開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
昨日は鍼灸マッサージ専門学生が来て、法律、裁判事例、実際に起きた事件について講義をしました。参加したのは鍼灸マッサージの学生ですが、法学部を卒業しており法律に関しては私よりずっと理解しています。理学部卒の私には法律や文学は非常に縁遠い存在で(向こうからすると物理や数学が遠いのでしょうが)、鍼灸マッサージ専門学校に入学して関係法規の授業できちんと法律を学んだものでして。高校の政治経済で憲法や法律の概要を習った記憶がありますが、20代後半になって改めて法律を勉強しました。定式試験にも国家試験にも出題される科目ですからきちんと。
我々の仕事を管理する法律として『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律』、通称『あはき法』があります。プロになる以上この法律を知っておかなければなりません。また関係する部分は医師法も知らないといけません。私は柔道整復師でもあるので柔道整復師法も勉強しました。臨床現場に出て、開業して、特に法律の勉強は必要だと痛感しています。もちろん一部の医師法も知らないといけませんし、景品表示法も重要。薬機法もときには必要です。学生時代、国家試験対策だけで用語や罰金30万円以下の項目といった表面だけを勉強していただけでは自分の身を守れません。学校を卒業してあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師として働くようになってから法律に対する感度が高くなりました。
柔道整復師専門学校に通うようになり、保険の不正請求や柔道整復師が起こしてきた事件に対しても関心が強くなります。鍼灸師になり柔道整復師専門学生のときに、はり師免許を持たない柔道整復師が患者に鍼を刺して外傷性気胸を起こして死亡させるという事件がありました。学校の座学とともに社会の臨床現場の勉強として法律や事件について学ぶ必要を強く感じたものでした。
鍼灸マッサージ教員養成科に進学すると3ヵ月の関係法規の授業がありました。講師は弁護士で専門家から学ぶ機会を得ました。その授業がとても役に立っており、それまで知らなかった裁判事例を紹介、解説してくれました。現在抱える矛盾はこのときの裁判判決が原因となっているのだと知りました。卒業後も過去の判例を調べて今の状況とどうのように関係しているのかを学びました。
あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業してからも社会で起きた事件、事故をチェックして業界のこれからに関係するか否かを調べて考えています。
今回の講義ではあはき法を一通り網羅し、関連する法律(主に医師法)、業界に影響を与えた・もしくはこれから影響を与えそうな裁判、関係する事件について自分なりにまとめて解説しました。幸いなことに学生さんは法学部卒で政治に興味がある方。法律特有の変な表現とか言い回しも苦になりませんでした。私は法律の専門家でも研究家でもありませんが、実務上直接関係するので法律に対して真剣に向き合っています。専門学校の授業ではどうしても国家試験対策の授業になりがちですし、受ける学生も国家試験に出るキーワードを覚えておこうという姿勢になってしまいます。実務に関わる、そして日本国民ならば誰でも一様に関係する法律(さらにその上の憲法)が実際の現場でどのように関係するのかを伝えたという気持ちがあります。めんどくさい顔をせずに話を聞いた上で、互いの意見を交わす議論もできました。
その場にいた学生さんが免許を取って臨床現場に出るとき。この業界はどのようになっているのか。それを占う意味でも近年起きていることを知る必要があります。
最高裁判決でタトゥーを入れるのに医師免許は必要ないという判断がされました。これが今後どのような意味を持つのか。1998年に福岡地裁判決で厚生省(当時)が柔道整復師専門学校新設に関する裁判で敗訴しました。その判決が今どのような状況を起こしたのか。あん摩マッサージ指圧師専門学校新設に関しては最高裁判決で新設を認めないという判決が出されました。
栃木県の自称祈祷師によりⅠ型糖尿病男児が死亡した事件では殺人罪が確定しました。新潟の団体でズンズン運動なる施術を行い乳幼児が死亡する事故が起き有罪判決が下りました。これらの意味することは何だったのか。
このような話をしました。
私にとっても、準備は大変でしたがその過程で学ぶことがたくさんあり、当日はまだ現場を知らない、だけど法律や政治を学んできた学生さんとの対話が非常に有意義でした。財産となる体験でした。
甲野 功
コメントをお書きください