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~柔道整復師国家試験の試験委員を公募へ~

TBS NEWS DIG より
TBS NEWS DIG より

 

 

昨年発覚した柔道整復師国家試験問題漏洩事件。その余波は未だにあります。逮捕された容疑者は判決がくだり有罪判決が出ました。しかし問題漏洩が発覚した昨年開催の第30回柔道整復師国家試験に対して今年の第31回国家試験の合格率が大幅に下落し、数多くの学校に問題が漏洩していたのではないかと疑惑の目が向けられています。捜査により第30回の試験問題が漏洩していたのは4つの専門学校ということでした。この4校は今年第31回国家試験において新卒(現役生受験生の)合格率が大幅に下がりました。しかしそれだけにとどまらず多くの学校が新卒合格率を下げたのでした。もちろん第30回と数字が変わらない学校やむしろ合格率が上がっている学校も存在しています。ただしそれ以上に多くの学校において合格率が下がったという結果が出ました。これを受けて加藤厚生労働大臣は柔道研修試験財で第三者委員会を設置して調査をすると記者との質疑応答で明かしました

 

この流れを受けてか、昨日柔道整復師国家試験の試験委員を公募するという報道が出ました。

 

TBS NEWS DIG 柔道整復師国家試験漏洩事件 “再発防止のため”試験委員2人をきょうから公募 2023年4月17日(月)

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柔道整復師の国家試験問題漏洩事件を受け、試験を運営する財団が、再発防止として試験委員を初めて公募すると発表しました。

「柔道整復研修試験財団」の元試験委員の男性(63)ら2人は、自身が講師をつとめる学校などに国家試験の問題を漏洩したとして、今年2月、執行猶予付きの有罪判決が言い渡されています。

これを受けて財団は、有罪判決を受けて解任された元試験委員など、2人の「欠員分」について、公募とすることを発表しました。

2人は必修問題などを担当する試験委員で、これまで特定の柔道整復師養成学校の教員から、財団が選んでいましたが、公募にすることで、不正の再発防止をはかる狙いがあります。

試験委員の任期は2年で、国家試験問題の作成と採点を担当するということです。

公募について試験財団の担当者は「去年の漏洩事件を受け、広く募集することで再発防止に繋げていきたい」と話しています。

 

欠員分の2名分を公募するというのです。従来は“特定の”柔道整復師養成学校の教員から柔道整復研修試験財団が選んでいたといいます。担当者の「広く募集することで再発防止に繋げていきたい」という話。この内容を読むと何とも言えない気持ちになります。

 

まず私は第19回柔道整復師国家試験を乗り越えた身。年に一度しかない、それも3年間の勉強をしないと受けることができない国家試験の問題内容が事前にばれるなどということが信じられないですし許せないのです。柔道整復師免許の根幹を揺るがしますし、真面目に勉強してきた受験生が報われません。特にあん摩マッサージ指圧師国家試験と違い、柔道整復師国家試験は必修問題8割クリアーという条件が厳しいのです。一般問題を6割取るより必修問題をクリアーする方がある意味で厄介です。それは必修問題の問題数が少なくかつ正答しなければいけない割合が高いから。私のときは30問、今は50問。2割しか間違えることが許されないという条件。必修問題は解けて当然の基本的な問題とされていますが、受験生にとって難易度は人それぞれ。しかも第1問から必修問題が始まるので最初が解けないと午後は諦める気持ちになります。不合格の者がどういう状況なのかは試験財団や当事者しか分かりませんが、必修問題が8割解けずに不合格になっている人は少なくないものと予想できます。

 

さて試験問題を作成する試験委員が専門学校や養成機関の教員というのはいかがなものなのでしょうか。

私の父はある分野の国家試験問題を作成することをしていました。それを知ったのは作成側から離れてずいぶん経ってからでした。父親の話では国家試験作成に携わることにあたり、他人に試験作成をしていることを知られてはいけない、講師業などは控えるように、と言われたそうです。他人に知られてはいけないというのは、あの人が試験問題を作成していると分かると、個人の癖や志向から問題が予想できるからです。問題作りには癖が出るものですし、出したい分野も分かるものです。だからこそ家族にも問題を作成していることを話さなかったのです。また講師業を控えるというのも同様で、問題を作ったらそれを人に教えたい、試したいという感情が芽生えるものです。つい口を滑らせる可能性があります。ですから試験作成者が受験生を教えるというのは避けた方がいいでしょう。

 

ところが柔道整復師国家試験に関しては特定の学校教員から試験委員を選んでいたといいます。この特定というのがまず気になるところで、逮捕された者も勤めていた学校の前任から問題漏洩を引き継いだと記事に出ていました。国家試験問題を作成する試験委員を受験生に授業する機会がある専門学校教員が務めるというのはいいのでしょうか。私はこの内容を知って驚きました。父親の話とはずいぶん異なるからです。しかも逮捕された被告の一人は問題漏洩を繰り返してきた被告の噂を聞いて情報を流すように話をしたと捜査で判明しています。つまり分かる人には、あの人間が試験委員をしていると確信が持てる状況ということでしょう。

 

昨年の問題漏洩を受けて、特定の学校から広く公募に変えることで不正防止をするという試験財団。特定の学校は何校なのか分かりませんが、従来の方法に疑問を持ちます。世襲制のように特定の学校教員が代々試験問題を作成するのであるならば、特定の学校に有利に働くことが予想できるわけです。だからこそ今回公募するとしたのでしょうが。

 

実際に柔道整復研修試験財団のホームページには公募内容が掲載されております。

 

柔道整復研修試験財団ホームページ 国家試験 国家試験委員(柔道整復理論)の公募を行います

 

気になる点を抜粋しました。

柔道整復師国家試験委員の公募要領について

 

○募集委員

柔道整復師国家試験委員(柔道整復理論)

 

○委員の任務

柔道整復師の国家試験問題の作成及び採点

 

○募集人数

2名

 

○任期

就任日(令和5年6月予定)~令和7年5月31日(1期につき2年)

ただし、連続3期(6年)を限度とし、更新することがある。

 

〇募集期間

令和5年4月17日(月)~令和5年5月12日(金曜日)

 

○応募方法

志望動機を記載したものを添付の上、履歴書を郵送。

 

○応募資格(次の各号のいずれかに該当する者)

1.学校教育法に基づく大学において医学若しくは公衆衛生に関する科目 担当する教授、准教授若しくは助教の職にあり、又はあった者

2.法第12条に規定する学校又は柔道整復師養成施設の専任教員

3.厚生労働大臣が前2号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認められる者

 

○選考方法

試験委員選考委員会により選定する。

一次選考:書類選考(履歴書)

二次選考:面接

 

まず公募する試験委員は柔道整復理論のみということですね。柔道整復理論は柔道整復師国家試験において最も重要な科目です。他の解剖学、生理学、病理学、整形外科といった科目は別の専門家が問題作成できるでしょうが柔道整復理論は柔道整復師でないといけないでしょう。しかし応募資格の第1は大学教授、准教授、助教授を挙げています。これは大学柔道整復師科にも試験委員の門を開放するものと思われます。というのは柔道整復師養成機関では全国柔道整復学校協会という団体があり、全国の学校のうち45校(今日現在)が加盟しているに過ぎません。おそらく試験財団がこれまで選定してきた特定の学校というのはこの学校協会加盟校だと思うのです。そして学校協会に大学は加盟しておらず全て専門学校です(※鍼灸にも同じように学校協会がありますが特定の大学は特別枠として加盟しております。)。よって大学からも試験委員を入れるという動きだと思われるのです。そして応募資格第3に同等以上の知識・技能を有すると認められる者を入れることで新たな選択肢を残しているように感じます。

それと報道では任期2年とありますが試験財団の公募要領には最大6年の任期。

 

不正防止策として公募へ。それよりも根本的な問題として試験委員を誰が務めているのか外部に分からないようにすることが重要だと個人的に思います。それも所属している学校・養成機関にも知られないようにする。そうしないと学校側からの圧力で問題漏洩になりかねないわけです(実際にそれは起きた)。柔道整復師国家試験の正当性を示すためにも第三者委員会の調査を含めて対策をとってもらいたいです。

 

甲野 功

 

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