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~第9回広告検討会議事録から読み取れること~

あはき柔整等に関する広告検討会開催要項
あはき柔整等に関する広告検討会 開催要項 より

 

 

現在、私の関わる仕事(あん摩マッサージ指圧師はり師きゅう師柔道整復師など)において広告検討会の動向が非常に重要になっています。広告検討会とは正式には『あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』と言います。長いので以後、広告検討会と称します。

 

厚生労働省ホームページ あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会

 

まず広告検討会とはどのようなものかを公表されている資料から説明します。

 

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会開催要綱

 

開催要綱(※資料を一部編集)

 

1.目的

あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう(以下「あはき」という)及び柔道整復(以下「柔整」という)等の広告については、社会保障審議会医療保険部会「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」「柔道整復療養費検討専門委員会」において適正化を行うべきとの指摘があったところであり、また、医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告について見直しが行われたこと等を踏まえ、国民に対するあはき柔整等の情報提供内容のあり方について検討を行う。

 

2.検討内容

(1)有資格者(あはき柔整)の広告のあり方について

 ①ガイドラインの作成

 ②広告可能事項の見直し

(2)無資格類似業者の広告のあり方について

(3)その他

 

3.構成員

・石川英樹(公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会副会長)

・磯部哲(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)

・加護剛(奈良県橿原市財務部部長) 

・釜萢敏(公益社団法人日本医師会常任理事)

・木川和広(アンダーソン・毛利・友常法律事務所弁護士)

・坂本歩(学校法人呉竹学園理事長・公益社団法人東洋療法学校協会理事)

・竹下義樹(社会福祉法人日本視覚障害者団体連合会長)

・豊嶋良一(公益社団法人日本柔道整復師会理事)

・福島統(東京慈恵会医科大学特命教授)

・前田和彦(九州保健福祉大学教授)

・南治成(公益社団法人日本鍼灸師会副会長)

・三宅泰介(健康保険組合連合会政策部長)

・山口育子(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)

(五十音順、敬称略)

また、座長が必要と認めるときは、構成員以外の関係者の出席を求めることができる。

 

4.運営

(1)座長は構成員の互選とする。

(2)座長は座長代理を指名することができる。

(3)検討会の議事は別に検討会で申し合わせた場合を除き、公開とする。

(4)検討会の事務は医政局医事課において行う。

(5)その他、検討会の運営に関して必要な事項は、検討会において決定する。

 

5.施行

この要綱は、平成30年5月10日より施行する。

 

まずこの会議の目的として、最初に挙げた業務(あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師に関すること)の広告について社会保障審議会医療保険部会の各種療養費検討専門委員会において適正化を行うべきとの指摘があり、国民に対して情報提供内容のあり方について検討を行う、というもの。背景に病院、クリニックを対象とした医療広告ガイドラインの改正も関係しています。

 

その検討内容は「(1)有資格者(あはき柔整)の広告のあり方について」、「2)無資格類似業者の広告のあり方について、「(3)その他」とあります。

(1)については私の仕事に直結するものです。最初に挙げた資格(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師)の頭文字を取って“あはき柔整”と省略しています。このあはき柔整は国家資格であり、かつ開業権が認められているもの。医師以外で開業権が公式に認められている(厚生労働省管轄の)医療系資格は珍しく、それを“有資格者”としてまとめています。

次に重要な検討内容として「(2)無資格類似業者の広告のあり方について」です。無資格類似業者というのは先に挙げた有資格者ではない者、具体的には“あはき柔整”ではない者で医業類似行為を行っている業者となります(※医業類似行為の定義には色々な主張がありますが、現在の国が定めている、医師が行わない健康被害を及ぼす可能性がある行為、という意味合いで捉えてください)。つまりあはき柔整以外の者による施術行為全般も検討会の対象になるのです(※同じく施術という言葉の定義にも意見がありますが、ここでは人体に刺激を加えて何かしらの効果を目指す行為とします)。つまり有資格者(あはき柔整)に対することだけではないのです。

(3)その他は何かあったときに追加で議論することが必要になったときの保険のようなものだと思われます。

 

第9回までの状況は検討内容「(1)の有資格者の広告のあり方について」が完了していない状態です。(1)に関しては「①ガイドラインの作成」、「②広告可能事項の見直し」という具体内容が提示されています。「②広告可能事項の見直し」については長い間言われてきたことですが、法律(あはき法、柔整法)によって広告できる内容が非常に狭くなっていることが議題になっています。料金すら広告に載せてはいけないと法律でされていますが、この時代にそれは利用者への不利益でしかありません。またホームページは(医療)広告と見なさないという判断をしていましたが、今はホームページも広告と見なします。よってウェブサイトでの表現も整備する必要があります。この動きは医師らの医療広告ガイドラインが先行しており、基本的にそれに追随する形です。

②が決定したら①のあはき柔整の広告に関するガイドライン作成に進むということになるでしょう。第9回の会議で「②広告可能事項の見直し」に関して施術所の“整骨院”利用が禁止になるという方針や、“業種+治療院”の屋号使用は構わないということが決まりました。ただし“○○治療院”という施術所名はまだ認められておらず議論が次回に持ち越しです。

 

第9回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会 議事録

 

構成員はあはき柔整関連だけでなく、弁護士、行政、医師会、大学などからの有資格者も入っています。一部、構成員が変更になっていますが。国民の健康に関わる内容ですから、当然であるわけですが、あはき柔整だけの問題ではありません。

 

この広告検討会は医師以外の施術関連の全てを対象としています。タイトルが『あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師“”の広告に関する検討会』です。等が入っています。表面的な情報だけを追っていると有資格者(開業権を持つ国家資格者=あはき柔整)が締め付けられるばかりで(整骨院名称禁止など)、これなら無資格者の方が有利ではないか(自由勝手に広告がうてる)、真面目にやっている方が損をする(法律の制限を受ける)という意見が聞かれます。ところが議事録を読み込むと検討内容「(2)無資格類似業者の広告のあり方について」にも検討する準備ができつつあることが伺えます。変に規制をかけることで無資格類似業者の存在が正式に認められたと居直るのではないかという懸念。そこまで構成員は分かって慎重な議論をすべきだとしています。検討内容(1)でガイドラインが作成まで至ったあとは、もしくは同時並行で検討内容(2)に着手するものと議事録を読むとうかがえます。

 

つまり、これまではあはき柔整は法律に縛られていて広告の制限があった、整体師と称してあはき柔整ではない資格としてやっていた方が広告面で有利、という定説を覆すことになる可能性が高いということです。その矛盾は構成員も十分に理解しています。この広告検討会の決定で大きな変化が起きるのではないかと予想しています。

 

甲野 功

 

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