開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
神楽坂エリアにおいて、現存するお店の中で最も古くからあるのはどこでしょうか。いくつか候補があるでしょうが、その一つが中華料理店の龍公亭です。
目抜き通りで飯田橋駅に近い神楽坂下。観光地として非常に多くのメディアで紹介されてきた神楽坂エリアで最も目立つ場所。神楽坂と一口に言っても大久保通りを挟んで飯田橋駅側の神楽坂下、地下鉄東西線神楽坂駅側の神楽坂上、地下鉄神楽坂駅周辺の奥神楽坂、牛込神楽坂駅周囲、牛込中央通り、路地裏などいくつかあります。神楽坂通りで坂の途中、路面店にあるのが龍公亭です。圧倒的に目立つ立地にある老舗中華料理店です。
私は中華料理が好きです。大衆的でもあり高級なものもあり。特に麻婆豆腐が幼少期から好きで、保育園の頃から社会人になるまで近所にある町中華の麻婆豆腐丼を食べ続けていました。社会人になり自分のお金でそのお店の麻婆豆腐丼を食べることができたときに一つ大人になったと感じたものでした。そのお店も私が20代の終わりくらいのときに、店主が高齢である事を理由に閉店してしまいました。幼少期から食べてきた習慣で麻婆豆腐があればとにかく食べてみようと今でも思っています。そしてずっとあの時の味を求めているともいえます。
龍公亭に入ったのも中華料理が好きなのと麻婆豆腐があるからという理由でした。歴史があることは知りませんでした。子どもの頃からお店があったように記憶しているくらいです。大学が東京理科大神楽坂校舎でしたから龍公亭の前を何度通ったのか見当もつきません。千の桁ではないでしょう。ずっと当たり前のようにあったお店。視界に入るのでたまに入るお店という感じでした。神楽坂が今ほど人気が無かった頃は気軽に入れたのですが、神楽坂を舞台にした二宮和也氏主演ドラマが放送されてからは観光客が押し寄せて、龍公亭も混雑し入りづらくなりました。そして新型コロナウィルス感染拡大後は飲食店のピンチとなり、地元のお店を食い支えるような意味で龍公亭に数年ぶりに行き、土鍋麻婆豆腐セットを食べたのでした。
土鍋を使うだけでもありがたみが増すような気がします。本格中華の麻婆豆腐は土鍋を使うような気がしています。料理に疎いのでイメージですが。外観も内装も老舗という感じがあまりなく、知らなければ最近できたお店と思うかもしれません。よく見ると店内の階段途中に歴史を感じさせる展示物が置かれていますが、
歴史を調べると龍公亭の前身は寿司屋でした。明治22年(1889年)に初代の飯田栄吉氏が「あやめ寿司」を創業します。現在の中華料理、龍公亭が生まれたのは大正10年(1921年)。龍公亭からでも創業100年、前身の寿司屋から数えれば創業130年を超える老舗店です。大正10年と当時に生ものがあたることが問題化しており、火を通す中華料理もやっていこうということで始まったそうです。当初は1階が「あやめ寿司」、2階が「龍公亭」だったそうです。初代は時代の状況を加味して臨機応変に業態を増やしたことが今まで続く要因になったのでしょう。令和の今は中華料理の方が残っています。
どの分野の商売もそうですが、歴史の荒波を生き残り老舗となるのは守るところを守りながら、変化を恐れないことが大事です。現在の店主は4代目だそうですが、以下のインタビュー(※10年以上前のもの)を読むと、その姿勢がよく分かりました。
<しんじゅくノート 神楽坂・廣東名菜 龍公亭/飯田竜一さん 歴史と今が響きあって「龍公亭」は時を刻み続ける>
途中メニューを変えたり、リニューアルオープンで客層を若返させたり。私が食べたランチの麻婆豆腐も4代目が取り入れたようです。
神楽坂は東京都内でも上位に入る観光地になりました。そして世界的にも有名になっています(世界のクールな通り33選に選ばれた)。その分入れ替わりが激しく、また数年続いたコロナ禍により昔なじみのお店も閉店に追い込まれてきました。そして新規オープンしても定着できず2年くらいで撤退・閉店ということも珍しくありません。私が東京理科大に通っていたのは四半世紀前のことに。その頃からあるお店自体が珍しいくらいです。明治・大正・昭和・令和と神楽坂で店舗を守り続けている龍公亭は非常に貴重です。老舗すぎて新鮮味がないのか、あまりメディアが取り上げない神楽坂の名店といったところ。
新型コロナウィルス感染者数が大きく減ってきました。より神楽坂に訪れる人が増えるでしょう。それは日本人だけでなく海外の人も。その神楽坂で130年の歴史を持つお店が龍公亭です。
甲野 功
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