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昨年10月に発覚した柔道整復師国家試験問題が漏洩した事件。その初公判が1月12日東京地方裁判所で開かれました。判決は2月1日に出るということで決着に向かっています。報道から見てくることを書いていきます。
<TBS NEWS DIG 柔道整復師の国家試験問題漏洩事件 財団元理事ら起訴内容認める 2023年1月12日(木) 11:49>
この公判は厚生労働省が管轄する国家資格免許である「柔道整復師」の国家試験を行う公益財団法人「柔道整復研修試験財団」の元理事・三橋裕之被告(65)と国家試験を製作する試験委員だった黒田剛生被告(62)が試験問題の情報を事前に専門学校に漏らしていたとされる事件です。被告2名は起訴内容を「間違いありません」と認めました。漏洩ルートとしては黒田被告が国家試験に関する会議において無断録音を行い国家試験の情報を入手。それを三橋容疑者に伝えました。三橋容疑者は国家試験に類似した問題を作成し講師を務めていた線も眼学校に送ったとされています。
これまでの報道で詳しい漏洩ルートがはっきりしています。この報道で非常にきになったことが
『検察側は冒頭陳述で、「黒田被告が数年前から国家試験に関する会議の録音データを自身が講師を務める専門学校に渡していた」と指摘しました。』
という点です。
黒田被告は数年前から盗聴した録音データを自身が講師を務める専門学校に渡していた。検察側の陳述が本当だとすると(※正確な起訴内容がこの報道では出ていないので確定はできません)、昨年一度だけに限らず過去何年も続けていたことになります。そしてデータを渡された専門学校はそれを知っていたことになります。当然、専門学校側は黒田被告から得られたものが国家試験の情報だと認識していたはずです。柔道整復師専門学校が国家試験対策のプロ。直ぐに分かるでしょう。それを知りながら何年もそのままにしていたということになります。それを学生に教えて国家試験対策に利用していたかは定かではありませんが何かしらの活用はしていたと思われます。そうでなければ専門学校に情報を教える意味が見出せません。既に黒田被告が講師を務めていた専門学校は分かっていますが、ここ数年の国家試験合格率は非常に高いです。昨年行われた第30回だけではなく。学校側の関与は明らかにされないのでしょうか。
国家試験問題を漏洩させた行為はあってはならないものですが(もちろん違法行為であり、だから起訴されたわけです)、情報を渡された専門学校側は数年前から知った上で止めることをしなかったと考えられるわけです。繰り返しになりますが3年間の勉強を経て必死の思いで柔道整復師国家試験を通過した私にはやはり納得がいきません。母校の教員も真剣に生徒と向き合い、ギリギリまで試験対策の補講をしてくれました。10年以上前のことですが、その時の記憶は消えません。だからこそここ数年の黒田被告が講師を務めた専門学校の合格率は簡単に達成できる数字ではないことを理解しており、おかしいだろうという気持ちです。
こちらの報道では被告の動機について触れられています。
<TBS NEWS DIG 柔道整復師国家試験 試験問題漏洩事件 初公判 “漏洩問題”を独自入手 36問全てが本試験と類似 2023年1月12日(木) 16:59>
三橋被告は『自分が講師を務めていた専門学校の合格率が悪かったので、学校のためだった』としています。何か専門学校のせいにしているように感じます。この文章をそのまま受け取れば講師を務める仙台の専門学校に忖度して国家試験の情報を渡したととれます。専門学校側から要請を受けて情報を流したのかは分かりません。しかし専門学校のためだというのであれば、講師を務めた専門学校から三橋被告は何かしらの見返りがあったのではないかと勘繰ってしまいます。繰り返しになりますが、国家試験本番の問題をみればすぐに国家試験の内容だと専門学校側は気付きます。これはおかしいと思えば通報すると思われますが、実際には東京都新宿区の専門学校が通報しています。
対して動機について黒田被告は『三橋先生とは30年来の仲で、断り切れなかった』と報道にあります。この文章をみると三橋被告に依頼されて仕方なく情報を流したと受け取れます。黒田被告が国家試験の情報を持っていることを知った上で提供させた。三橋被告は試験財団の理事であったので黒田被告が国家試験を製作する立場にあることを知っていたのでしょう。そうなると三橋被告は黒田被告が数年前から講師を務める専門学校に情報を流していたことも理解しており、講師を務める専門学校の合格率を上げるために黒田被告に対して国家試験の情報を求めたということに。理事である立場から黒田被告を止めるのではなく利用しようとしたわけです。
報道によると検察側は三橋被告に懲役10か月、黒田被告に懲役1年を求刑したとあります。黒田被告の方が罪は重たいと検察側は判断しました。その差は妥当と思われます。しかしこの初公判の報道では専門学校側の関与については分かりません。両被告にとって直接国家試験の問題を漏洩させるメリットはありません。既に柔道整復師であり自身が国家試験を受験するわけでないのです。対して専門学校側は合格率が上がるという恩恵があります。専門学校側が両被告に対して見返りをしていると考えられますが、そこが謎のまま。2月1日に判決が出たときに明らかになるのでしょうか。
甲野 功
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