開院時間
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住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
銭洗弁天というと鎌倉を想起する人が多いと思います。とても有名で修学旅行や課外学習で学生がたくさん訪れる鎌倉でも有名な場所です。ただ銭洗弁天は鎌倉だけというわけではなく、他の地域にも存在します。その他の銭洗弁天でも結構有名なのが箱根の深沢銭洗弁天でしょう。
箱根は非常に有名な観光地。都心部から近く、テレビ番組で旅番組のロケをするにはもってこいの場所。東京にあるテレビ局もロケをするのが楽でしょう。そのため箱根は本当にありとあらゆる場所が紹介されてきました。一時期加熱した開運、パワースポット巡りでは箱根神社、九頭龍神社が必ず登場して、段々ネタが無くなってくるとこの深沢銭洗弁天や阿弥陀寺が紹介されてきたものでした。阿弥陀寺は箱根登山電車「塔ノ沢」駅から険しい山道を登らないといけない山のお寺。紫陽花が綺麗で有名です。今回紹介する深沢銭洗弁天は同じ塔ノ沢駅にあるのですが、なんと駅のホーム直結なのです。紹介するタレントさんも大変助かります。
箱根湯本駅から本格的な登山電車に乗り換えると次の駅が塔ノ沢です。小田原から先、箱根湯本方面が箱根登山電車となり、小田急電鉄とは別の会社になります。しかし平地を走りますから何となく小田原・箱根湯本間の電車も小田急電鉄のような気持ちになります。それは特急ロマンスカーだと箱根湯本駅まで直通であることも関係するでしょう。箱根湯本駅から強羅駅に向かって本格的な山を登るための車両になります。そうなってから2つ目の駅が塔ノ沢駅なのです。
箱根湯本駅以降の箱根登山電車は完全な単線です。上り下りの電車が幾つかあるポイントですれ違って往来しています。箱根湯本から始まって最初のすれ違うのが塔ノ沢駅です。そのため下りの電車は塔ノ沢駅で少し停車し、上り電車が箱根湯本駅から来るのを待つのです。その下り電車が塔ノ沢駅にいると目に入るのが深沢銭洗弁天なのです。
塔ノ沢駅ホームで下り側に深沢銭洗弁天があります。本当にホームと直結しています。改札を通る必要がありません。参拝したかったら下りの箱根登山電車で、塔ノ沢駅で降りて1本か2本遅らせればいけます。小さな神社ですから思いっきり急げば上り電車を待っている間に小銭を洗うことも不可能ではないでしょう。それくらいホーム目の前にあるのです。
神社は数百年、場所によっては千年以上前からあるものがあります。しかしこの深沢銭洗弁天の歴史は非常に新しく、大正15年(1926年)に始まりました。箱根登山電車が開業したのが大正8年(1919年)ですから本当に箱根登山電車と同時期にその歴史が始まったようなもの。そしてそのきっかけも興味深く、現在ではネット証券取引大手である松井証券(旧松井房吉商店)の創始者松井房吉氏が石造りの小さな社を寄進したのが始まりとされています。松井房吉氏は塔ノ沢温泉に宿泊していたときに夢枕に白蛇が現れたというのです。それを吉報のお告げだと考えたのだとか。神社に関する伝承においては非常に近代で、それも経済人に白蛇が夢枕に現れるというストーリー。松井房吉氏は大正9年に起きた東京株式市場の株価大暴落の際にただ一人大儲けをし、巨万の富を得たといいます。そして証券会社を設立し大成功を納めたとか。毎週土曜に塔ノ沢温泉の老舗旅館で派手に遊んでいたそうです。非常に現実的なお話だなあと私は思います。
神秘的な方としては白蛇。白蛇は水神、すなわち弁財天の使いとされています。ご祭神は瀬織津姫之大神(せおりつひめのおおかみ)。白蛇の化身ともいわれ、水神や祓神・瀧神・川神であり水を治める神様、祓い浄めの女神です。深沢銭洗弁天は山から流れている川のそばにあり、まさにご祭神に合っていると納得のロケーションにあります。境内の「弁天癒水」と呼ばれる水でお金を洗うとそれが何倍にも増えるとされています。この伝承は鎌倉の銭洗弁天と同じで、金運向上のご利益が知られています。そもそも創建に関係する松井氏が大成功を納めているため経済界や商売に携わる人々の信仰を集めるわけです。
このように歴史は浅く、俗っぽいエピソードを持ちますが、山の斜面に社が並びなかなか味わい深い光景が広がっています。本宮から奥宮まであります。大自然に溶け込んでいて、外界と隔絶した聖域という雰囲気が多い神社と違います。すぐそばに電車のホームがあるにも関わらず、非常に自然豊か。お金を洗うという“イベント”がなくても興味を引く神社です。知名度は箱根神社や九頭龍神社に比べると低いのですが、箱根湯本からすぐ、駅のホーム直結というとてもアクセスしやすい立地なので、帰りにちょっと立ち寄るのにいいところです。
甲野 功
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