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数年前からAIが大きな話題になっています。数年前にはAIに奪われる職種が注目されました。それまでは安泰とされていた小説、作曲、絵画といったクリエイティブな仕事もAIができてしまうという状況になっています。そして最近AIがより社会に浸透することになるであろうツールが生まれました。ChatGPTです。様々なメディアで紹介されているChatGPT。一体どのようなものなのでしょう。きちんと知るためにいつも読んでいる「見るだけノート」を購入しました。
<知識ゼロから2時間でわかる&使える! ChatGPT見るだけノート>
松村雄太監修 宝島社
これを読んでChatGPTとは何か。そしてAIは今どれくらい進化しているのかを学びました。
仕事を奪われるという意味以上にAIが危険をもたらすという議論や意見はずっとされていました。SF世界ではAI(人工知能)を用いた機械が人類を滅亡させるというストーリーが多数あります。ハリウッド映画の『ターミネーター』や少年漫画の金字塔ドラえもんの映画原作である『大長編ドラえもん のび太の海底鬼岩城』では機械が人類に対して攻撃を企てます。古くは手塚治虫の『火の鳥 未来編』では政治を人工知能(AI)に任せた結果、国家間の核戦争が勃発し人類が滅亡します。そのようなフィクションが現実のものにならないのか。有識者でもAIの取り扱いで意見が分かれています。賛成はビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)、ジェンスン・ファン(米エヌビディアCEO)、宮川潤一(ソフトバンク社長)らで反対はイーロン・マスク(米起業家)、アービンド・クリシュナ(IBMCEO)、ジェフリー・ヒント(AI研究の第一人者)です。今後大小様々な問題が生じることは間違いないでしょう。
まずChatGPTとはどのようなものか。ChatGPTはアメリカの『Open AI』社が開発した対話型AIです。AIの中でも対話型です。だからChatがつくのですね。GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略で「生成的な事前訓練を行った変成器」という意味になります。どういうものかというと、人が文章で指示や質問を入力すると、それに回答する形で自動的に文章を生産してくれるのです。2022年11月に登場してから圧倒的なスピードで広がっています。100万人のユーザーを獲得した期間はわずか5日。同じように100万人までかかったサービスはinstagramで2.5ヶ月、Spotifyが5ヶ月、Facebookが10ヶ月。X(旧Twitter)が2年もかかっていることを考えるとその浸透がどれだけ速いかが伺えます。
ではChatGPTの何が凄いのでしょうか。これまでもAIは存在しましたし、質問すれば自動で会話できるサービスがありました。既存のものに比べてChatGPTは非常に自然な文章を生成することができるのが大きな特徴です。それまでは用意されていた回答を出すだけだったのです。新しい文章を作ることができなかったのです。それがChatGPTはできるようになりました。また英語だけでなく日本語を含めて多様な言語に対応しています。
続いてChatGPTは何をしてくれるのでしょうか。以下のようなことができます。
・読解:膨大で複雑な内容の文章や情報を驚異的なスピードで読み込むことができます。
・要約:文章を簡易的に要約したり情報を分析したり分類やタグ付けをすることができます。
・文章作成:資料、企画書、メールや原稿などの様々な文書の自動生成や校正・添削ができます。
・対話:自然な会話のチャットができます。
これらを実現させるのがディープラーニング(深層学習)です。データを多層的に分析することで自然言語処理を進化させてあたかも人と話しているような対話を可能となったのです。言語モデルAIはGPT-1、GPT-2、GPT-3と開発が進み、ChatGPTにはGPT-3.5を搭載されています。なお有料版ChatGPT PlusではGPT-4が搭載されています。
ChatGPTを作った『Open AI』では文章生成以外にも画像生成のDALL-E、音声認識のWhisper、3D生成のPoint-Eなども開発しています。これらを生成AIといいます。
素晴らしい機能をもつChatGPTですがもちろん問題もあります。まず注意しないといけないのは、AIは次に来る確率が高い単語を選んで文章を繋げているに過ぎないということ。意味を理解して文章を生成しているのではなく、確率的にありそうな文章を自動作成しているのです。そのため出された文章の内容が正確かどうかを確認するファクトチェックが必要です。出された文章を鵜呑みすることは危険です。そしてChatGPTが利用するGPT-3.5は言語モデルAIであるため計算が苦手です。場合によっては小学生レベルの計算でも間違えた回答を出してしまうことがあります。更にChatGPTの知識は2021年9月までのものに限られており、検索エンジンとして利用することはできません。特に、最近の時事的なトピックや最新の研究結果などについては信頼性の高い情報を提供することができないそうです。また倫理的・法律的な問題の対応ができません。個人情報や機密情報を入力してしまうとその情報の意味を判断できないためとても危険です。
このように調べてみるとChatGPTは便利なようで取り扱いにかなり注意が必要だと思われます。何よりファクトチェックが必要であること。率直に言えば回答が嘘である可能性があり、きちんと精査しないといけない。それならば最初から利用しない方がいいのでは、と思ってしまいます。以前触れた「三方よし」という近江商人の経営哲学を八方美人という意味だと答えていたように。また文章や企画書作成が簡単にできるといいますが、既存のデータを収集して編集していることになるので、いわゆる画期的なエポックメーキングみたいなものは作成できないのではないでしょうか。平均的なものになるという。そうなると当たり障りのない成果物で構わないのであればいいのですが、クリエイターとして勝負する者は差別化できないでしょう。実際に生成AIを活用しているプロはサンプルとなるものをどんどん作らせてそれを叩き台にしてオリジナル作品を作っているそう。素人でも作れるものは希少価値がありませんから結局お金になりません。反対にAIで事足りるようなレベルの仕事は確かに奪われていきそうです。ちょっと考えればわかるようなコンサルティングはChatGPTに聞いた方が早くて安価かもしれません。
本書でもありますが進化するAIにどう対応し、どう活用するかがこれから大切です。面倒なことはAIにやらせればいいだろうという気概が必要で、そのためには自身の(生身の人間であることも含めて)強みをどう高めていくかが重要視されるようになると思います。今後ChatGPTを利用する機会が出てくることでしょう。また本書にはChatGPT以外にも多くのAI製品、『Open AI』以外の有力企業が紹介されています。検索エンジンとして世界一を誇るGoogleがAIは当然リアルタイムで情報を学習していくことでしょう。MicrosoftのBingも使い勝手がよさそうです。肉体に触れるという原始的な仕事を生業としている私にとって、AIとの向き合い方は模索することが始まったばかりと言えるでしょう。
甲野 功
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