開院時間
平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)
土: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)
休み:日曜、祝日
電話:070-6529-3668
mail:kouno.teate@gmail.com
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202
私は納豆が大好きです。常時、納豆が冷蔵庫に入っているような状況。子どもの頃から手軽なおかずとして側にいました。20代の頃は外食でも納豆定食が食べられるお店が結構ありました。特に野方でアルバイトしていたときは納豆丼200円というお店がありました。味噌汁つき。大盛りにして生卵をつけても300円だったと記憶しています。お金がない、休憩時間もあまりないときにとても重宝していました。自宅でも納豆を食べるのに外食でも納豆を食べるような時期がありました。時代が過ぎ、飲食店などでいわゆる納豆を食べられる場所がなくなりました。アレンジしたものはありますが、納豆そのものを出すお店はほとんどありません。また旅館の朝食くらいして外の飲食で納豆を食べることがありません。寿司の納豆巻きを別にすると外食に納豆が出る環境が、私の生活圏ではほぼ無くなったのです。
ほぼ無くなりましたが、完全になくなったわけではありません。近所に納豆定食を出すお店が一つあります。それが青柳です。
まずこちらのお店は色々とありまして、現在は定食店「青柳」と「牛込ビール館」が同居しています。朝から午後2時までは定食「青柳」で夕方くらいから「牛込ビール館」になります。この不思議なお店を紹介します。
まず青柳ですが、ここは元々餅や甘味を売り、かつ店内で食事ができるお店でした。その歴史は60年間。私が子どもの頃からありました。以前は軒先に赤飯やお餅を陳列していて、店内ではラーメンや定食を食べることができました。昭和そのものという感じの外観と内装で、正直なところ、お客が入っているようには見えませんでした。私はこれだけずっと東京都新宿区牛込に住んでいながら、長らく入店したことがなかったのです。なお分かりづらい場所にあるわけではありません。大久保通りという大通りに面した路面店。並びにセブンイレブンがあり目立ちます。しかし何か入る感じがしませんでした。初めて入ったのは確か30歳を越えてからだったような。
その古いお店が2年前に工事が始まりました。時期はコロナ禍。失礼ながら遂にお店を畳むのかな、と思っていたのです。ところが綺麗な内装と外観になり、青柳の文字が残ります。牛込ビール館の看板が目立ちつつも。これはいったいどういうことなのかと調べてみると。隣接する醸造所「新月ビア」のクラフトビールが飲めるとあります。これはもちろん牛込ビール館の方なのですが、「新月ビア」なる新たな言葉。
「青柳」、「牛込ビール館」、「新月ビア」の3つはどのような関係なのでしょう。調べてみると家族経営であることが判明します。
まず東京都牛込(都営大江戸線牛込柳町駅と牛込神楽坂駅の間)で60年営業を続けてきた「青柳」。2021年12月にリニューアルオープンし「牛込ビール館」と共有営業をします。「牛込ビール館」の店主は「青柳」を営む夫婦の孫(次男)でした。そして醸造所「新月ビア」のブルワー(醸造士)が同じく孫で長男(つまり「牛込ビール館」店主の兄)。長男が醸造したビールを祖父母の店舗を使って次男が出しているという形態です。各々が独自の看板(屋号)を持ちながら協力している。素晴らしいことです。
私はお酒が飲めませんし、子ども達も未成年ですので自宅でも外食でもお酒を飲むということがまずありません。付き合いでちょっとだけ飲むことは年に一度くらいありますが。そのためビールが飲めるお店ということに関心がありませんでした。定食屋として新しくなった青柳を利用しました。するとまだメニューにありました、納豆定食。こんな近くで食べられるところがあるとは。他のメニューをみてもおしるこやおぞうにといった都心部の飲食店ではなかなか見ないものが残っています。この物価高の時代に安い。店内は新たらしく席数は減りましたが中身は変わっていません。また注目なのが営業時間。朝6時から開店しています。これは甘味処、餅屋だった頃の名残りだそう。チェーン店ではない個人商店で早朝から食事ができて更にビールも飲める。今や稀有な存在です。
夕方以降は牛込ビール館になります。その時間帯に入ったことはありませんが前を通るとお客さんが入っていることが伺えます。新しい客層を取り込んでいるよう。活気があります。そして醸造している新月ビアですが直営販売もしているようで看板があります。裏に回ってみると醸造所がありました。中には入りませんでしたがガラスの先に見える器材。こんな新宿区のど真ん中で醸造所があるとは。私はビールが飲めないのですが、好きな人には新宿区牛込の地ビールとなれば興味を持たれそう。しかも新月ビアというネーミング。月といえば満月、三日月、半月くらいでしょう。新月では光がない。月と言いながら黒い丸(●)がロゴマークです。私はこれまで黒丸で月を表したものを見たことがありません。そのセンスに感服しました。酒が飲めない体質なのでビールの良し悪しは判断できませんが、ビール好きには一度試してもらいたいです。
60年続く古い定食店に新しいチャレンジが加わる。地元民として、個人事業主として、とても素敵なことだと思います。この新宿区で牛込エリアでビールを製造するなんて。そして時間帯で分けることで店舗を有効活用し固定費も抑えられる。家族なので強固な繋がりがあります。このような取り組みは経営の参考にもなります。リニューアルしてから俄然気になる場所になりました。
甲野 功
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