開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
今月、長女の組紐体験について行きました。場所は神楽坂にある石畳みの路地裏。目抜き通りから奥に入ったところにひっそります。
老舗組紐メーカーの『道明』(DOMYO)のギャラリーでした。ここでは道明の作品を展示されています。なお上野、不忍池のそばに本店があります。
神楽坂は飯田橋駅から坂を登っていき、大久保通りの手前までを“神楽坂下”、大久保通りの先、東西線神楽坂駅側を“神楽坂上”といいます。神楽坂下は観光地としての雰囲気が強く、神楽坂上は地元の商店街という感じがあります。多くの観光客は多数の路線が通っている飯田橋駅から来るので神楽坂下の方を先に歩きます。目抜き通りである神楽坂通り。結構急な坂を登っていきます。坂を登り切ったところ付近にあるのが毘沙門天こと善國寺。神楽坂のランドマークといえる歴史ある建物です。その毘沙門天を背にして扇状に敷かれた石畳みの路地を進んでいくととても有名なフレンチレストラン、ル・ブルターニュが左手に見えます。そば粉のクレープ、ガレットが名物です。ル・ブルターニュを過ぎると突き当りに東京理科大学森戸記念館があります。私は東京理科大学を卒業していますが一度も入ったことがない施設です。森戸記念館で左に曲がるとすぐに右に細い路地が現れます。建物が入り組んだいかにも神楽坂らしい裏路地です。そこを進み階段がある少し手前に道明のギャラリーがあります。
私の記憶では少し前まで別の店舗だったと記憶しています。いつの間にかこのようなギャラリーができていたのでしょう。白い扉には装飾が施されています。
道明の歴史はとても古く創業は慶安5年・承応元年(1652年)。糸商から始まりました。武士が扱う刀の備品として組紐の需要があり、それを製作していたのは糸商が抱える職人たちだったといいます。組紐技術は武士により発展します。明治維新が成り明治の世になると廃刀令によって武士の時代が終わりを告げます。刀の備品としての組紐の需要が無くなります。そのため組紐は着物の帯締へと変わっていき、明治の終わりから大正にかけて組紐の代名詞が着物の帯締に移行しました。近代に入ると組紐の歴史的研究と学術的研究を進めます。現在は伝統工芸としての組紐を着物の帯締、羽織の紐、ネクタイ、アクセサリーなど洋の東西を問わない製品展開をしています。
ギャラリーは大きくありませんが道明が生み出した製品の数々と組紐の歴史を紹介する展示があります。
組紐自体の歴史は道明よりも遥かに古く飛鳥・奈良時代にまでさかのぼります。中国大陸から伝来し、各種組紐が正倉院や法隆寺に残っています。平安時代には多彩な表現が追求され、鎌倉時代には様々な新しい組紐が創造されます。戦国時代に一時期衰退するも江戸時代に再び盛んになります。そして明治以降は組紐の主流が着物帯締になる。
妻が着物を着るので帯締は知っていました。ギャラリーでこれを組紐というのかと知りましたが。組紐という伝統工芸が装飾面だけでなく機能的にも優れていることを学びます。長女が体験で制作した組紐を触るとその意味がよく分かりました。ゴムのようにある程度伸縮性がありながら、形状記憶合金のように曲げた形状を維持する。
展示品をみるとネックレスやネクタイといった洋装にも対応した製品があります。特にブレスレットは20代のときに別のブランドですが組紐のブレスレットを持っていました。当時はそれが組紐だと理解していなくて、和風でお洒落だなと思い買ったものでした。
(※私は装飾品を着けない人間なのですが、手首に巻くものは例外で数珠や腕時計には若干のこだわりがあります。そのため組紐のブレスレットは非常に食指をそそられます。)
道明の製品は手染めの絹糸を用いて、手で組んでいきます。そのため価格が跳ね上がり、着物愛好家には『道明の帯締は高い』という共通認識があるそうです。ただ手作業だからこその品質もあるわけで、機械で作るよりも細かい作業で精密な造りになります。それは長女の組紐体験を見学しながら学びました。私もある意味職人であり、マッサージ器では出せない技術があると思っています。また幼少期から複数のパーツを組んで作品を作り上げるユニット折紙をしてきました。職人技の製品に共感と敬意を抱きます。鑑賞するに値します。
神楽坂にこのようなギャラリーがあったことに驚きました。関係者に聞くと仮の場所で、現在同じ神楽坂に建物を建築中であり、そこが完成したら移転するとのこと。移転したらもっと大きくなるのでしょうか。長女がテレビをみて興味が出た組紐。組紐体験の付き添いで、知らなかった場所を知りました。いつか長女と上野の本店にも行ってみたいと思います。歴史ある神楽坂で、数百年に渡り継承されてきた伝統工芸に触れることができました。
甲野 功
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