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~鍼灸マッサージ専門学校進学希望者が来院しました~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 進学希望者へのお土産
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先週9月2日(土)に鍼灸マッサージ専門学校進学を考えている方が2名来院しました

当院では『学生ペア割』というものを実施しています。これは鍼灸マッサージの学生さんが施術体験と見学を体験したいという要望から作りました。開業している先生の臨床現場を見学したいという希望。学校の授業や附属施術所ではない。しかしそれには見学を了承してくれる患者さんがいないと実現しません。また見学を受け入れる場所(先生)がないとできません。大学病院であれば病院である以前に大学という教育機関であるので学生のために患者さんが手助けすることがある程度求められます。これが市井の個人鍼灸マッサージ院では難しいもの。見ず知らずの見学者が横に居る状態で、会話や症状の内容を知られて、鍼灸を受ける様子を見られる。これはなかなか了承されないでしょう。そこで学生同士がペアになって来院し、片方が施術を受けもう片方がそれを見学するという状況を作ればいいだろうと。数年前にうちに来ていた学生さんの提案で実現したのです。

 

そして学生という括りを進学前の言わば“プレ学生”にも範囲を拡げました。今後鍼灸マッサージ専門学校に進学する人も。何だったら本当に入学するかどうか定かではないが、入りたいという人でもいいだろうと。この業界に興味があってやってみたいと思ってくれるなら構わないというスタンスにしました。これまで(鍼灸マッサージ教員養成科を含めて)何人か進学希望者であるプレ学生さんが学生ペア割を利用しました。

今回来院したお二人は過去に当院の学生ペア割を利用した学生さん及び新卒鍼灸師の紹介でした。自身が鍼灸マッサージ専門学校に入学あるいは卒業していて、更に次世代のこれから進学を考えている社会人へ、当院に行った方がいいよと推薦してくれました。嬉しいことです。何年もかけてやってきたことが繋がっていることですし。

 

当日訪れたお二人には事前に聞きたいことをメッセージでヒアリングしていました。その内容を踏まえて専門学校選びについて説明をしました。これまで同級生や先輩、後輩を含めて多くの鍼灸マッサージ学生さんに話を聞きましたが、結構な割合で学校選びに力を注いでいなくて家から近いから、学費が安いからといった理由で入学していました。またそれなりの数の、入学して後悔している、入ってみたら想像していたものと違った、こんなことからきちんと入学前に調べておけば良かった、といったネガティブな本音を聞いてきました。鍼灸マッサージ専門学校は最低3年間通って勉強しないと国家試験を受験することができません。学費は数百万円、それに3年間の諸費用が上乗せされた金額がかかります。カルチャースクールのような感覚で入るのは非常に危険です。しかし何故きちんと調べないのかというと、よく分からないから。鍼灸に興味があるという進学希望者はほぼ全員が鍼灸に対して大きな期待をしているもの。期待していない人がわざわざ専門学校に入ることはありません。ところが蓋を開けてみると大きな違いが多々あり、それを入学前に把握するというのは困難なこと。それは私自身も約20年前に経験していること。ある程度、学校の違いを理解した上で進学してもらいたいと私は常々考えています

 

まず話したのが本科と専科について。本科というのは鍼灸マッサージ科のことで、鍼灸師とあん摩マッサージ指圧師の受験資格が3年間で得られる科です(国家資格免許は正確には、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の3つです)。これに対して専科というは鍼灸師のみ(はり師・きゅう師免許だけであん摩マッサージ指圧師免許の受験資格は得られません)。全国の養成機関(視覚障害のない健常者向け)では大多数が専科だけの専門学校・大学です。本科がある学校は数が限られます。あん摩マッサージ指圧師も取るのか、鍼灸師だけでいいのか、というところから理解してもらわないといけません。実際によく調べずに専科に入学し、学生生活を経て本科に行けば良かったという声を耳にするのは少なくありません。

全国の学校は本科にすればいいじゃないか、という素朴な疑問が生まれるのですが、そこに伝統校と新設校の違いがあります。もともと鍼灸マッサージ専門学校は大学の医学部と同じように新規に作ることが制限されていました。柔道整復師も同様です。柔道整復師を養成する専門学校を福岡で新設しようとした事業者が、開設申請が通らないことを不服とし国(厚生省:当時)を相手に裁判を行いました。その裁判で国が敗訴し柔道整復専門学校新設が解禁されるのです。これが2000年頃のこと。同じように鍼灸専門学校新設も解禁となります。あん摩マッサージ指圧師に関しては視覚障害者の職域を守るために新設を制限する法律が存在するため解禁となりませんでした。よって2000年以降、鍼灸専門学校及び柔道整復専門学校は爆発的に増加します。便宜上、この裁判以前からある学校を伝統校、裁判以後の解禁となってから新設された学校を新設校と呼びます。よって本科があるのは一部の例外を除いて伝統校に限られます。このような事情はなかなか知られていません。

 

そういった専門学校ごとの特徴が、外から見るとあまり分からないのですが、かなりあるという話をしました。設立の経緯、すなわち学校法人の違い。鍼灸師が作ったのか、別業種の企業が作ったのか。マッサージの学校から始まり鍼灸も加えたのか、鍼灸の学校から始まりマッサージも加えたのかといった経緯。どういった趣旨、こだわりを持っているのか。こういうところは一般の人には分かりづらいし、そもそも学校毎に違いがあるとも思っていないという。反対に分かりやすい違いもあります。例えば立地。都心部なのか、郊外なのか。東京都にあるのか神奈川県にあるのか。関東は鍼灸専門学校がたくさんあるのですが、以外にも千葉県は1校しかありません。また駅から近いのか遠いのか。新宿、渋谷、池袋といったターミナル駅にあるのか、一つの鉄道しか止まらない駅にあるのか。最寄駅から歩いてどれくらいか。立地は誰にでも違いが分かります。更に立地によって学生生活にどのような影響を受けるのかを伝えます。

そして国家試験合格率について。鍼灸マッサージ専門学校は厚生労働省が管轄します(文部科学省の指示も受けますが)。つまり基本は職業訓練校と言えます。よって国家試験に合格して免許が得られないと意味がありません。なお鍼灸大学は文部科学省の管轄で根幹に研究があります。専門学校に進学するという事は鍼灸マッサージの免許を取りそれを用いて働くというのが多くの学生の希望。来院したお二方もそのつもりです。ですから進学を考えている学校の国家試験合格率は重要です。事前に気になっているという学校3校の国家試験合格率について調査し、解説をしました。合格率だけでなく受験者数、新卒合格率(現役生の合格率)と既卒合格率(浪人生の合格率)にも注意が必要であると話しました。また第1回から今年第31回の国家試験合格率の推移もグラフにして明示しました。国家試験合格率というのは客観性のある数字ですから分かりやすいのですが、数字の見方を知らないと勘違いして本質(本当に求めている情報)を見誤ることがあります。

 

そして卒業後の就職と開業について話しました。国家試験に合格しないと免許が得られません。それを達成してその先はどうなるのか。就職先はあるのか。開業してやっているのか。その疑問というか不安に対して私自身の経験を元に話をして、より具体的な未来像を想像してもらいました。鍼灸師は免許を取得してもかなりの割合で業界から去ると言われています。それを防ぐには進学する前から卒業後にどうしたいのかキャリアプランを考えておく必要があると思うのです。もちろん想定通りに行くとは限りませんが、何も考えないで行き当たりばったりでは危険です。私が鍼灸マッサージ学生だった頃はそれでもどうにかなったかもしれませんが、今はそうはいかないでしょう。来院したお二人は社会人ですのでそこはシビアに考えていました。

 

話だけでかなり時間を割いてしまいましたが、とても重要なことだと私は考えじっくりと腰を据えました。

 

続いて施術体験と見学。本来の学生ペア割です。一人は按摩指圧を受けてみたい、もう一人は鍼灸を体験したことがないので受けたい、ということでした。あん摩マッサージ指圧師の数は鍼灸師に比べると少ないのです。また視覚障害者の割合が高い。そのためあん摩マッサージ指圧師の按摩指圧を受けるチャンスは相対的に少ないと言えます。デモンストレーションのような形で全身を手技の解説をしながら行いました。それをもう一人が見学しつつ、筋肉の固さや浮腫みが変化する様を触って確認してもらいました。交代して鍼灸施術。初めての鍼灸体験です。気になっている症状を踏まえた上で経絡治療をベースにした鍼灸を行いました。最初の刺鍼はかなり怖がっていました。それも貴重な体験という事である程度は我慢してもらいました。鍼灸は様々なやり方があることを軽く説明しつつ、経絡や気の概念について話します。理解が追いつかないでしょうが、そういうものがあるよという感じです。見学する方は既に色々な鍼灸を体験していたので解説を細かくしてみました。

 

施術体験が終わってから、質疑応答の時間に。業界情報を仕入れ、実際に施術を受けてみて、出てくる言葉は私にとっても興味深かったです。具体的になったこともあれば、一層疑問が増えたこともありました。少なくともより鍼灸マッサージ業界に対して熱意がもてたようです。この後も学校見学や別の鍼灸院を訪問すると聞いています。参考になるように自分で使える台座灸と鍼灸メディア「ハリトヒト。」製本版をお土産に渡しました。

 

やる気のある方がこの業界を目指してくれることは喜ばしいことですし、業界の発展に繋がります。その想いで活動してきました。かつての学生さんから紹介されて進学希望者が来院したことが、私の数年にわたる活動が線になっていると思います。

 

甲野 功

 

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