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~本池先生の学連OBOG練習会に参加~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 BEST ART
BEST ARTに飾れていました

 

 

先週の木曜日に代々木にある社交ダンススタジオ『BEST ART』で行われた学連OBOG練習会に参加しました。

 

BEST ART

 

こちらのスタジオは武蔵野美術大学を卒業した本池淳先生とそのパートナー本池法子先生がオープンしました。一般的な社交ダンススタジオでは屋号に『ダンス』を入れるのが一般的ですが『BEST ART』にはありません。美大卒の本池先生のこだわりを感じます。

 

本池先生は出身大学が異なるのですが学連(学生競技ダンス連盟)時代の先輩にあたり、当時大変お世話になりました。私は東京理科大学でした。本池先生は学年(部歴)でいうと1つ上で、当時互いに連盟委員という役職に就いており会議や大会準備やらで、よく一緒になっていました。パートナーの法子先生も部歴が1つ下で、学連時代の様子をよく覚えています。学連はモダン(現スタンダード)とラテンの2種類(各4種目、合計8種目)で争います(春の理工戦1年生部門では例外でジルバがありましたが)。私も本池先生も互いにモダン専攻の選手でした。

 

私には人生に影響を与えた4名のダンサーが存在し、その一人が本池先生です。当時、モダン部門が非常に弱かった母校。お世辞にも成績を残している先輩がおらず、既にトップ選手だった本池先生は憧れでした。失礼ながら先輩のモダン上位選手が部内にいないためどうしたら成績を出せるのか不明でした。何より私自身が非常に弱かった。また私の一番好きで得意な種目がクイックステップなのですが、当時の本池先生はクイックステップと言えばこの人、というくらい得意で圧倒的なスピードでフロアーを疾走する選手。その意味でも羨望のまなざし。そして憧れの他大学の先輩ということだけでなく、人が信用できなくなって自暴自棄になっていた当時の私を間接的に救ってくれたのが本池先生であり、当時の武蔵野美術大学ダンス部でした。単身、武蔵野美術大学に学びに行かなかったら部を辞めていたでしょうし、今こうして鍼灸マッサージ師として開業している状況は起きなかったでしょう。間接的ではありますが本池先生は人生の恩人であります

 

競技生活を引退し独立して『BEST ART』を立ち上げたことは大きな驚きでした。実績から独立することは納得ですが、その場所が代々木だったことにびっくりしました。代々木は東京医療専門学校の校舎があり、柔道整復師科と鍼灸マッサージ教員養成科に通った土地。合計5年間代々木に通いました。今でも鍼灸マッサージ教員養成科に行くことがあるので年に数度降りる駅。縁のある代々木でスタジオを構えるとは。『BEST ART』オープンのときにご挨拶に伺いました。

 

そして昨年から学連OBOGを対象にした練習会が始まりました。モダン(スタンダード)を本池先生、ラテンを『DANCE GRAND Harajuku』の金光先生が担当。月代わりで月に1回。その報せを知って本池先生のモダン練習会に参加しようとしたところ。家族で新型コロナに感染、都合が合わない、咳が止まらなくなり断念、と毎月参加できずやっと今回出席することができたのでした。この4年、コロナ禍もあり体力がめっきり落ちていました。子どもが大きくなり抱っこして運ぶこともなくなったせいで足腰が一気に衰えました。かなり不安があったのですが、その前に『DANCE GRAND Harajuku』で行われた新井先生主催のOBOGダンス同好会に参加したことで体の感覚が少し戻りました。満を持しての参加でした。

 

反面、また不安なことが。この時のテーマがヴィニーズワルツ(Viennese Waltz)(もしくはウィンナーワルツ。以下、VWと表記)です。学連は8種目で競技をすると書きました。モダン(スタンダード)専攻ではワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、クイックステップの4種目で争います。VWは学連の競技種目に入っていません。つまり慣れていない種目。プロフェッショナル部門でもアマチュア部門でもVWは前述の4種目よりも競技に入る機会がとても少なく、上位ランクの競技会にしかありません。それだけ難しいわけです。最低限のことは習って知っていましたが競技選手時代に一度も取り組んだことのないVWはどうだろうという不安がありました。どう難しかと説明すると、テンポが速くて休む暇がない、ということです。他のモダン種目は止まる所があるのですがVWは基本的にずっと動き続けます。そしてそのスピードはクイックステップと同じ。ウィーンの舞踏会で踊られるので優雅な社交ダンスという印象があるかもしれませんが、競技レベルでいえば非常に大変な忙しいもの。優雅に見せるには相当な練習が必要です。

 

余談ですが、以前「春の雪」という映画(原作:三島由紀夫、主演:妻夫木聡・竹内結子、監督:行定勲)を観たときのこと。舞台は大正時代の日本。舞踏会のシーンがありました。エキストラにプロやアマチュアの競技選手を用意したのでしょう。背景に凄いスピードでVWを踊る姿がありました。それはどう見ても競技会レベルで優雅な舞踏会とは似つかない勢いとしっかりとしたホールド(構え)。経験者の私には違和感がありすぎて、そこのシーンは集中できませんでした。

 

当日、代々木の『BEST ART』に入ると参加者が20名くらいいました。予想以上に参加者が多くて驚きました。その中には前回参加したOBOGダンス同好会にもいたメンバーや知り合いのあん摩マッサージ指圧師も。しかしほとんどが初対面でした。

 

練習内容はとても充実していました。本池先生がレクチャーをするグループレッスン。非常に論理的。ダンスの公式と言えるような普遍的な様々な応用がきく知識を教えてくれました。そうだったのか、と感動します。根が理科系なのでダンスを学ぶときは感覚的なものより論理的な方が好みです。学連時代、本池先生に習った内容は非常に感覚的だったのでより感心しました(四半世紀前のことと比較するのもあれですが)。またこの仕事に就くにあたり、専門学校で合計10年ほど身体のことを学んだ経験が、本池先生は人体の構造を考慮して教えていると感じるものでした。そして学連OBOGらしく、基礎練習をしっかり行うこと。ボックスという学連選手なら嫌というほどやる基礎練習。そのボックスを行いました。ただステップを踏んで楽しく踊りましょう、ということはなく。またボックスも学連時代の根性をつけることが種目的なものではなく(そうではないボックスもあったのでしょうが)、知識を動作に落とし込んで頭と体に定着させるためのもの。考えながら動く。単純な動きを繰り返す。納得できます。

 

理論と実践。VWの種目的な特徴をほとんど知らなかったので、そうだったのか、こうしているのか、という感動が多々ありました。最後に全員で組んでVWを踊りました。VWは速い上にステップ(足型)が非常に少ないのでフロアー中が竜巻のように回ります。本池先生が語っていたのですがこの光景を見るために逆算してレクチャー内容を決めたと。その手腕はダンスとは別に学びでした。素直に凄いと思いました。

 

20代前半の頃、本池先生(ムサビの本池先輩)に習ったことはとても心に残っています。練習会後の飲み会でその話をしたら本池先生は、そんなことを教えたんだ、と覚えていませんでした。当然でしょう。しかし当時の私には金言の数々で、その言葉は東京理科大学の後輩たちに伝えていきました。間接的に本池先生の指導を受けています。長い時間を経て、また新たな教えを得ました。

 

甲野 功

 

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