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~学生向けテーピング講習を行いました~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 テーピング講習
テーピング講習の様子

 

 

変則的な感じでしたら3回のテーピング講習を行いました。

 

昨年、鍼灸マッサージ専門学校の学生さんからテーピングを学びたいという申し出がありました。普段はあまり出さない一面ですが私は柔道整復師であり、整骨院での勤務経験があります。テーピング自体は鍼灸マッサージ専門学校に入学する前から学んでいたこともあり、苦手ではありません。「そういえば甲野先生できますよね」、という感じで依頼されて。

テーピングを教えるにしても少なくとももう一人誰かがいないと成り立たないので1対1というわけにはいきません。学生さんにテーピングをしたら、どのようにしているかその人は様子が見えないですし。そこで誰かもう一人参加者が見つかったらやりますよと話してから、少し時間が経ちました。今年に入って学びたいという方が2名になったので開催しました。

 

ただお願いをされたときにかなり迷いました。それは参加希望者はテーピングの何を知りたいのだろうか、という点が不明だったからです。テーピングと一口に言っても奥は深いですしやり方は多様です。そこで二人に質問を投げかけてみたところ、返ってきたのは漠然としたものでした。

予想はできていたのですがテーピングというものをよく知らない、というか考えたことがなさそうだ、と。もちろん全く知らないからどういうものか知りたいということなのですが、いわれる<何が分からないのかが分からない><質問する内容自体が分からない>状態だと思いました。収縮性テープ(キネシオテープ)と非伸縮性テープ(ホワイトテープ)の違いも知らないようです。

テーピングをどういうときに使うのか、どのようなメリット・デメリットがあるのか。テーピングの特性を伝えないといけないようだと感じました。

 

私がテーピングを習った時の講師は「テーピングはセンスです」と言いました。幾つか基本のテクニックはありますが、解剖学(体の構造を理解)、運動学(どのように体が動くのか)、病態把握(体の状態を理解してテーピングによりそれをどうしたいのか)など非常に広い分野の知識を総動員させて行います。最終的な正解は無くて、その都度状況によって調整することが求められます。まだまだ知識が伴っていない場合、やり方を教えてもどうしてそうするのかという意義が分からないだろうなと考えたのです。さてどうしたものかと。

またテーピングという器材の特性についても。テーピングの種類によってその特性および用途が異なります。そこも整理しておかないといけないだろうなと。

思案した結果、最初はガイダンスとして導入編を作りました。それが1回目です。

 

初日はテーピングの紹介。テーピングはスポーツ分野での外傷予防や応急処置に用いられる事が多いです。単純にいうとケガの場面で使われます。養生とか慢性疾患が得意な鍼灸とはそこが違います。いやいや急性外傷にも鍼灸は有効だという意見もあるかもしれませんが、柔道整復師である私には応急処置の基本(ベーシック)を知ってもらいたいのです。まずRICE処置。捻挫した直後にお灸をする人もいるようですが、そういうことより安静にして冷やして腫れをひかせるために圧迫、心臓より高くしてほしいのです。急性期が過ぎたら鍼灸はいいと思うのですが。

そこで応急処置について話しました。RICE処置とは。PRICE、POLICE、PEACE&LOVEなど新しくやり方が出てきていることを踏まえて、基本中の基本であるRICE処置とは何か、なぜするのかを話しました。このうち安静(R)と圧迫(C)にテーピングが活用されることがあることも。加えて意識確認、気道確保、心臓マッサージといった救急救命時に行うこと、骨折と脱臼の特徴、軟部組織損傷など、さらっと急性外傷に関わる知識を話しました。テーピングの方法を教えることは容易いのですが最低限ここは押さえてほしいと思いました。詳しいことは後々学校で習うでしょうが、知らないまま(意識しないまま)やり方だけ覚えてもらうのは違うと。

 

続いてテーピングの種類と特性について話します。主にアンダーラップホワイトテープキネシオテープの3種類があると。スパイラルテープなど他にもありますがベーシックな3つをまず知ってもらおうと考えました。アンダーラップは皮膚を守るために巻くもので破けやすい。ホワイトテープは伸縮性がなく固定させるためによく利用される。キネシオテープは収縮性があり動作をあまり阻害しない。このような違いがあります。アンダーラップ、ホワイトテープは手で切ることができますがアンダーラップはハサミを使わないと切れません。参加者にホワイトテープを指で切る練習をしてもらいましたが、予想通りホワイトテープが切れなくて苦労していました。

 

そして貼り方へ。アンダーラップは置いておきホワイトテープとキネシオテープに集中します。幾つか代表的な貼り方(巻き方)をデモンストレーションで私が見せました。そのあとは特定の筋肉の走行に沿ってキネシオテープを貼ることを学生さん同士でやってもらいます。キネシオテープを貼るという動作に慣れてもらうと同時に、筋肉の起始・停止、ゲートコントロール説、感覚神経の分類(1次痛覚と2次痛覚)などを説明しました。ただ貼るやり方を覚えるのではなく理論も知ってもらいたくて。次に環行という体の部位を一周する巻き方をやってみます。テーピングというより包帯固定の用語ですが特有の言葉を覚えてもらって互いの共通言語にします。

 

ガイダンスの初日は概ねこのような内容で終わりました。参加した学生さんにとってはテーピングだと思っていたら色々な方面に話が飛んで面食らったかもしれません。しかしそこは鍼灸マッサージ専門学校という国家資格の学校に行くわけですから予習の意味も込めて詰め込みます。具体的な講習とは別に時間を取りました。

 

日を置いて2回目。この日は具体的なテーピングのやり方です。参加者の希望や特性などを考慮してホワイトテープ、キネシオテープに教える内容を分けました。

まず双方に手首と足首に環行をしてもらいます。意図的に手首を強く巻いて橈骨動脈が圧迫される絞扼障害を軽く体験してもらいます。テーピングも誤ったやり方をすれば危険だという事を念頭に置いてもらうためです。指が膨れて血色が悪くなる様子を目で見て体感してもらいました。続いて環行の位置によって効果が変わることを実感してもらいます。手関節(手首)に掛かるようにテーピングを撒けば手関節の動きが制限されます。巻く回数を増やせばより制限が強くなります。関節に掛からなければ動作への影響がほぼないことも確認してもらいます。足首の環行では立った時の感覚が変わることを体験してもらいます。

 

そして足関節(足首)のテーピング。ポピュラーであるが最も難しいとも言われます。特にアスレティックトレーナーの学生は何度も何度も練習するのではないでしょうか。足関節は圧倒的に内反捻挫が多く、テーピングでは反対に外反する方向に固定をしていきます。なぜ内反捻挫が多いのか、どこの靭帯を傷めやすいのかなど基本的なところを解説してからやり方を伝えます。

 

まずはホワイトテープで。足首のテーピングにはアンカースターアップホースシューフィギア8ヒールロックといった個別に名称がついた巻き方(貼り方)があります。それらを説明しながらテープの走行(どの方向に巻くか)と位置を教えます。私の予想通り、参加者はフィギア8とヒールロックが混乱していました。自分もそうでした。柔道整復師専門学校では先に包帯固定で麦穂帯、三節帯をするので理解しやすいわけですが、もちろん参加している学生さんはそのようなことは知りません。右足が終わったら次は左足。左右が逆になるので走行も逆になります。そこでまた混乱。ここでは理屈よりも手を動かして動作を覚える時間なので連続でやってもらいました。

 

次はキネシオテープ。キネシオテープではいきなりフィギア8を2周してそのままヒールロックに入り内側・外側の踵を経由して最後は足関節上部にて環行で終わる方法をしてもらいます。テーピングは繋がっている方が固定力が増します。途中で切ることなく一筆書きのように終わらせるのがここでのポイント。そのために粘着面に付いている紙を剝しながらテープを貼っていくテクニックが求められます。そこがホワイトテープとの大きな違いです。もちろん走行も理解していないといけません。

どちらも四苦八苦しながら繰り返して巻いて段々様になってきました。足首のテーピングに慣れると後は比較的簡単に感じるもの。続いて腱鞘炎のテーピングのやり方の一つをやりました。腱鞘炎の機序、検査法などの知識を教えた上でキネシオテープでやる方法を見せます。ここではハサミでテープを加工してから貼っていきます。小学校の図工を彷彿させます。

ここで2日目が終了します。

 

1日置いた3日目は諸事情により一人参加者が入れ替わりました。初参加の学生さんに応急処置やテーピングの種類・特性などを改めて説明します。

そしてテーピングよりも歴史の古い包帯固定について説明しました。一反の晒を裂いて綿包帯を作ること。一反は幅30cm、長さ9m。2つに裂けば幅15cmの綿包帯が1組できます。これを2裂包帯といいます。3つに裂けば幅10cmの3裂包帯。4つでは7.5cmの4裂包帯。5つは6cmの5裂包帯。綿包帯を用いて環行帯、螺旋帯、蛇行帯、麦穂帯、折転帯、亀甲帯(扇状帯)を巻いてみせます。ゲートル巻きと言われるふくらはぎの包帯も。学生さんはこれまでほとんど知らなかった包帯固定も、見てもらいました。

3日目は足首のテーピングの復習でどんどん巻いてもらいました。初参加の学生さんにはキネシオテープを用いた方法を教えて練習。足首のテーピングに加えて外反母指(足の指)のテーピングをやりました。腱鞘炎のテーピング以上に図工のようにハサミを使ってパーツを作っていきます。その流れから足根骨の種類、足部のアーチ、足指のトレーニングなど足の裏に関わることを教えました。

これで3日間が終了しました。

 

私がいつも注意したことが、テーピング技術自体は慣れれば小学生でもできるもの、そこに医学的知識が伴わないといけないということ。やり方を覚えたから誰にでもできますよではなく、どうしてそれを行うのか、リスクは何なのか、といった知識面リスク面を認識してもらいたいこと。鍼灸マッサージ専門学校できちんと学ぶことですが、今のうちから肝に銘じてほしいことです。参加した学生さんの技術の引き出しに、新しい概念を取り入れる、勉強をするきっかけを。そのようなことを期待しています。

 

甲野 功

 

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