～神宮外苑いちょう並木～

もうピークは過ぎてしまいましたが、秋から冬にかけて神宮外苑のいちょう並木が素晴らしいです。都内でも屈指の名所ではないでしょうか。

比較的暖かい東京都内では紅葉のピークは１１月よりも１２月のはじめになります。そして冬は空気が綺麗で晴れが多い。そのため黄色と青空の対比が美しく映えます。神宮外苑は東京オリンピックに向けて建て直された国立競技場、神宮の名前を冠する明治神宮球場、神宮第二球場、ラグビーの聖地である秩父宮ラグビー場、明治神宮軟式球場、大銀杏野球場、ケヤキ野球場、明治神宮外苑テニスコート、信濃町フットサルコートとスポーツ施設が固まっています。そして象徴的な建物として聖徳記念絵画館。新宿区と渋谷区と港区の境で大都会でありながら高い建物が少なく空が広いのです。だからこそ高い銀杏（いちょう）に青空に向かって伸びている様が美しいのです。

私は高校が國學院高校でした。つまり外苑。神宮球場の目の前です。そのため部活や体育の授業、更には美術の授業における写生でもいちょう並木を利用しました。とても懐かしい馴染みのある場所なのです。高校時代の部活動は山岳部。普段の練習で山登りをすることは渋谷区の高校ではできません。そこで行うのは地上での練習。練習と言っても走ったり歩いたり球技をしたり。経験則ですが山登りの体力は山道でなければ培われないと思います。ですから普段は楽しく遊んでいる感じでした。聖徳記念絵画館の周りを走っていると神宮球場が本拠地のプロ野球東京ヤクルトスワローズの選手が同じく走っていたことも。野球に疎い私でも現役時代の古田敦也選手は知っていました。そしていちょう並木。その景色から多くのドラマ撮影に使われていました。放課後にいちょう並木をうろうろしているとテレビカメラを構えている人達を目にしたものでした。

このようにあまりに近くて意識していませんでしたが、紅葉の時期は非常に美しい姿を見せます。昨年に長女と一緒に写真撮影に出かけてたくさん写真におさめました。長さが約３００ｍ、１６ｍの車道を挟んで樹木帯３．６ｍ幅、歩道４.５ｍ幅。４列約９ｍ間隔で１４６本のいちょうが植えられています。奥に聖徳記念絵画館、それを挟むように黄色いいちょうが並びます。遠近法を意識して、木の高さと道路の勾配を計算して植えられているとか。大正１２年に植栽された歴史のあるいちょう並木です。その外観はヨーロッパを感じさせるもの。日本ぽくないのです。

ここ３年は新型コロナウィルス感染拡大のため開催されていませんが、例年１１月中旬～１２月上旬に『神宮外苑 いちょう祭り』が開催されます。都心部で自然によって秋を感じさせる名所です。どうしてもイルミネーションやクリスマス商戦など、商業的な側面で季節を感じることが多い都心部において貴重な場所です。そして高校時代の青春を思い出させてくれます。

甲野　功

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