開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
私が小学校高の頃、「生活」という教科はありませんでした。現在は小学校2年生までは理科・社会がなくかわりに「生活」になっています。平成4年度(1992年度)から施行されました。そのため今の次女には社会科見学というものはなく、生活科見学という名称になります。
先月は長女と京都に行き、家庭版社会科見学をしました。今月は次女と家庭版生活科見学をしようと考えて一泊二日の箱根旅行に行きました。主に理科と社会。それを含めて普段とは違う学びの場を作ろうとしたのです。各項目を述べてみたいと思います。
・鉱物をみる
入生田駅の神奈川県立生命の星・地球博物館。ここでは石、宝石、化石といった鉱物全般を見学しました。
保育園の頃から石に興味があって拾って帰ることが多かった次女。最近は宝石店に連れて行くことが多くなりましたが、最初は石からです。何の変哲もない石ころに見えても様々な種類(成分)があります。地質学に分類されるのでしょうか、これほど多くの鉱物が展示されている施設を私は今まで見たことがありませんでした。宝石も展示してありましたが次女は石、岩壁に特に興味を示しました。まだ構成する物質についてよく分からないでしょうが本物を眺めていました。
そして化石。化石はどちらかというと私の方が好きなジャンル。ポピュラーなアンモナイトをはじめ、多様な化石が展示しています。生物が石になる。次女はそこのところがよく分かっていなかったようですが、化石というものがどのようなものかを目のあたりにしました。
・各種生物をみる
同じく「生命の星・地球博物館」では恐竜の化石、大型哺乳類のはく製、昆虫の標本など古代から現在までの生物が展示しています。巨大な恐竜の骨が宙に釣られている様は大人が見ても壮観です。色鮮やかな昆虫の標本は生命の神秘を感じます。また高さ70mまで育つという巨木の一部が展示されており、その大きさに驚くばかりです。動物、植物、昆虫、魚類と普段東京都新宿区に住む子どもには馴染みのないものを見ることができました。
箱根ガラスの森美術館では池に鴨がいました。これまで次女は何度かこの施設を訪れていますが季節は春と夏。冬に近い秋に来たのは初めて。夜が更けて寒くなり、丸くなって止まっている鴨を写真におさめます。次女は夜の生物をみる機会がこれまで無かったと私は気が付きました。
・紅葉を見る
紅葉。自然が魅せる景色。私や姉の影響で風景写真を撮影するようになった次女。綺麗な紅葉を見たいと言い出したのがこの旅の発端でした。東京の紅葉はまだ時期が早い。箱根の山が綺麗だろうと考えました。特に過去に二度写真撮影に訪れた箱根ガラスの森美術館の紅葉を見たいという希望。雨が降る中、箱根ガラスの森美術館に着くと遠くの箱根の山々はそこまで色がついておりませんでしたが、庭園内は真っ赤な紅葉が見ることができました。
箱根で紅葉と言えば強羅の箱根美術館。紅葉を見せるならこちらの方がいいだろうと私がスケジュールに入れました。朝一番の開園と同時に園内に入ると、運よく傘をささなくてもいいくらいの小雨・曇りになり、素晴らしい景色が広がりました。元々苔の美しい庭園で緑の地面が映えます。そこに色鮮やかな真っ赤な紅葉。ちょっとでき過ぎだと感じるくらいの景色です。ちょうど雨が降ったせいで、葉が落ち、水滴をまとう。人の手で整えた日本庭園ですが自然と織り成す素晴らしい風景を見ることができました。
・食を楽しむ
食事。単に人体を作る、維持するために栄養素を摂取するためのものではなく、その土地のものやこだわりの技術、なにより味を楽しむもの。箱根ガラスの森美術館では砂糖を使用せずメイプルシロップで味付けしたジャムをお土産に。レストランで自然由来の卵のプリンやケーキを食べる。小田原駅前のミナカ小田原では魚のすり身を揚げた料理を食べました。泊まった宿は料理がつかない素泊まりだったので夕食、朝食はコンビニ飯。気になるレストランはどこも予約でいっぱいか開いておらず。箱根・小田原らしい食事はあまりできなかったのですが、スイーツや食べ歩き、お土産でその土地らしい食べ物を楽しめました。私の経験上、幼少期の味は大人になっても記憶に残っているもの。旅の楽しさとセットで残ってくれると嬉しいです。
・旅館体験をする
昔体験。昔の遊びを体験するという授業がよくあります。その、ちょっと昔のものを持ってきて触ってみましょう、くらいのことではなく、本当に昔からある施設を体験する。図らずも今回泊まった旅館でそれができました。箱根宮ノ下にある月廼屋旅館。もう絵に描いたような古い旅館でした。無駄に民芸品が館内に飾っています。一部床が凹んでいます。高齢なご家族が営み、いい意味でとてもお節介。部屋は和室で広く、掛け軸や壺が飾られています。テレビやエアコン、WiFiは整備されていますが今でもほとんど見ることができない純和室。お風呂は全て家族風呂の温泉。次女と入ったお風呂は岩風呂で外と一部繋がっています。追加料金や時間指定もありません。建物の作りは建て増しを繰り返したかのような複雑な導線。迷いそうでした。建築基準法改訂前の建築物なのでしょう、階段がとても急です。
昭和50年代生まれの私が懐かしいと思うような宿。この令和時代に残っている貴重な場所だと思いました。その宿に次女が泊まることができたのは親として良かったです。チェックアウトのときにおかみさんが次女をずっと見送っていました。仕事としてではなく本当に子供が好きなのだろうなと感じました。
・初めての土地を歩きまわる
子どもは親に付いて行くだけ。普段の次女はほとんど保護者についていくだけです。これが旅になると私も行ったことが無いところがあるので右往左往することがあります。箱根はかなり知っているエリアなので子どもを連れて行くのですが、それでも初めていく場所がありました。生命の星・地球博物館は行ったことが無かったので駅からの案内で進みます。駅前の大きな施設だったので見つけるのは簡単ですが、コロナ対策のため入り口が通常と違うので少し迷いました。そこを後にしてバス亭に向かうもグーグルマップで指定された場所にはバス停がありません。雨が降る中うろうろ歩き回り、見つからないので入生田駅に戻ろうとしたらバス停が見つかるという有様。月廼屋旅館も日が暮れて暗い中、都心部ではこれだけ町中が暗くなることはありません、坂を上って入り組んだ道を進んで探しました。
次女にとって普段よりも遥かに歩き回る時間が多かったと思います。電車、バスを乗り継ぎます。私が子どもの頃そうだったように(親も)見知らぬ土地を歩きまわるというのは適度な緊張があったと思います。夕食を買いにコンビニエンスストアに行き、月廼屋旅館に帰ろうとしたら道を間違えました。そのときにすぐに指摘したのが次女。よく道をみていました。夜道で暗いのに。子どもながら気を張っていたのでしょう。そのような一面を垣間見たのは初めてでした。
・水平線を見る
行きたかった新しい施設、ミナカ小田原。14階の足湯が無料で入れるといいます。14階まで上がると箱根では雨だったのが見事な晴天。海が見えて水平線が見えました。水平線を眺めると微妙に曲がっていて地球が丸いことを実感させてくれます。次女はそれを見ることができました。去年江ノ島で海岸を見ましたがここまで広い範囲を見ません。ビル14階という高さがより長い水平線を見せてくれました。晴天だったので海と空の境界線が曖昧なところ。海の向こうに半島が見える。そういった体験もできました。自然、それも地球を感じさせるほどのもの、を東京都新宿区で感じることはほとんどできないこと。遠くまで移動しないとできません。
・景気を感じる
新型コロナウィルス流行前から箱根に連れてきた次女。最初に行ったのは生後100日のお食い初めのときです。それからよく行くので私が教えなくとも人出は感じていると思います。2019年の大勢の観光客(外国人を含む)であふれかえっていた箱根も、2020年の閑散とした箱根も、見ています。今回の旅で箱根湯本駅前の商店街は観光客であふれて歩くのが困難なほど。活気が戻ってきていることが分かったと思います。
反面、強羅公園から強羅駅に向かう途中に立て壊されているお店がありました。他にも閉店しましたという貼り紙が張られた店舗がいくつか。生き残れたところとそうでないところがあります。それを自営業の私はさりげなく次女に話をします。将来次女がどのような進路を選ぶのかは分かりませんが、最低限の経営者目線や経済を感じる姿勢を持ってもらいたいなと思います。
次女にとっては単なる箱根旅行だったと思います。私がそうだったように親が行くよといって連れていったもの。こちらがどのような想いをこめたのかは知る由もないことでしょう。ただこういう経験が後々役に立つことも私は経験上知っているので、それでいいと考えます。今しか見られない、今しか感じられない、ことを体験してほしかった。私がやってみた家庭版生活科見学でした。
甲野 功
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