開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
先週に日曜日に家族で国立科学博物館の特別展<「宝石」~地球がうみだすキセキ~>に行ってきました。
次女は石ころが好きで外を歩いていると気になった石をすぐに拾って持ち帰ってきます。
保育園の未就学児なら分かるのですが、小学校に進学してもそれは変わらず。保育園児のときは私のカバンに入れたり、持ち帰ってと渡してきたりしていました。小学生になっても石を拾う行動が無くならず。女の子なのに、と思っていました。しかし知り合いに娘さんが同じように石が好きで成長し、鉱物採集が趣味となり、今はその方面の専門家になっているという話を聞いたのです。石ころと考えると子どもっぽいですが鉱物と考えるとなるほど、一気にアカデミックな感じがしてきます。
それならばと鉱物や宝石の展示がないかと調べてみました。綺麗な貴重な石(高価なものだけでなく学術的に価値化があるものを含めて)を今のうちから見せておいた方がいいのかなと考えたのです。以前、長女が『鬼滅の刃』から日輪刀(作中に出てくる鬼を倒すことができる特殊な日本刀)を工作で自作した際に、本物の日本刀を見せておこうと両国の刀剣博物館に連れて行ったことがあります。次女にも同じように。するとちょうど上野恩賜公園にある国立科学博物館で特別展「宝石」が開催されているではありませんか。最近、出不精になってきた次女に、本物の宝石を見に行こうか、と誘うと快い返事。家族全員で行くことになりました。
日曜日の予定とチケット状況のため、実行に移すのが5月29日まで時間がかかりました。入場制限がかかるので事前にネット予約が必要でした。少し先の日程を選ぶことになりました。
当日はまさかの夏日。地域によっては今年初の真夏日を記録するほど。都営大江戸線上野御徒町駅から地下道を通って京成上野駅の方まで歩きました。そこから上野恩賜公園に入り、西郷隆盛像や世界文化遺産に登録された近代建築を見ながら国立科学博物館まで歩きました。午前中でもかなり暑くなっていて制限時間内に入場できてほっとしました。
会場に入ると巨大アメシストの塊が目立っていました。今の時代なのでしょう、フラッシュを焚いたり三脚を用いたりしなければ写真撮影可能でどんどんSNSに投稿してくださいと書いてあります。それならばとスマートフォンで色々と撮影しました。また『のだめカンタービレ』で有名なマンガ家二ノ宮知子先生の作品『七つ屋 志のぶの宝石匣』とコラボレーションしていて、宝石を題材にしたマンガのキャラクターや作中のイラストがパネルになっていました。
私が子どもの頃に来た上野の博物館はもっと堅い印象で“ザ・勉強をするところ”という印象だったものでした。音声ガイドのナレーターは早見沙織さん(人気声優、子ども達が観ているアニメの人気キャラクターを単相しています)でナビゲーターがカズレーザーさん(人気インテリ芸人)が担当しています。学問を学ぶ場とエンターテインメントが融合している印象です。入場者は日曜日ですから家族連れや子どもが多いのですが、圧倒的に大人の数の方が勝っています。大人が楽しむ場所という。かく言う私もとても楽しめました。
私は東京理科大学を卒業しています。そして甲野家は代々理系の家系。曾祖父も祖父も父も姉も全員理科系なのです。大学で理系学部・学科に入るのですが、その前の高校で教科として理科を勉強します。理科には主に4科目あり、物理・化学・生物・地学です。私の得意科目は物理で大学も理学部応用物理学科でした。化学や生物は薬学部や医学部に関係します。私の場合、高校では物理と化学を選択していました。この2科目は理系の王道理科科目という感じです。対して生物と地学は文系が理科を選択するときの科目というイメージがあります。それは暗記がより必要だから。物理は数学と密接な関係があり数学ができないと物理を理解するのは非常に困難です。生物と地学は比較的暗記してしまえば理解しやすいので文系の人間がとっつきやすいのです。
大学を卒業して一般企業に就職してから今の鍼灸マッサージ師の道を選びました。医療系を目指すことで否応なしに生物の勉強が必要になりました。人体のことを学ばないといけませんから。
そうなると地学だけが理科科目の中で馴染みがありません。中学で習ってから全くやってこなかった理科。宝石というか鉱物は地学分野。雲母とかケイ素とか覚えるのが面倒だったことしか記憶に残っていません。そのため展示を見るまでは子どもの引率という気持ちで個人的にあまり期待していませんでした。ミャンマーの研究をしている妻はミャンマーが世界的な宝石大国であるため、興味があったようですが。
展示品を観て解説文を読むと宝石は地学だけでなく、化学や物理、さらには生物も関係していることが分かりました。宝石ができる過程は化学変化ですし、宝石の輝きや色は屈折率が関係します。琥珀に古代の虫が混入しているのは生物学に繋がります。宝石が生まれる条件は地学の分野でありますが。なかなか奥が深いと思いました。
そして宝石の輝き。人工で作られたものではない、まさに地球の自然が生み出した魅力を感じました。地球以外の星では宝石がほとんど発見できていないそうで地球は宝石の星でもあるのだとか。有名なダイヤ、サファイア以外にも多種多様の種類がありました。色も多彩で自然にできたはずなのにこれほど色のバリエーションがあるとは驚きます。自然光(白色光)を屈折させたときの波長が色を決めるので物理畑の私は興味が出ました。更に紫外線で輝く(蛍光する)蛍石。宝石の鑑定に蛍光検査というものがあるほど。暗転して紫外線を当てると表情をガラッと変える姿に驚きます。
この企画展「宝石」の展示構成は第1章から第5章まであります。鉱物としての原石から装飾品・芸術品のジュエリーへと移行します。中には想像を絶する展示品がありました。例えば巨大宝石。普段目にする宝石は数カラットくらいまで。0.5カラットのように1カラット未満も珍しくありません。それが数百万カラットという超巨大な宝石がありました。もう巨大な塊です。ですがしっかりとカットされていて輝いています。また宝石そのものの美しさだけでなく工芸品として人工で加工したジュエリーの数々。芸術品として素晴らしいと思いました。紫陽花をモチーフにした作品を宝石で作ったらと妄想しました。
そして最後第5章は撮影不可のまさにお宝展示でした。王朝だとか王妃だとか伯爵だとかが解説文に書いてある由緒ある装飾品。ルパン三世が盗みに入りそうな品。これが本物のお宝だと思いました。若い時は何がいいのかさっぱり良さが理解できなかったのですが、この年になると歴史的な価値や加工技術を含めて、圧倒されます。箱根ガラスの森美術館で観たガラスの芸術品には感じなかった宝石のエネルギーを感じたのでした。
子ども達が楽しそうにうろうろと展示品を観ている様を目にして良かったと思いました。私も非常に楽しめました。大人になって社会科見学をした気持ちです。
甲野 功
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