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先日このような報道がありました。
河北新報オンライン
整骨院運営のグリーンルームが民事再生法申請、負債総額6億5900万円 仙台
2023年9月11日 19:16
『
整骨院を営むグリーンルーム(仙台市青葉区)は11日までに、仙台地裁に民事再生法適用を申請し、監督命令を受けた。帝国データバンク仙台支店によると、負債総額は約6億5900万円。東洋ワークグループ(仙台市)とスポンサー契約を結び、店舗の営業を継続する。社員60人の雇用は継続される。
同社は2008年の創業、10年に法人化。宮城、岩手、秋田の3県の大型商業施設などで整骨院を展開し、整体院や障害者グループホームの運営、訪問マッサージ事業も手がけた。
21年7月期の売上高は約6億2900万円あったが、積極的な店舗拡張が資金繰りを圧迫。新型コロナウイルスの感染拡大で整骨院の来院者が減り、介護施設向けの訪問マッサージもできなくなった。22年7月にはコロナ対策の雇用調整助成金の不正受給が判明した。
』
仙台の整骨院、訪問マッサージらを経営する企業が、業績悪化により裁判所へ民事再生法適用を申請し監督命令を受けました。民事再生法とは、経済的に困窮する事業の再生を目的とする日本の法律で倒産法の一つになります。この状況では倒産はしていないと考えられますがかなり厳しい経営状況であることは間違いないでしょう。裁判所に最低200万円を費用として納めます。それだけの経費をかけても仕方ないほど切羽詰まっている。報道にあるように、別企業と契約を結び店舗営業を継続し、社員60人の雇用は継続されるとあるので経営権を譲渡して再生をはかるものと思われます。
この報道はなかなかインパクトがありました。私のいる業界で経営的にネガティブな報道になる。負債総額6億5900万円とかなりの規模です。負債額の大きさは動いている金額がそれだけ大きいという事。また東京ではなく東北3県(宮城、岩手、秋田)での出来事ということも注目します。東京都心とは事情が異なるでしょうから。このニュースを詳しくみることで勉強になります。
他のニュースによると創業は2008年、法人化が2010年だそう。13年でこれだけの規模に拡大したということです。運営会社は『Green-Room株式会社』。会社情報によると以下の通り。
設立が2010年8月6日、所在地は宮城県仙台市。東京支社が世田谷にあります。事業内容が、整骨院14院、整体院1院、リラクゼーション10店、痩身エステ1店、訪問医療マッサージの運営6院、障害者グループホーム1事業所、他にも経営コンサルティングやその他関連事業を行っています。
この記事によれば最初は訪問マッサージから始まり整骨院、リラクゼーション、デイサービスと展開していったことが伺えます。よって現在は14院という整骨院がメインで、報道では“整骨院経営の”という形容詞がついていますが、元々は訪問マッサージから始まったということです。
訪問マッサージから他業種に展開していく。実は珍しくないやり方です。ただ簡単ではないのも確かです。創業者はヘルパーから始めたようですが、訪問マッサージの業務はあん摩マッサージ指圧師が担います。整骨院は柔道整復師。デイサービスは介護関連。微妙に職種が違います。中にはあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、介護福祉士など多免許を取得している人もいますが、そういう方は稀。まして一人で全てを行うことはできないので専門職を雇うことになります。経営者、否、経営陣が各分野の状況や法律などを把握できていればいいのですが規模(職種が多くなる、店舗数が多くなる)とできなくなってきます。周囲でも私の体験もありますが、一個人が経営を把握できるのは2院までとされています。3院になると目が届かなくなるので他に管理職を置かないとまわりません。3院目を出して軌道に乗らず、撤退するということがあります。反対にそこを乗り越えると組織として回り始めるともいえます。
冒頭の河北新報オンライン報道には『積極的な店舗拡張が資金繰りを圧迫。新型コロナウイルスの感染拡大で整骨院の来院者が減り、介護施設向けの訪問マッサージもできなくなった。』とあります。各店舗の所在地をみると多くがショッピングモールなどの商業施設内にあります。地方の価格帯が分からないのですが、テナント料は安くないでしょう。固定費がかかるところに出店し、そこに新型コロナウィルス感染拡大で人が入らなくなったことは想像に難くありません。また高齢者と接触する訪問マッサージ、デイサービス事業も大打撃を受けたことでしょう。東京よりも新型コロナウィルスに対する恐怖心が強かったでしょうし。まさに資金繰り(キャッシュフロー)が回らなくなったものと想像できます。
しかし一番の問題は次にあると思われます。同じく報道には『21年(2021年)7月期の売上高は約6億2900万円』とあり、延期された東京オリンピックが開催される時期に売上は負債総額に近い額を出していたのです。ところがコロナ対策の雇用調整助成金の不正受給が発覚したのです。
昨年2022年7月4日に宮城労働局は、運営会社が新型コロナウィルス対策による雇用調整助成金を不正に受給したことを発表します。新型コロナウィルス感染対策として休業したと見せかけて実際には休業していなかった、また、教育訓練を行っていないにもかかわらず行ったとする虚偽の申請書類を作成し、助成金を不正受給しました。その金額は78,472,697円。7800万円あまりを不正受給したのです。
khb東日本放送
新型コロナの雇用調整助成金7800万円を不正受給 整骨院など運営の仙台市の会社
7/4 (月) 16:40
報道によれば休業と偽ったのは2020年3月~2021年5月という1年以上という期間。これはあまりにも長すぎます。加えて社員教育訓練をしていないのにしたと申請した。不正受給額も高額になります。よく分からず、ついつい、という範囲を越えています。不正受給された助成金は当然返還しなければなりませんから、それも経営を圧迫することになるでしょう。そして不正受給が明るみになれば取引銀行の態度も硬化することが考えられ、融資が受けられないという事態が想定されます。昨年の不正受給発覚が今回の民事再生に繋がったものと考えることは安直かもしれませんが、無関係ではないでしょう。無関係ではないだろうといことで報道内容に加えているわけで。
現在、飲食店をはじめ他業種の倒産が増加しています。コロナ関連助成金が終了となった反動だそう。そこに物価高が追い打ちをかけている。今回の整骨院グループ民事再生の件はそれらとはまた別の話に思います。結局、経営陣の倫理観が大きく影響したのではないかと考えます。そもそも東京では整骨院(接骨院)、訪問マッサージは医療機関と扱いで休業要請が出ませんでした。こういうときこそ必要不可欠という都知事の判断。そのため休業しても助成金はおりませんでした(売上悪化に対する助成金はありましたが)。医療機関という気持ちが足りなかったのでなかったでしょうか。宮城労働局の出した資料には事業概要の欄が医療業となっているのに。この報道は、業界の襟を正す機会になればと願います。
甲野 功
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