開院時間
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2月13日に約3年ぶりに「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」(以下、広告検討会と表記)が開催されました。今回で9回目となる会議。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師等の広告に関して広告ガイドラインを作成しようというものです。前回の第8回広告検討会は2019年11月で、それから新型コロナウィルス流行のため中断されていました。
前回から議題になっていたのが施術所名称について。先に挙げたあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師は開業が認められている医療系国家資格で、それらの者が開設するところを「施術所」といいます。施術所は一般名称で固有名称ではありません。ホテル、体育館、運動場のようなカテゴリーを示す言葉。開業する際に屋号は個別に付けます。前に柔道整復師の施術所として「整骨院」が使えなくなることを書きました。柔道整復師の施術所については「接骨院」、「ほねつぎ」であることが今後の広告ガイドラインで明記される運びです。
更に鍼灸柔整新聞の報道であん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の施術所名称についてもはっきりさせることが明らかになりました。
<鍼灸柔整新聞 「整骨院」、施術所名で使用不可に 第9回 広告検討会>
投稿日:2023年2月24日
前回広告検討会(第8回)の争点として施術所の名称に『○○治療院』という屋号がふさわしくない、禁止すべきだというもの。そもそもの指摘として、医師外の者が治療という言葉を使うな、という意見です。
日本では医行為を業とすること、すなわち医業ができるのは医師免許を持つ者のみ(医師法で規定)。医師しか行えない“治療”を非医師がすることは禁止で、施術という言葉を使いなさいという。一部の鍼灸師には「医師ではないあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師が行う治療行為を“施術”と呼ぶ」との主張があるのですが、根拠となる文章を私は探しているのですが見つかりません。デジタル辞書で調べてみると施術とは「治療すること、主に手術をすること」などの説明が出てきます。医師が行う治療と本質は変わらないように思いますし、手術こそ非医師には絶対に禁じられていることですから、何とも言えません。治療するという言葉は誤解を招くと考えたとしても、屋号に『治療院』を使うのも禁止というのはいかがなものか、という反論が出ました。
どうでしょうか。△△治療院という施設名をみて、そこは医師がいる医療機関(クリニック、診療所、病院など)と認識する人がどれくらいいるでしょうか。むしろ治療院という名称こそが非医師が行っている場所というイメージがあるのではないでしょうか。実際に広告検討会で出た意見として、治療院は非医師がやっているところというのが社会的認識である、アンケートをした中で治療院という言葉で医師がいると思う人はごくわずかである、とありました。
なおこの件は医療法の範疇でもあります。
医療法とは主に医療機関に関することを規定する法律であり(医師法は医師そのものに関する法律)、医療法において医師以外が開設する施設に医療機関と認識させるような名称をつけることを禁止しています。また医師法では名称独占というものがあり、医師免許を持たない者が医師を名乗ることを禁止しています。よってあたかも医師が行っていると思わせるような屋号が禁止されています。過去の事例として、昭和24年(1949年)の施術所名称に関する疑義照会回答では、医療法を根拠に「○○治療院」「○○治療所」という名称は不可とする資料があります。
反面、「業態名+治療院」という施術所名称は法的に認めるという資料がありました。業態名というのははり、きゅう、あん摩マッサージ指圧、などどの資格(業態)かを示す言葉です。つまり「はり治療院」とか「指圧治療院」といったもの。今回の広告検討会において、厚生労働省担当者から「業態名+治療院」が医療法及びあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律(通称、あはき法)に抵触しないと解されるとの見解が示されたと、報道にありました。この見解により施術所名称に『治療院』を入れることを反対していていた患者団体や保険者側からの容認があり、日本医師会理事も「業態名+治療院」という名称であれば認めるとしたとあります。
見方を変えると「○○鍼灸治療院」とか「××マッサージ治療院」という名称の方がむしろ医療機関と間違える可能性が低くなると思います。
この問題は私自身が直面したもので、9年前に当院を開業するにあたり所轄の東京都新宿区保健所に相談にいった際に、指摘されたことでした。私は当初「あじさい治療院」という屋号にしてサブタイトルのように、うしろに「~鍼灸・マッサージ~」みたいに付けようと考えていました。ところが「あじさい治療院」という屋号は新宿区として認められません、鍼灸なりマッサージなり何をしているところなのかはっきり屋号に入れるように、という指導を受けました。そこで現行の「あじさい鍼灸マッサージ治療院」にしたのですが、今はもう慣れましたが当初は長くて嫌だなと感じていました。そして医療法とは別の観点から「あじさい治療院」が認められないという理由を保健所担当者から聞きました。それは過去に施術所として保健所に開設届を出して開業したのに、実態は風俗店だったという事例があったからだということ。東洋一の歓楽街歌舞伎町を有する新宿区らしいエピソードです。実際に「×××治療院」という屋号の風俗店が他のエリアにはあるそうですし。それを聞くと確かにそうだと、医療法とは別に納得して「あじさい鍼灸マッサージ治療院」を屋号にしました。今はこれで良かったと思っています。
しかし、3年前に行われた第8回広告検討会の内容から、もしかしたら屋号を「あじさい鍼灸マッサージ院」に変えなければいけないかも、と覚悟する部分がありました。治療院の“治療”という名称が禁止となれば、仕方ないかと。そうなると一度廃業届を出して再度開設届を出しあらゆることをやり直さないといけません。看板、名刺、ホームページ、などなど。資料も何もかも。個人で小さいものですが、屋号変更となるとかなり大変です。今回の会議でそれをせずに済みそうで助かりました。何より9年前に新宿区保健所の指導に従ったのに今更ダメですよと言われたらどうしようかと思いますし。今回の会議で「整骨院」名称は禁止になりましたからドキドキしていました。
開業すると法律、憲法、命令(省令や自治体からの指示などの意味での命令)がとても重要になります。国家試験対策ではなく、生の知識が必要。昨日まで大丈夫だったものが今日から禁止になることがあります。常に気をつけて注目しないといけません。
甲野 功
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