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~2023年教員養成科特別授業内原先生パート~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 内原先生の授業の様子
2023年東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科特別授業

 

 

9月29日に東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科で特別授業を担当しました。前半は関東鍼灸専門学校内原拓宗先生が行います。その際は教員養成科の学生同様に授業を受ける立場になります。その内容も毎年楽しみしています。

内原先生は関東鍼灸専門学校の副校長という専任教員管理職でありながら千葉大学医学部附属病院和漢診療科で鍼灸外来も担当しています。専門学校専任教員であり大学病院でも臨床を行うという極めて稀有な存在。その立場と経歴から今年の授業内容は

1.鍼灸師にとっての漢方入門

2.医療としての鍼灸

というものでした。

 

まず漢方入門として、そもそも「漢方」とはなにか?、というところから説明します。漢方の「漢」は中国を、「方」は技術、医術を表し、江戸時代のオランダ医学(蘭方)と区別するために中国由来の日本伝統医学を「漢方」と呼ぶようになりました。漢方には鍼灸を内包しています。歴史的経緯をみると明治維新・文明開化の時期の国策、第二次世界大戦後のGHQ、の二度廃絶の危機がありました。戦後は日本国憲法のもとで法制化が進みます。湯液(漢方薬)の方は薬剤師の範疇になり、鍼灸師が処方することはできません。2001年には医学教育のコアカリキュラムに「漢方医学」が組み込まれます。その裏には寺澤捷年先生の尽力がありました。寺澤先生は現代西洋医学と漢方の調和を目指し“東西医学の和解と発展”による「和漢診療学」を提唱します。富山医科薬科大学に和漢診療学講座を開設し初代教授となり、2005年4月には千葉大学大学院医学研究院和漢診療学講座を設立しました。現在は開業医の8割が漢方薬を処方したことがあるとのこと。しかし医師総数のうち「漢方医」は約2%だそう。漢方医は医師としての立場と漢方医としての立場の間でバランスを取るのに非常に苦労しているといいます。鍼灸師にとっての漢方医は医療として鍼灸を行うための重要な手掛かりであり、漢方医にとっての鍼灸師は医療の中で漢方を行う上で足を引っ張る存在なのかも?、ということを内原先生は話します。そして漢方医との向き合い方から“「鍼灸」は「医療」なのか?”という問いに向かいます。

 

「医療としての鍼灸」についてテーマは移ります。内原先生は2年前から「社会のホワイト化」という表現をしています。ブラック企業のブラックに対するものとしてのホワイト。社会がホワイトに変化するということ。具体的にはしっかりとしたコンプライアンスが要求され理不尽な昭和の勢いや混沌が失われています。昨今の大手芸能事務所における問題のように、長期間蓋をされてきたものが白日の下に晒されて、健全さを求められています。社会のホワイト化における鍼灸も衛生面や法律の観点からも、伝統だから、と許されてきた・見逃されてきたものが限界に近付いている。具体的には刺絡のような故意に血を出させるようなやり方(観血療法として衛生面に問題、医師法違反になるのでは)、焼き切りの直接灸(火傷を負わせる)、グローブを付けずに鍼を持つ(医療機関では鍼は手術用メスと同じ扱い)、といったもの。昭和の価値観では古いものに価値があったが今は伝統、継承に興味関心が持たれないといいます。そして鍼灸師は医療制度の中の一員たりえるのか。医療機関では電子カルテが標準であり、医療従事者誰もが閲覧できる中できちんと記入できるのか。衛生面で基準を満たしているのか。他のコメディカル医療従事者)とコミュニケーションがはかれるのか。残念ながら医療業界において鍼灸師は身勝手で自己主張が激しいという声も出ていますし、教員養成科の研究によって他のコメディカルから得体のしれない存在という意見があったこともあります。内原先生は以前から鍼灸が“医療としての「実質」を備えて生き残る”ことについて教員養成科で話をしています。

今年は、幻の専門鍼灸医認定制度について紹介しました。これは全日本鍼灸学会が昭和61年(1986年)に提案した専門鍼灸医認定制度、あるいは全日本鍼灸学会愛知地方大会で平成4年(1992年)より開催されるはずだった同制度が、同じ鍼灸師によって潰されたという過去。この件は私は知らなかったです。鍼灸専門学校に入学する10年以上前のことです。もしもこの制度が実行に移されていたら同一の学術的基準ができ、鍼灸が単独法になり(※現在の法律はあん摩マッサージ指圧と鍼灸がセットになった法律。かつては柔道整復師も一緒であったが柔道整復師は独立し単独法になった)、保険制度がより適応されて医師の同意書が必要なくなる、という展望があったといいます。このことについては勉強が足りないので何とも言えない段階ですが、開業鍼灸師の立場からすると反対勢力の意図することが何となく予想がつきます。またたとえ専門鍼灸医認定制度が施行されたとしても果たして理想通りにことが進んだのかは定かではないと予想しています。

 

内原先生はまとめとして

・鍼灸が医療に入っていくための入口として理解のある漢方医の存在は貴重。

・漢方医との相互理解のためにも「漢方」の理解が必要。

・漢方とも棲み分けをしつつ、鍼灸の専門性を医療の中でどのように発揮していくかが重要な課題。

としています。現代医学(西洋医学)である今の医療への架け橋として(伝統医学・東洋医学を扱う)漢方医の存在は大事で、そのために鍼灸師は漢方を理解する必要があると。私も3年間、週一日ですが大学病院で鍼灸師として働いた経験があるので納得できます。鍼灸は医療なのかという問いは鍼灸が医療の中に入っていけるのかどうかという前提条件をクリアした先にあるものと思われます。それだけ特異な成長をしてきたものだと考えています。

 

今回の内原先生の授業は、鍼灸の鍼灸師の在り方やどこに向かうのかを考えるきっかけになります。私は専任教員をしてわけではないので開業鍼灸師という立ち位置が一番強いです。教育、そして医療機関での臨床という立ち位置を持つ内原先生の私と異なる立場から頂いた知識と考え方をどう消化していくのか。時間をかけて考えていく課題になります。

 

甲野 功

 

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