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~地域散策 神楽坂路地裏~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 神楽坂の路地裏
神楽坂の路地裏

 

 

神楽坂を観光するとなると押さえておきたい名所というか定番があるかと思います。有名なお店、由緒ある史跡、名物のお土産、ドラマの撮影地。幾つも思い浮かべることができますが、他の観光地にないものとしては路地裏があるのではないでしょうか。小さな路地が残るエリアはたくさんあるのですが、東京都新宿区という23区でも中心に位置する場所に区画整理や再開発がされず複雑な路地が残っていることは珍しいと思います

 

こういうところが新宿区の多様性を感じさせて、東京都行政の中心である都庁も、世界一の乗降者数を誇る新宿駅も、韓国他エスニックな街である大久保・新大久保も、ミャンマー人が非常に多い高田馬場も、染め物で有名な落合も、全て新宿区です。そこにはかつて花街として知られフランス人をはじめとした外国人が多く住み、ミシュランガイドに掲載させるグルメタウンである神楽坂も入ります。

 

大学も複数あり、早稲田の早稲田大学四ツ谷の上智大学神楽坂(飯田橋)の東京理科大学若松河田の東京女子医科大学信濃町の慶応大学医学部新宿の東京医科大学と、主だった大学だけでもこれだけあります。大学の周囲はそこの大学生によって街の特徴が出ています。早稲田から高田馬場にかけては早稲田大学生によって商店街が支えられてきました。上智大学の鐘は四ツ谷周辺に響き渡り教会の雰囲気を醸し出します。神楽坂~飯田橋の範囲は東京理科大学のお膝元として施設も含めて影響力があります。医学部と大学病院は最先端医療の拠点として重要施設になります。

 

その新宿区を代表するエリアが神楽坂。新宿、歌舞伎町、新大久保、高田馬場、早稲田、四ツ谷と同じ区にあるのが面白いと感じます。神楽坂は特にそのロケーションを昔から変えずに残しているからこそ、古都の佇まいと時代の先をいくトレンドが同居するのではないでしょうか。神楽坂の狭い路地はかつての住宅街の影響。土地を買い占めて大きな建物を建てることなく済んできた結果です。路地裏を歩くことが一つのアトラクションで体験になります。石畳が敷かれて黒い塀に囲まれた狭い道は歩いて楽しめて、かつ画になるので写真撮影にもってこいです。

 

花街の歴史がそうするのか、京都の祇園に雰囲気が似ていると言われます。京都も今でも細い路地が点在していて「通り抜けできません」という案内が掲げられています。あれだけの大都市なのに複雑な分かりにくい路地裏があるところが訪れた人を困惑させます。神楽坂も複雑で入り組んだ路地裏があるのです。

 

この神楽坂の路地裏。ずっと近隣に住む私も20代後半になるまでよく分かっていませんでした。なぜなら一般の人が足を踏み入れるエリアではなかったからです。目抜き通りにあたる神楽坂通りは分かりやすい店構えばかり。急な坂の両脇には路面店が並びます。ところが路地裏に入ると看板が出ていない一見さんお断りのお店ばかり。かつては紹介されて行くところという印象でした。

 

地元が近いだけでなく、東京理科大学神楽坂校舎に通っていたので大学4年間はまさに常にあの近辺に居ました。しかし路地裏を歩くようなことはありませんでしたし、何があるのかも知りません。行く理由がなく。どういう所なのか近すぎて気にも留めないというところでした。またかつての花街は衰退して今では考えられないくらい活気が無く、神楽坂の表通りは結構汚い街並みになっていたのでした。

 

状況が一変したのが嵐二宮和也氏主演のテレビドラマが放送されてからです。脚本の倉本聰氏が神楽坂に思い入れがあり、そこを舞台にしたシナリオを作ります。そして意図的に神楽坂を魅力あるように撮影しました。ドラマは人気となり、何より二宮和也氏のファンが多数“聖地巡礼”としてドラマ撮影地を訪れるようになります。このドラマでは有名な所だけでなく、外部の人はあまり知らない、気付かないスポットも撮影場所に選んでいます。ファンは地図やアプリを片手に神楽坂の路地裏も練り歩き写真撮影に興じるようになったのです。私も知人がドラマのファンで神楽坂の撮影地を巡りたいと言われて案内したことが路地裏を歩くきっかけでした。20代も後半になった頃。それで初めてこのような場所が神楽坂にあるのだと知ったのでした。

 

路地裏は本当に細かく入り組んでいます。どのような感じかは東京noteの神楽坂・路地横丁マップをご覧ください。

 

東京note 人と街をつなぐ場所。 神楽坂・路地横丁マップ

 

なお路地裏として有名なのは大久保通りを挟んで飯田橋駅よりの神楽坂下にあるところです。大久保通りの先、東西線神楽坂駅方面の神楽坂上の方にも細かい道がありますが、地元住民が暮らしてきたエリアであるので神楽坂下ほどの雰囲気はありません。白銀公園の周囲は新しいレストランやエキゾチックな小物店が並ぶエリアもありますが、今回は神楽坂下の路地裏についてです。

 

神楽坂通りの南西側。こちらには見番横丁小倉横丁があり芸者小道が繋いでいます。こちら側に東京理科大学の本校舎があるので昔から馴染みがあります。毘沙門天こと善國寺があり、その裏側に道があります。宮城道雄記念館から裏道を通って神楽坂通りに出ることができます。この路地に入ったところに旧アグネスホテルがあり、その先にアンスティチュ・フランセ東京(旧東京日仏学院)があり路地裏にも重要な施設があるのです。私が神楽坂でも一押しの別邸鳥茶屋もこの狭い路地裏にあります。

 

そして神楽坂通りの北東側。こちらがとても人気のある路地裏です。石畳が敷かれたより細くて複雑な路地が入り組んでいます。簡単には説明できない感じで今でも歩いていると正確な場所が分からなくなるところです。神楽坂通りと平行に軽子坂があります。その2つの通りを直角に神楽坂小路神楽坂仲通り本多横丁が繋いでいます。この近辺に数多くの飲食店がひしめき合っています。路地裏散策をしながら飲み歩き、食べ歩きをするにはもってこいの場所です。

 

美味しいものを食べるにはとてもいい場所である神楽坂。そのお店にたどり着くために細い路地を歩いてちょっと苦労する。そういう体験ができるのが神楽坂の路地裏です。興味があったら歩いてみてください。

 

甲野 功

 

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