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~2日間連続の学生向けイベント~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 4月20日21日セミナースライドより
4月20日、21日のセミナースライドより

 

 

4月20日と21日の2日間連続で鍼灸専門学校学生向けのセミナーを開催しました。そこでは合計8名の学生さんが来院して卒業後の事を語り合いました。

 

今月学生ペア割で来院した鍼灸専門学校3年生のお二人がいました。

学生ペア割とは当院が行っているシステムです。鍼灸マッサージ養成機関の学生さん及び将来鍼灸マッサージ専門学校へ進学を希望しているひとを対象にした割引プランです。実際の現場を見学したいが一般の患者さんに施術している所を見学することがなかなか難しいもの。患者さんはお金を払って頂いているのに知らない学生さんが横で見学していたらいい気持ちはしないでしょう。学校の附属施術所であれば教育機関であるため可能かもしれませんが、一般的な鍼灸院ではとてもハードルが高いわけです。それならば患者さんとなる人を連れてきてもらえばということで、学生さんがペアになって来院してもらい体験と見学を交互に行い、その両方を体験できるように考えたのが学生ペア割です。一人の料金を通常よりもずっと安くして受けやすくしました。学生さんは解説を聞きながら希望する施術を受けて見学できます。

 

今月いらした学生さんから座学のセミナーを受けたいという依頼を受けました。普段は月1回ペースで学生向け無料セミナーを開催しているのですが、その予定に合わないというので別途日程を決めて開催しました。学生さんはクラスメイトに声を掛けて、合計8名の参加希望者が出ました。一度に8名は多いのとスケジュールが揃わないので2日間に分けて各4名ずつ参加になりました。そして20日、21日と連続でセミナーを行いました。私の方から事前に話せるテーマを挙げて学生さんの意見を求めたところ、2つのテーマを聞きたいという要望でした。そこで通常セミナー1回で取り扱うテーマを2つ、連続で話すことにしました。

 

テーマは「鍼灸専門学校の真実」と「臨床に向けた勉強方法」。どちらも過去に扱ったテーマで今回のために一部改編して資料を作成しました。参加した学生さんは3年生。今年度に国家試験を迎えます。数か月後には国家試験対策で手一杯になることでしょう。まだ余裕があるといえる時期に選んだテーマがこの2つでした。

 

まず「鍼灸専門学校の真実」について。私もそうでしたが学生時代は他の専門学校のことがよく分かりませんし、敢えて知ろうともしません。私の場合、東京在住で東京の専門学校でしたから周りにたくさんの専門学校が存在し、他校の生徒と会う機会がある方でした。それでも自分の通う学校がベースで、他を知らなければどこも同じだと錯覚してしまうもの。

また免許を取った先輩鍼灸師が「学校などどこも一緒」としたり顔で発言することがあります。それは半分正しいですが、半分は間違っているでしょう。全国に鍼灸専門学校は幾つあるか知っているのでしょうか。立地も校風も伝統も同じものは一つもありません。私の母校である学校法人呉竹学園の3校(東京校、新横浜校、大宮校)ですが雰囲気や環境が異なります。更に鍼灸師養成機関と考えれば大学、盲学校・視覚支援学校もあります。“鍼灸師になるための教育機関”と言えばどこも一緒ですが、その性質は大きく異なります。

 

参加した学生さんには全国の鍼灸師養成機関の種類や学校数、どこにどれくらい学校があるか、その存在意義などについて説明しました。予想通りの反応でしたが全国にここまで多くの学校があることに驚き、また他の学校のことを聞いて母校のことを考える機会となります。かつての私もそうでしたが通っている学校のことを深く知ろうとしないですし、他校と比較することもしません。他のところはよく分からないですから。他の学校と比較することで学生さんが今所属する専門学校のことを考えてもらいたいと私は思いました。

 

続いて「臨床に向けた勉強方法」。これは過去2回行っているテーマであり、話す度にマイナーチェンジを繰り返しています。私は鍼灸マッサージ専門学校教員免許を持っていますから教員側、専門学校側の事情もある程度把握しています。もちろん卒業に臨床に出た経験もあるわけです。その立場からどのような勉強をしたら卒業に鍼灸師として活躍できるのかを日々考えています。

残念ながら国家試験を通過して鍼灸師となっても少ない数の新鍼灸師が短い期間で業界を去っていきます。免許を持っていても鍼灸とは関係の無いことを生業にすることがあります。それは人それぞれなので構わないのですが、本当は鍼灸師として鍼灸と関わっていきたいにも関わらず廃業を選ぶ環境の人もいて、どうしたものかと考えるのです。勉強法を通してどのような学校生活を送ったらいいのかを、私の今までの経験と観察からやり方を提案し解説しました。

 

なぜ勉強しなければいけないのか。試験をする意味は。定期試験と国家試験の違いはなにか。具体的な勉強方法。このような内容を話しました。そして学生さん達に根底に持ってほしいことが、卒業後鍼灸師として何をしたいのかを考えること。国家試験に合格するというのは必要最低限のこと。その先の方が遥かに長いはず。鍼灸師としての未来を考えることで勉強の取り組みが変わると私は考えています。結局、勉強を自分事にする(他人ごとにしない)しか物事を覚えられないと思うのです。国家試験合格のために効率よく勉強したとしても、国家試験が終わった瞬間に凄いスピードで忘れていくもの。それで臨床に立ってやっていけるのかということ。

 

2日間どちらも参加者が自己紹介をする時間を取りました。まず私自身がどのような経緯で専門学校に通い今に至るのか。それに続いて参加した学生さんに自らのことを話してもらいました。

なぜ鍼灸師を目指すのか、卒業後はどうしたいのか。結局その部分が一番大切だと思います

最高学年である3年生ともなれば学校のことや業界のことが段々分かってきます。今いる専門学校はどのようなものかを把握してもらった上で来年以降どうしたいのか。卒業後のことがはっきり定まっている人もややぼんやりしている人も個々に“卒業後の未来”を語りました。そのことが勉強するための強いモチベーションになると思います。何のために勉強しているのか、勉強しないといけないのか。その問いにはっきりとして答えを持つことを私は希望しています。

 

私は私なりの理由で鍼灸マッサージ専門学校に進学しました。参加した学生さんには学生さんなりの動機で鍼灸専門学校に入りました。それを聞くと当然私にはない考えで進学しているわけで、刺激になりますし参考になりました。私が進学を考えた約20年前と、学生さんが進学を決めた約3年前は社会環境が異なります。そのような期待で鍼灸専門学校に入ろうと思ったのだと興味深く話を聞きました。そして現場に出ている人間として次の世代が私達の職業に就きたい、業界関係者になりたいと期待できるような存在にならないといけないなと内心思ったのでした。2日間で参加した8名の学生さんの将来に、このセミナーがプラスに働くことを願うばかりです。

 

甲野 功

 

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