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~競技ダンスの話 6大関節の機能的分類~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 6大関節の機能的分類
6大関節の機能的分類

 

 

人間の身体には通称“6大関節”と言われる機能的な関節があります。

 

それは上部から

肩関節

肘関節

手関節

股関節

膝関節

足関節

の6つです。

 

前半3つは上肢3大関節肩関節,肘関節,手関節)、後半3つは下肢3大関節股関節,膝関節,足関節)と言われることもあります。

 

6大関節は身体の動きに特に重要な関節であり、リハビリテーションや機能解剖学、整形外科領域で重要視されます。細かい日常生活で考えると指の関節も見落とせないですし、生命機能の観点でみれば首も重要でありますが、6大関節というとこの手足の大きな関節を指します。

 

競技ダンスをする上でも、これら関節の理解が重要であることは間違いありません。特に移動を伴う動作においては下肢3大関節が、表現には上肢3大関節の働きが必須です。この6大関節には大きく機能的に2種類に分けられ、交互にあります。

 

まず各関節を軽く説明します。ここからはフロアーに近い方から述べていきます。

 

足関節

足関節は足首と言われるところです。厳密に言うと脛骨(すねの骨)、腓骨(脛骨の外側にある細長い骨)、足根骨(踵付近を構成する細かい骨。複数あります)らによって構成され、具体的には主に距腿関節距骨下関節によって成ります。なお足関節というと概ね距腿関節のことをさします。距腿関節と距骨下関節の運動が組み合わせることで複雑な動きが可能となります。首とつくように回す運動ができます。

※距骨と下腿(ふくらはぎ)の骨によって構成される関節なので距腿関節。

 

膝関節

膝関節は脛骨大腿骨(太ももの骨)、膝蓋骨(膝のお皿)で構成されます。膝関節と言うと、ほぼ脛骨と大腿骨で構成される脛骨大腿関節のことですが、大腿骨と膝蓋骨による大腿膝蓋関節もあります。動きは基本的に屈曲(曲げる)と伸展(伸ばす)になります。

※厳密には回旋という動きが入りますが影響が少ないのでここでは触れません。

 

股関節

骨盤を構成する寛骨大腿骨によってできる関節です。寛骨は腸骨・坐骨・恥骨の3つの骨が癒合してできた骨。そして骨盤は寛骨、仙骨、尾骨の3つで構成されています。骨盤の大部分を占めるのが寛骨となります。股関節は大腿骨骨頭と呼ばれる大腿骨にある球状部分が、寛骨臼と呼ばれる寛骨にある丸い溝に、ソケットにはまり込むような形になっています。よく動く関節であり、社交ダンスに限らずダンス全般で動きと表現を担う重要な関節です。

※股関節の動きには、厳密にみると仙腸関節仙骨と寛骨の間の関節。寛骨の腸骨部分が関節しているのでこの名称)の影響もあると言われています。

 

これらが下肢の大関節です。

続いて上肢の大関節へ。

 

肩関節

最も可動域があり自由に動かせる関節です。その分安定性に欠けて脱臼しやすい関節でもあります。肩関節と言えば基本は肩甲骨と上腕骨で構成させる肩甲上腕関節のことを言います。しかし上肢(腕全般)を動かすには肩甲骨と肋骨で作られる胸郭による肩甲胸郭関節の動きも必須であり、肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節でコッドマンリズムという連結動作がみられます。また鎖骨も肩関節に影響するので肩甲骨と鎖骨の肩鎖関節、鎖骨と胸骨の胸鎖関節も関係します。肩関節はとても複雑なので全部ひっくるめて「肩関節」として話を進めます。

※肩関節は複雑なので別の機会に触れます。

 

肘関節

上腕骨橈骨(前腕にある2つ並ぶ骨の一つで親指側にあります)、尺骨(橈骨と共に前腕部で並ぶ骨で小指側にあります)の3つの骨で構成されます。そのため厳密にいうと腕尺関節(上腕骨と尺骨)、近位橈尺関節(橈骨と尺骨)、腕橈関節(上腕骨と橈骨)の3つの関節があります。肘関節の動きに最も関係するのが腕尺関節で曲げ伸ばし(屈曲と伸展)に関連します

※肘関節には手首を返す回内・回外という動きもしますが、競技ダンスでは手首の動きにより影響します。

 

手関節

手首と言われる関節です。橈骨と手根骨(手のひらの根本を構成する細かい複数の骨の総称)で構成される橈骨手根関節のことを言います。その形状から肩関節程ではありませんが自由に動き回すことができます。首の名称がつくように。なお尺骨は手関節の構成に直接関わりませんが橈尺関節による回内・回外動作が手首を返す動作に繋がるためより複雑な動きを可能にしています。

 

このように6大関節をざっとみてきました。

ここからが本題です。

6大関節は機能面で大きく「ムーブメントの関節」と「パワーの関節」に分けられます。そしてそれが末端から交互にあるのです

 

ムーブメントの関節は、関節可動域が広く複雑な動きができるが、筋力が相対的に弱い

パワーの関節は、関節可動域が狭く単純な屈伸運動だけだが、筋力が強い

このような特徴があります。

 

下肢の関節でみると足関節股関節が「ムーブメントの関節」で膝関節が「パワーの関節」になります。

上肢の関節でみると手関節肩関節が「ムーブメントの関節」で肘関節が「パワーの関節」になります。

 

足関節は足首というくらいで首のように回ります。準備運動で足首を回すはずです。複雑な動きができます。

膝関節は(回旋動作が若干入るが)ほぼ屈伸だけ1軸性の動き。その代わり大腿四頭筋という強力な筋肉が作用して最も力が出る関節です。

股関節は屈曲・伸展、外転・内転、内旋・外旋という複雑な動きができます。かなり筋力がありますが膝関節ほどの力はありません。

 

手関節も手首というくらいでよく動きます。床に手をついて踊ることがほとんどない競技ダンスではあまりその機能性は目立ちませんが、ブレイキンなどの腕を床につけて踊る場合にはその機能性が際立ちます。

肘関節は概ね屈曲・伸展のみ。腕立て伏せを可能とする関節で手関節に比べると強い力があります。

肩関節は人体最大の可動域を誇る関節で上肢(腕)を自由自在に操りラテン種目では表現を担う重要な関節です。

 

このように「ムーブメントの関節」→「パワーの関節」→「ムーブメントの関節」と並んでいます。このことは競技ダンスの表現・テクニックに大きく関係します。

 

下肢の関節でいうとフロアーに接している足関節と、上体と脚を連結する股関節が、ムーブメントに関わります。つまり動きで意識するのはまず足関節と股関節ということになります。反対に膝関節の動作は単純でムーブメントに強く影響しません。推進力に関り、“足が強い”とか“パワーがある”といった表現には関与しますが、精微な動きを担うのは足関節と股関節です。競技ダンス初心者は力の出る膝関節に頼りがちになるため、スタンダード種目では動きが上下のぴょこぴょこしがちです。また「足を使って動きましょう」という言葉が膝を使うことに注目してしまうということになります。

 

上肢の関節でいうとラテン種目のフリーアームに関係します。例えばニューヨークをするときに初心者は肘関節を使いすぎて腕を振り回しているように見えてしまいます。これもパワーが出る肘関節に無意識に頼っていると推測できます。コネクションアームに関してはもっと大事で初心者リーダーのルンバ、チャチャチャにおいて手首が固まっている、肩関節が使えていない、肘関節でリードをしようとする、といった使い方でコネクションが非常にぎこちなくパートナーが振り回されることがありがちです。

 

どちらも言えることですが「ムーブメントの関節」で動きを作って、それらに挟まれた「パワーの関節」を効率よく使っていくことが初心者には大切だと思います。動きが単純でかつ力を出せてしまう「パワーの関節」(膝関節と肘関節)をどうコントロールできるのか。特にスタンダード種目では膝関節、ラテン種目では肘関節が重要です。見方を変えると「パワーの関節」に十分に働いてもらえるように「ムーブメントの関節」を効果的に使えるかどうか。「ムーブメントの関節」は可動域が広いのと筋力が(相対的に)弱いので力が入れづらく、動かすのが難しい。その身体の特徴を頭に入れておくとよいのではないでしょうか。

 

私は来院した競技ダンス選手には、スタンダード種目は特に足関節を、ラテン種目では特に肩関節を、よく観察し効率よく動かせるように努力します。それは可動域をあげることやメカニズムを伝えること。スタンダードではフロアーという最も強く安定したものを使って動くために最も近くにある大関節として。ラテンでは人体最大可動域を誇る大関節をどう活用するか。そのような目論見があります。

 

言われてみれば当たり前のことなのですが、大関節の機能的な分類と並びを知ることで基本的な動きが変わると思います。これに脊柱、首、指らの細かい動きが入るとより複雑に高度になっていきます。

 

甲野 功

 

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