～学生向け柔道整復師セミナーを開催しました～

 

 

３月１７日に鍼灸マッサージ専門学校の学生さんを招いて柔道整復師についてセミナーを行いました。

 

参加した方は、この春に鍼灸マッサージ科に入学するプレ学生さんと、現在鍼灸マッサージ科１年生で来月２年生に進学する学生さんの２名です。つまりあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師を目指している人達。３回に渡りテーピング講習をしてきたのですが、元々は柔道整復師が主に扱う分野であることを考えると「柔道整復師とはどのような職種なのか」を知らずに学ぶのはどうかと思うようになっていました。鍼灸師には柔道整復師も一緒に取得する場合が多く、鍼灸科と柔道整復師科を併設する学校は数多くあります。参加した２名の学生さんが所属する学校も柔道整復師科があるのです。近い存在であるのですが、実際はどのような業務をしているのか知らないだろうと思い、柔道整復師の存在を知っておく機会を持ってもらおうとセミナーを加えました。

 

この３月で柔道整復師になって１１年が経過しました。柔道整復師１２年目に突入です。私が柔道整復師国家試験を受けたのが２０１１年３月。今でも忘れられない東日本大震災の５日前の日曜日でした。柔道整復師としてやっていこうという気持ちと東日本大震災により環境が一変したことが紐づいています。柔道整復師でありながら接骨院をしていない私ですが、柔道整復師としての自覚はありますし３年間学んだことは非常に大きな財産となっています。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、そして教員免許持ちの印象が強いかもしれませんが柔道整復師分野も影で柱になっているのです。そうでなければテーピング講習を引き受けることはしません。

 

近い資格でありながら柔道整復師とはどのような職種なのか鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師から見ると分からないように思います。同じ科が学校に併設されている場合が多いにも関わらず。医療系国家資格ではっきりと開業権が認められている（施術所を開設できる）免許は医師、歯科医師を除くと助産師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師くらいです。歴史的にも柔道整復師は「あはき法」（あん摩マッサージ指圧師と鍼灸師に関係する法律の通称）に入っていた時期があり、東洋医学として扱われていた時代もあります。それなのに実態を知る人は少ないのではないでしょうか。

 

その理由は悪くは柔道整復師としてメインでやるはずのことから外れた業務が目立ちすぎていることが挙げられます。柔道整復師が開設する施術所は「接骨院」なのですが、もはや慣例となって「整骨院」も可能となっています。厳密には「整骨院」という名称は法律で規定されていないのです。そして巷の整骨院では、骨盤矯正、猫背矯正、マッサージ、姿勢診断などの謳い文句が目立つところばかり。更には歯のホワイトニングやダイエット、角質取りなども出てきます。柔道整復師の一番の業務は急性外傷の応急処置なのですが。もっと悪い印象としては不正請求をしている、交通事故の自賠責ばかり扱おうとする、高額な回数券を売りつける、などがあります。残念ながら。金になりそうなものなら何でも手を出すのが柔道整復師、というイメージを一部で持たれているのは確かです。

私があじさい鍼灸マッサージ治療院を開業して間もない頃に整骨院紹介サイトに掲載しませんかと訪れた営業担当がいて「整骨院て何をしているのかわからないじゃないですか」という言葉を放ち、私は憤慨したものでした（そもそもうちは整骨院ではありませんというこちらの発言に対して、先生は柔道整復師免許を持っているから構いません、という流れで出た発言）。業界関係者がこの認識とは。なおこのサイトに掲載することを承諾せず、気がついたらそのサイト自体が消滅していました。

また数年前に整骨院のチラシで危険な脊柱矯正が出ているとTwitterの鍼灸師界隈で話題になったことがあり、私が柔道整復師の授業でこのような施術は習いませんとコメントしたところ、複数の鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師から驚きの声が挙がりました。国家資格持ちでも柔道整復師は骨格矯正する人という認識だったことに驚きがありました。医療系他業種のことを知ろうとしない鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師が悪いのか、そうだと思わせる多くの柔道整復師が悪いのか。どちらにせよいい状況ではないなと思いました。

 

とにかく直接関わっている学生さんに柔道整復師とは何かを知らせる必要がある。そう考えました。

 

柔道整復師の成り立ち。骨接ぎと言われていた。武術と関係していた。殺法と活法。なぜ資格名に柔道と付くのか。

業務は何か。急性外傷の保存療法。観血療法は医師にしか認められない。脱臼や骨折の整復。包帯固定。チームプレイの大切さ。症状の鑑別。

法律のこと。受領委任払いが認められてきた。業務独占。福岡裁判。養成施設の分類。

柔道整復師の増加。不正請求。逮捕、書類送検の事例。

業界の自浄作用。学校カリキュラム変更。施術管理者要項の変更。

 

これらのことを伝えました。

 

座学だけでなく包帯固定について実際に巻いて見せます。

柔道整復師の世界ではテーピングを絆創膏固定と言います。柔道整復師専門学校で習う道具は伸縮性の無い綿包帯が基本。加えてゴムの入った伸縮性のある弾性包帯、絆創膏固定（テーピング）、三角巾、副子などを扱います。私が学校で一反の晒を裂いて綿包帯を作ることから始まりました。一反は幅３０ｃｍ、長さ９ｍ。２つに裂けば幅１５ｃｍの綿包帯が１組できます。これを２裂包帯といいます。３つに裂けば幅１０ｃｍの３裂包帯。４つでは幅７.５ｃｍの４裂包帯。５つでは幅６ｃｍの５裂包帯、６つでは幅５ｃｍの６裂包帯。そのことを話し実際に学生時代使っていた練習用包帯を見せます。その綿包帯を用いて環行帯、螺旋帯、蛇行帯、麦穂帯、折転帯、亀甲帯（扇状帯）を学生さんのふくらはぎや腕、腰に巻いてみせます。この綿包帯での固定ができるからテーピングも上達するということを知ってもらいました。

 

私は柔道整復師の本文は急性外傷の応急処置だと考えています。専門学校ではそのための勉強と実技練習を３年間のほとんどを費やしました。自分が求める応急処置が一人では、この環境ではできないと判断したためあじさい鍼灸マッサージ治療院はマッサージ院、鍼灸院の業態で開設届を出して、接骨院としての届出をしていないのです。だからといって柔道整復師免許を返納していませんし柔道整復師としての責務を捨てたつもりもありません。

先日、東北で大きな地震が起きたばかりです。海外ではミャンマーが軍事クーデターを起こし、ロシアのウクライナ侵攻があります。突然大災害に見舞われる可能性があるわけです。そういったときに急性外傷の応急処置を知っていることは大きいと思うのです。

そのことを参加した学生さんに伝えました。

 

甲野　功

 

電話　　　：070-6529-3668

メール　　：kouno.teate@gmail.com

ＬＩＮＥ　：@qee9465q

 

ご連絡お待ちしております。

 

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