開院時間
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3月14日に埼玉県が、整骨院及びエステサロン等を経営する事業者に対する景品表示法に基づく措置命令を出しました。景品表示法とは通称で正式には『不当景品類及び不当表示防止法』といい、虚偽広告や誇大広告など実態よりもあたかも優秀なように広告することを取りしまる法律です。主に消費者庁の管轄なのですが、自治体でも景品表示法違反での処罰を出せるようになりました。今回紹介するのは消費者庁ではなく埼玉県が出したものです。景品表示法違反の処罰には『措置命令』と『課徴金納付命令』があり、この埼玉県が出した事例は措置命令で、受けた業者は違反したことを周知させることと再発防止をすることをしなければなりません。
<埼玉県ホームページ 整骨院及びエステサロン等を経営する事業者に対する景品表示法に基づく措置命令について>
何が景品表示法違反となったかというと「美骨盤矯正+選べる最新痩身5種ダイエット」と「小顔矯正」に関する広告内容となっています。この2項目での広告が景品表示法第5条第1号『優良誤認表示』に抵触するということが処罰の根拠です。『優良誤認表示』とは“商品・サービスの品質、規格その他の内容についての不当表示”と説明されます(消費者庁ホームページより)。『表示』とは広告に関わること全般(チラシ、看板、ホームページ、広告、など)と考えていただいて構いません。具体的には、
・内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示
・内容について、事実に相違して競争業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示
の2項目です。前者は実際のスペックよりも遥かに高いと思わせる広告内容。後者は実際にはそのようなことはないのに他社に比べて非常に優れていると思わせる広告内容。このようなことを『優良誤認表示』といいます。あたかも優良だと誤って認識させる表示というわけですね。
話を戻して、埼玉県は当該業者の「美骨盤矯正+選べる最新痩身5種ダイエット」、「小顔矯正」における広告を優良誤認だと判断し景品表示法第7条第1項の規定に基づき措置命令を行ったということです。『不実証広告規制』といって、商品やサービスの内容(効果、性能)に関する表示(広告)が『優良誤認表示』に該当するか否かを判断する際に、期間を定めて事業者に裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。具体的に優良誤認表示とした内容は5種類でした。
①あたかも、自社が運営する店舗が「口コミ」において高評価であること及び「口コミ」の件数が埼玉県で1位、あるいは各地で1位を獲得したかのように表示していた。
これは店頭表示、ウェブサイト(ホームページ)と実店舗とWebの両方です。実際の調査によると、「口コミ」に関して統計的に客観性が確保された調査によるものではありませんでした。そして顧客に「口コミ」の投稿を促すため金品やサービスを提供しており顧客が自主的に投稿したものではありませんでした。
②あたかも、複数の雑誌の企画又は特集ないしテレビ番組で自社が紹介されたものであるかのように自社サイトで表示していた。
実際には表示している雑誌の大半が雑誌の企画又は特集として掲載されているものではなく広告として掲載されていた。またテレビ番組で紹介されたのは、他社開発の機器であり自社が紹介されたものでありませんでした。
③あたかも、顧客からの満足度が非常に高く、自社が提供する本件役務の痩身結果が1位であると評価されているかのように自社サイトで表示していた。
実際には、同社は表示の根拠となる調査等の資料がなく、統計的に客観性が確保された調査によるものではありませんでした。
④「お客様の声」と称するページにおいて15名の人物の小顔矯正施術前後の写真を表示するなど、あたかも、小顔矯正施術を受けた利用者の写真であるかのように自社サイトに表示していた。
ところが実際には、写真15名のうち2名はスタッフのもので、残り13名にもモニターが含まれていて客ではない人物が含まれていました。さらにスタッフが恣意的に施術後の顧客写真から選定したものであり、統計的に客観性が十分に確保されているとはいえない写真でした。
(5)あたかも、痩身効果、小顔効果があるかのように自社サイトで表示していた。
このことについて埼玉県が裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めましたが、業者から提出された資料はいずれも当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められませんでした。
これらの広告内容に対して、全て顧客を誤認させる実績を伴わないものと埼玉県は判断したのでした。文章を羅列するとあっさりしていますが、実際に調査するのは簡単なことではないでしょう。①の項目では18店舗を調査しています。証拠となる画像をおさめて。その他のウェブサイトによる表示は掲載期間も調べており、古いものでは平成29年から掲載されていたと報告書にあります。お客の口コミは利益を供与されて投稿したものだと証明するには投稿した人を突き止める必要があるでしょう。調べたということです。足を使って労力を割いて調査していることが伺えます。この事実に注目します。
昔から“盛った謳い文句”は宣伝に頻繁にありました。完全に嘘とは言えないが正しいとも言い難いような。そこからエスカレートして“ばれないようだろうからこれくらい平気だろう”と虚偽内容の誇大宣伝になっていくのでしょう。それが“ばれる”という事実を突きつけたのです。その口コミは本当ですか?と疑わしいものを、金品やサービスを提供されて投稿しました、ということまで調査をする。店頭表示を実際に調べる(Googleマップを使ったとしても)。その嘘の広告、バレますよ。その事実を埼玉県が提示したと思いました。私と近い業界での出来事なのでとても勉強になりました。
甲野 功
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