～ユニクロ新宿３店舗の比較～

 

 

我が子の服を買う際に新宿のUNIQLO（ユニクロ）を利用することがあります。

 

私には長女と次女の二人の娘がいます。ここ何年もずっと自分の服を買う機会より子ども達の服のを買う方が多くなっています。どんどん成長しますし。赤ちゃんの頃からユニクロはお世話になっています。他にも「赤ちゃん本舗」、「しまむら」、「イトーヨーカドー」など複数の衣料品店を利用しました。当然ですが独身時代は立ち寄ることはなかったベビー服、子供服コーナー。娘の成長と共にそれらの知識がついてきました。

 

娘が成長するにしたがい個性がはっきりしてきます。長女は女の子っぽい服が好きでしまむらとかGUの服を好みます。次女はシンプルな服を好むのでほぼユニクロ一択です。次女の場合、乳幼児のときは姉のおさがりで済ませていたのですが、成長するにつれて段々とこういうのがいいとこだわりが強くなり、こちらが良かれと思って買った服でも納得しないと嫌だといって絶対に着なくなりました。ですから今は一緒にお店に行って本人がこれがいいというものだけ買うようにしています。このことは長女も同じなのですが、長女の方がまだこういうのが好きそうだと予想できます。次女の場合は嫌だという服は頑なに着なくなりました。デザインのシンプルさを強く求めるのでユニクロに行くのが一番になります。

 

あるとき新宿のユニクロを訪れると１枚の貼り紙が目に留まりました。そこには以下のような言葉が躍ります。

『

ユニクロUNIQLO新宿Big３

個性の違う３つのユニクロ

 

新宿には、東口、西口、南口に個性の違う３つのユニクロがあります。普段は、ビックロ派の方も、西口派の方も、髙島屋派の方も、他の新宿の店舗にも足を運んでみませんか？

』

 

ユニクロは現在新宿駅周辺に３つの店舗があります。以前は他にもありましたが今は大きな３つの店舗になっています。それを「新宿Big３」としているのでしょう。

 

この貼り紙を見たときに素晴らしいなと感心しました。

新宿の３店舗を地図で位置関係を示し、各店舗の特徴を端的に説明しています。

 

●ユニクロ新宿西口店

『駅直結！ビジネスパーソンに最適！　

・UNIQLO FLOWER取扱い

・オンライン商品の時間外受取サービス（7：30～10：00）』

 

まず私がこの貼り紙を見た店舗、新宿西口店です。駅直結とあるように店舗の地下から丸ノ内線、JR各線、都営大江戸線に行くことができます。新宿駅は地下道が発達しているので地下道を歩き続ければ都営新宿線、小田急線、京王線（京王新線含む）、西武新宿線、東京メトロ副都心線まで乗ることができます。私は都営大江戸線を使うので新宿のユニクロというとこの新宿西口店が真っ先に思い浮かべます。

ここの特徴は１階の目立つところに花を販売していること（UNIQLO FLOWER）。ユニクロで花？という意外性があります。生花を店頭に飾ることで目を引く効果が期待できます。新宿西口店は並びに小田急百貨店、京王百貨店と続き、通りを挟んで向かいにはビッグカメラがあります。駅に一番近いので人の流れが速いので花という目を留めるアイテムを置いているのではないでしょうか。

またオンライン商品の時間外受取サービスを扱っています。出勤時の新宿駅で乗り換えるお客さんの利便性を考慮しているのでしょう。

 

●ビックロユニクロ新宿東口店

『家電×服で東京の新名所！

・フルラインナップの品揃え

・UTme・マイユニクロ取扱い』

 

「ビックロ」というネーミングが特徴の新宿東口店です。ビックロとはビッグカメラとユニクロを合わせた言葉です。元ジュンク堂書店が入っていたテナントにビッグカメラとユニクロが入っています。「家電×服」とあるように双方のお客さんがついでに買い物をしていくことを狙っています。「新名所！」と強調しているように比較的最近できた店舗でとても特徴のあるコンセプトでしょう。どちらも多店舗展開をする大企業ががっちり手を組んでいます。

ここの特徴はオリジナルＴシャツを作るサービスがあること。うちの娘もすみっコぐらしのオリジナルデザインのＴシャツを作ったことがあります。立地は新宿通りにあります。新宿の目抜き通りといえる通りで日曜日は歩行者天国になります。通りには伊勢丹百貨店やシネマコンプレックスであるバルト９、画材のデパート世界堂など名立たるお店が並んでいます。商品を買うという直接的な目的（便利）だけでなく、ここに入ること自体がオシャレ（ブランド）という印象を持たせます。

 

●ユニクロ新宿髙島屋店

『百貨店×キッズ・ベビー品揃え豊富、ファミリーにおすすめ！

・都内最大級のKIDS・BABY売り場』

 

新宿髙島屋店は南口にあるタカシマヤタイムズスクウェア内にあるユニクロです。髙島屋という百貨店に入ることでファミリー層を重視する意図が見えます。「キッズ・ベビー品揃え豊富」「ファミリーにおすすめ！」の文字がターゲット層を明確にしています。子供服を買うためにユニクロに行く私にはとても興味深い言葉です。立地でいうと新宿というより代々木の方が近いくらいで新宿の中心からは少し離れます。都営大江戸線新宿西口駅を使う私にはやや遠く感じます。しかし「都内最大級のKIDS・BABY売り場」と書かれると距離があっても行ってみようかなと思わせます。

 

新宿駅はギネス記録を持つ世界一乗降者数が多いターミナル駅。そこに大規模店舗を３つ持つユニクロ。ドミナント戦略なのでしょうが各々ターゲット層を分けていると感じます。新宿西口店は駅利用者、特に出勤や通勤で新宿駅を利用する客を。ビックロ新宿東口店は観光客を。新宿髙島屋店はファミリー層を。

私の行動で照らし合わせると、自分の服を買うなら駅から一番近い新宿西口店へ、子供の服を買いに行くなら新宿髙島屋店へ、上京した友人のために新宿を散歩するならビックロ新宿東口店へ、となるでしょう。利便性をとるか、子どものためを考えるか、新宿らしい体験をしてもらうか。

 

何が感心したかというと、貼り紙一枚でこのようなシミュレーションをさせたこと、なのです。前から新宿にユニクロが３店舗あることは知っていました。この貼り紙を見るまではどこも一緒だろうという認識です。それを各店舗の違い（特徴）を理解させました。子供服を買うなら髙島屋のユニクロの方が便利そうだと。オリジナルＴシャツを作るという体験はビックロでないとできないのだと。ビックロでオリジナルＴシャツが作れることは経験上知っていましたが、ビックロ以外の新宿のユニクロではできないことを知らなかったのです。このような知識を得ること。３店舗を比較すること。

 

この先もしも新宿に詳しくない人に新宿のユニクロはどこに行ったらいいのか？と聞かれたときとして、より良い回答ができそうだと考えるところまで頭を使いました。工夫していると思います。ユニクロは世界的企業で認知度は抜群です。新宿を歩いている人ならばほとんど知らない人はいないのでは。もう一段階先の新宿３店舗を活用する提案。新宿駅周辺の回遊性を高める効果もありそうです。

 

壁に貼ってあった貼り紙一枚から大企業の戦略が見えました。なるほどと。大企業と個人事業主では立場が違いすぎますが、こういうところを参考にして自分の仕事に役立てようと思います。

 

甲野　功

 

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