのか延々と運動を続けていつまで経ってもリズムから外れませんでした。仕方ないのでそのときは実験中止。別の日により高負荷で行ったのですが今度はひどい筋肉痛になって肘をまっすぐ伸ばせなくなりました。

もう一つは教員養成科の同期が行った筋肉痛を鍼刺激で予防できるかという実験。片足にだけ事前に鍼を刺した条件で足首の運動をして筋肉痛を起こすというもの。これも社交ダンスの経験上足首をよく使っていたせいで通常よりも多く運動ができてしまい、膝が伸ばせない日常生活に支障をきたすほどのひどい筋肉痛になってしまいました。当時は子どもが2歳くらいだったので実験の経過とか言っていられなくなり必死にふくらはぎの治療をしたものでした。

このように筋肉痛の実験は難しいことを身に染みて知っていたので興味深々で抄録を読み発表を聴きました。やはり筋肉痛を定量的に起こすことができなかったとありました。また高負荷のバーベルスクワットだったので腰にベルトを撒いたことで円皮鍼がずれてシャム鍼か否かを被験者が分かってしまったと言います。実際にやってみないと分からないことです。

なお多くの先行研究は単純な動き、すなわち単関節動作(一つの関節運動のみ)で実験をしています。これを複合的な膝関節、股関節を同時に用いるスクワットで、それも実際のトレーニングを考慮したバーベルを用いたもので実験したことが素晴らしいです。基礎実験だから仕方ないのですが、現場では意味ないのではと考えてしまうシンプルな条件であることが多いので、現状を踏まえた内容を敢えて選択した研究だと思いました。

 

 

9.抑鬱状態にある起立性調節障害患者に対する東洋医学的治療の一症例について -体位性頻脈症候群 (POTS)への鍉鍼とあん摩によるアプローチ-

 

起立性調節障害OD:Orthostatic dysregulation)の患者さん。日本小児心身医学会OD身体症状項目が11項目中7項目該当します。サブタイプが体位性頻脈症候群POTS:Postural orthostatic tachycardia syndrome)と考えられます。この患者さんに鍉鍼とあん摩による施術を行い血圧、脈拍、睡眠時間、OD身体症状項目の記録を観察した症例報告です。週1回30分、4週間の鍉鍼を行い、その後あん摩を行うというものでした。鍉鍼というのは、ステンレス製のものが多いのですが、身体に刺入せずに押したり擦ったりする棒状のものです。鍼の一種です。あん摩とは世間の人が想像するマッサージで、薄い衣服の上から手で押したり揉んだりして行う徒手療法です。あん摩マッサージ指圧師免許を持った人間が行います。予定では鍉鍼→あん摩→鍉鍼というABA方式を採用する予定だったが、あん摩施術で症状に増悪がみられて中止しました。鍉鍼では全体的にOD身体症状が改善傾向があっと報告しています。

 

新型コロナウィルスが流行してから卒業論文発表会では症例報告が増えました。その理由の一つは大勢の被験者を集める実験研究が困難になったためです。今年発表した38期生は入学したときからコロナ禍という異常事態で教員養成科生活が始まりました。1年経過して学校側が慣れてきてから入学した39期よりもずっと苦労したと推測します。本発表でも珍しい症例だと思いました。原因がよく分かっておらずメンタル面の影響もあります。ましてこのコロナという社会環境。実験ではなく本当に症状がある患者さんを前にした“リアル”を感じた発表でした。通常ABA方式は刺激→無刺激→刺激と何もしない期間をおいて様子をみるのですが、症状がある患者さんを前に何もしないとはできず非常に弱い刺激のあん摩に変えたそうです。治療内容が変わるというのも患者さんにとってストレスになったようです。施術内容だけでなく患者さんの社会環境も強く関係するであろう症例であるため、臨床に出る立場からみるととても大変だろうと思います。自分だったらどうするだろうと考えさせられる発表でした。

 

 

10.鍼刺激による耐糖能異常患者の食後血糖値変化について

 - フラッシュグルコースモニタリングシステムを用いたパイロットスタディ -

 

耐糖能異常を指摘され、かつ試験に同意を得られた1名の被験者にフラッシュグルコースモニタリングシステムFGM:Flash Glucose Monitoring)を用いてブドウ糖摂取直前から15分ごとの300分まで間質液グルコース濃度を計測します曲池という肘にある経穴に鍼を刺して低周波鍼通電を行う刺激回と鍼を刺さない無刺激回を各2回ずつ行い、グルコース濃度のピーク値、ピークまでの時間、ブドウ糖摂取前の濃度に戻る前の時間、グルコース濃度の変動幅について計測結果を比較します。無刺激回と刺激回では各計測値に差が無かったと報告しています。

 

グルコースとはブドウ糖のこと。血中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態が糖尿病になります。ブドウ糖を摂取するとインスリンというホルモンが分泌されて血糖値を下げるのですがその機能がうまく働かないのが耐糖能異常です。血糖値を計測する際に75gブドウ糖負荷試験という方法を用います。75gのブドウ糖(砂糖水)を摂取してその後に血糖値がどれくらい変化するのかをみます。グルコース濃度がどこまで上がるのか、最大まで上がるまでの時間はどれくらいかかったのか、元の濃度に戻るのにどれくらいかかったのか、どれくらい濃度が変化したかをチェックして状態をみるのです。先行研究で曲池に鍼刺激を使用していたことからこの経穴を選択しています。ポイントはそれまでは血液を採取して血糖値を計測していたのがFGMという手に装着することで間質液グルコース濃度を非侵襲的に(体を傷つけずに)計測できるということ。新しいテクノロジーによって計測方法が進化したと言えます。センサーを使ってスマホのアプリで計測できるのです。鍼通電でピコリナを使用したように新しい器材が誕生し採用されることで実験研究が進化します。そのような実感を持った発表でした。

 

 

11.水晶銀鍼が頚部ROMと腰部FFDに及ぼす影響 -ABS樹脂との比較-

 

水晶できた鍉鍼を使って刺激を行い首と腰の関節可動域の変化をみた実験研究。水晶と比較するためにABS樹脂製のものを用いて被験者はどちらで刺激されているのか分からない状態で刺激前後の頚部ROM(関節可動域)と腰部FFD(前屈して指先と床までの距離)を計測し検証しています。刺激方法は体の正中線上の経穴を押すのと肩甲間部を擦ることをした。水晶鍉鍼の刺激では頚部ROMが増加、腰部FFDは減少。ABS樹脂製の刺激では頚部伸展(顎を上げる動き)ROMだけが増加、それ以外は全て変化がありませんでした。

世界中に石を用いた治療方法、養生方法があります。よって素材そのものに何か効果があると考え、古代にはなかったプラスチック製のものと水晶のもので比較した実験。経絡で考えて督脈、任脈上にある経穴を押すのと肩甲間部を擦ることで首と腰の動かしやすさを指標に比較してます。ABS樹脂性でも刺激そのもので一部首の動きが良くなったのではと考察しています。

 

本研究は用いる素材によって違いがあるのかを検証しています。今はディスポーザブル(使い捨て)のステンレス製毫鍼が主流ですが、かつては銀鍼、金鍼と素材に特徴のある毫鍼がありました。一度使ってもオートクレーブという装置で滅菌してまた使用していました。感染症対策やオートクレーブを使用すると折れやすくなるという理由もあり一度きりのステンレス製毫鍼がほとんどになりました。体に刺入しない鍉鍼の場合、素材を変えることが多く、ステンレス製だけでなく銅、金、銀など素材のバリエーションは多いのです。ダイオード入りの鍉鍼もあります。同じ刺激量だとしたときに素材によって違いがあるのかは興味深いところです。特に天然の水晶はパワーストーンなんてものがあるようにそのものに何か力があると言われていたりもします。鍼灸師である以上「気の概念」は常にあるもので、水晶から気が発せられていたらどうでしょう。実際にそのように考える鍼灸師もいます。

これを理系の目でみるととても興味深いのです。自然界には放射線を出す鉱物が存在します。放射線は目に見えませんが人体に影響を及ぼします。ラジウム温泉のように効能がある場合も研究の末被曝症状で亡くなったキュリー夫人のようなことも。経絡学派の気の定義が「目に見えないが体に影響を及ぼすもの」と言われますが、放射線はまさにその定義に当てはまってしまいます。また電荷や電磁波を気と捉えることもできるかもしれません。邪気とは人体に生じた異常電荷だと考える鍼灸師もいますし、電気的なものだと考える人もいます。量子力学を用いると気を説明できるという人もいるのです。東京理科大学で半導体を研究した私には水晶の組成や化学構造からも考察できるのではないかと考えました。

 

質疑応答で分かったのですが発表者は20年以上工学に携わる人でした。そのことを知って私はとても腑に落ちました。工学を理解した上で敢えて東洋医学からの観点で研究をしたのかなと推測したのです。発表会はzoom配信されており視聴者からも水晶に圧が加わると電荷が生じるがそのことは関係しないかという質問があり、同じような視点で見ている人がいると思いました。また動じることなく回答している発表者も。理工学の専門家が素材による化学、物理分野の視点で研究すると伝統医療たる鍼灸に大きな発展があるのではないかと期待を持った発表でした。

 

 

12.繰り返す汗疱に消風散の組成に基づく配穴により鍼灸治療を実施し効果があった1症例

 

本研究は症例報告です。汗疱という皮膚疾患に対して漢方薬の消風散を服用したら効果があった経験から、この消風散の効果を鍼灸治療で代用して効果を試みるというものでした。計測結果で効果があったと報告しています。

 

漢方薬の効能を鍼灸で行う。ありそうで無かった視点です。私は鍼灸の効果を徒手(あん摩マッサージ指圧)で代用できないかと考えてきましたがそれに近いのかもしれません。消風散がもたらす効能を東洋医学で解釈し同じ目的で経穴を選択、鍼をしています。これは他の漢方薬でも応用できそうです。もちろん西洋の薬でも。よく言われるのが鍼灸を受けるようになって服用する薬の量が減った、という話。注意深く考えなければいけないことですが、減薬の手助けになり得る可能性があります。漢方薬にせよ薬にせよその効果や機序、知識がなければできないことですから、東洋医学、西洋医学の両方をしっかりと理解して薬学の知識も必要だと再認識します。

 

 

13.小児自己免疫性溶連菌感染関連性精神神経障害(PANDAS)の後遺症治療の一症例 -耳介への温灸刺激の自律神経症状に対する影響の検討-

 

小児自己免疫性溶連菌感染関連性精神神経障害PANDAS:Pediatric Auto­immune Neuropsychiatric Disorders Associated with Streptococcal infections)の後遺症に対して耳への温灸施術を行った症例報告です。PANDASとは溶連菌感染後に突然発生する精神神経障害のこと。最近認められた疾患でまだよく分かっていないといいます。大脳基底核の炎症が考えられ自律神経障害があるようです。

耳には迷走神経耳介枝があり、体表に最も近いとされています。耳を温灸という直接艾に火を点けるものではなく、距離を置いて温めるお灸の方法で施術し経過を見たものです。週3回全12回の記録。良導絡自律神経カルテで自覚症状を調査。睡眠時間もアプリケーションを使用して計測しました。自覚症状は100項目中25項目該当していたのが治療後は5項目は症状消失、12項目が改善となったと報告しています。

 

PANDAS。これも初めて知る言葉でした。稀な症状であるからこそ症例報告として発表する意義があるわけです。溶連菌は乳幼児が感染する菌で私の子どもも保育園の頃何度か感染しました。溶連菌にも複数の株があり、株によって感染したときに出る症状が変わるとのことです。学生時代に臨床医学各論で溶連菌感染症は学びましたがきちんと理解していなかったことを認識しました。新型コロナウィルス、その後遺症も同様に現代医学でも研究が進んでいないものに対して鍼灸師がどのように対応するかは重要な課題です。東洋医学的な観点で行うのか、現代医学的に考えるのか。少なくとも耳を温めるという選択肢は鍼灸師(きゅう師)でなければそうそう思いつくやり方ではないはずです。個人的にあはき(あん摩マッサージ指圧、鍼灸のこと)は補完医療だと考えていて、現代医療がカバーできていない、苦手な部分を補うことが重要ではないかと思います。

 

 

14.気になる色と良導絡の皮膚電気抵抗について

 

249名もの被験者を対象に「気になる色」を赤・橙・黄・緑・青・紫の6色から選んでもらいます。安静後にノイロメーターという装置で良導絡測定を行い最大興奮経絡と最大抑制経絡を抽出し、選択した「気になる色」との関係を調べました

色彩心理では「気になる色」は潜在意識と関連し「好きな色」は顕在意識だとされます。「気になる色」は本人も無意識で望んでいることが反映されると言われています。色彩心理から3原色と隣り合う色で形成される6色を選択肢にしてアンケートで「気になる色」を選んでもらいます。

良導絡測定とは東洋医学の五臓六腑を現代的な視点で見るようなものです。12ある手足の経絡で原穴といわれる経穴部分を測定して皮膚の電気抵抗を計測します。手足は対になっているので合計24箇所。測定結果で皮膚電気抵抗が減弱し最も興奮している経絡を最大興奮経絡、皮膚電気抵抗が増強し最も抑制している経絡を最大抑制経絡とします。

 

この研究の凄さはその被験者の数です。サンプル数とかn数というのですが実験研究において個人で249名も集めるというのは相当なものです。だいたい20名集まればいいほうです。驚異的な数字です。比較的客観性に乏しいといえる東洋医学において良導絡測定は装置を用いて計測できるためある程度客観的を担保できると思われます。膨大なデータをまとめて統計処理をかけています。結果と考察に関しては正直なところ、よく理解できませんでした。質疑応答で指導教員が質問意見を重ねていましたが発表者とのやり取りも1日経過して見直していても分かりませんでした。何となく教員の指摘していることの意味が分かるようなという感じでした。

 

 

毎年のことですが今回も多種多様な発表内容でした。新しい用語を知り、何となく知っていた知識を思い出し、聴いた後に更に調べる。このような学びの場です。卒業論文発表会を公聴すると伝統的な東洋医学理論と統計処理が甘いことがよく分かります。東洋医学概論、中医学の勉強が足りないことが分かります。また自分が使用しなかった統計処理方法には実態が掴めていないです。今年特に感じた事は教員養成科の指導教員の質の高さです。これだけ色々なジャンルの発表に対して質問や指摘が鋭いのです。私が学生だった頃から教員をしている方々ですから感心することではありませんが、自分がこの年齢とキャリアになって余計に感じることです。特に今年は何を言っているのか理解しかねることが多かったです。例年新しい手法を臨床に取り入れようと実技的な刺激を受けるのですが、今年は勉強の足りなさを感じたものでした。

また昨年よりも更にオンライン配信のレベルが上がり、外部からもzoomで公聴する人が増えていました。リモートでの質疑応答が昨年よりも増えており、開かれた発表会になりました。準備や当日の器材操作は傍で見ていて本当に大変なようでしたが。インフラ面もレベルアップして今まで知らなかった範囲まで広がっていくような気がしました。

 

教員養成科の2年生は最後の大仕事が終わり、お疲れ様でした。運営に携わった学校関係者の方々にはオミクロン株が猛威を振るう大変な状況で開催していただきありがとうございます。

 

甲野 功

 

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