～元進学相談者とのランチ～

あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師の方と神楽坂でランチをしました。その方は５年前からの知り合いです。

今から５年前にFacebookの投稿がきっかけで進路相談を受けました。今後国家資格を取得したいと考えているがどの資格が良いのか、という段階から。そこから将来やりたい事をヒアリングした上で対象となる資格の現状をお伝えします。相談者が候補に挙げていた柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師のどれも私は取得しているので。その意見を踏まえて、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師を３年間で取ることができる鍼灸マッサージ科（通称、本科）に進学することを決めます。次に進学先の専門学校をどこにするかという段階に。通学圏内に本科のある学校はある程度絞られるので、各学校を紹介しました。そこから相談者は情報収集、見学を重ねて専門学校に入学しました。

入学まで色々とやり取りを重ねてきたので、責任のような感情が芽生えてきた私。入学してからのことも気になって、その方に向けて勉強会を個別に開くようになりました。元々勉強熱心なので学科や実技に不安はありませんでした。どちらかというと卒業してから当たる壁について。法律、現在の業界状況、これからの展望。どういうところで躓くかを伝えておきたい。そういう気持ちでした。回を重ねるごとに相談者の同級生が固定メンバーになります。これが現在当院で行っている「アジサイ塾」という取り組みの原型です。気付けばここ最近は毎月開催していますが、始まりはこの相談者から。

そしてこの件の前から、何件かありましたが鍼灸専門学校、あん摩マッサージ指圧師専門学校に進学を考えているという社会人から相談を受けるようになりました。今年はあん摩マッサージ指圧師専門学校進学相談に乗った方が免許を取得し開業したというのでそこへ訪れました。実際に進学した人、進学しなかった人、色々とありますがプレ学生を含めて学生を応援する取り組みの原初となった人が今回ランチをご一緒した方です。

あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師の免許を取得して２年目。近況報告を含めて業界の相談も受けました。相談内容はもちろん５年前とは大きく変わっています。あのときはこの業界にまだ足も踏み入れていない社会人でしたが、今は同じ立場。入学前のスキルと国家資格と現在の仕事と、多くの武器を整えて新たなステージに向かう準備をしています。その姿をみると時間が流れた事と成長を実感します。業界の先輩としてはランチ代を払うのが慣例なのですが、お相手からこちらが払いますという声があがり素直に従いました。もういっちょ前のプロになったのだからお言葉に甘えようと。

私は鍼灸マッサージ専門学校の教員免許を取りましたが、専門学校の専任教員も非常勤講師もなりませんでした。チャンスが無かったのです。今は単発で授業を受け持つことがありますが、毎週授業をするという経験はありません。母親が教員だったこともあり、子どもの頃から教師という職には憧れがあり、かつ身近な存在であるのです。開業を選びましたが、だからこそ、個人的なやり取りで後に続く人に関われることにやりがいを感じるのです。目の前で会話している人の５年間の成長は、すなわち私の５年間の成長と軌跡でもあります。現東京医療専門学校齊藤秀樹校長は教員養成科の卒業研究発表会において「本校の教員養成科を卒業した諸君は例え学校で教員をしていなくとも、指導者としての自覚を持ってもらいたい」という話をしていました。その言葉を胸に日々の臨床とともに学生支援をしています。

自分自身にとっての５年間が形になったと思えた神楽坂のランチでした。

甲野　功

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